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霧の魔法  作者: 美月 純
6/9

第6話:霧多布岬

「やっとついた!」

 

 霧多布岬にいくための浜中はまなかという駅に降りた宙は、大きく伸びをして、深呼吸をし、声を上げた。

 今別の町から約半日、すでに日は西の空に傾きかけていた。

 

「やべぇ、宿見つけなきゃ。」

 

 観光地とはいえ、北海道の中では小さな町だったので大きなホテルや旅館はなさそうだった。とりあえず駅に向かい霧多布岬の近くの宿を紹介してもらった。

 その宿までは浜中駅からバスを利用して役場前というバス停まで行き、そこから徒歩で五分くらいのところにあった。とてもこじんまりとした小さな宿だった。

 

「いらっしゃいませ。ご予約ですか?」

「あ、先ほど駅の案内所で紹介を受けた者ですが。」

 

「あーはいはい、高校生の方ね。お待ちしてました。どちらからですか?」

「あ、えっと東京です。」

 

「あら、東京から?高校生なのに一人旅ですか?えらいですね。」

「あ、えらくはないです。」

 

「そうですか、確かにイマドキは高校生が夏休みに一人旅をするのは珍しくはないですけど、でも、ふつう、もっと大きな観光地に行くのにどうして、こんな辺鄙へんぴなとこにお寄りですか?」

「あ、えっと霧多布岬、そこに行きたくて。」

 

「それが目的で?」

「はい。そうなんです。ここに来たくて。」

 

「変わってますね。あ、ごめんなさい。ここは岬の眺めは確かにきれいですけど、名前の通りほとんど霧がかかってその眺めも見られないことも多いですよ。お客様が滞在中に霧が晴れるかはわかりませんからね。」

「いいんです。その、霧を見に来たんですから。」

 

「霧を・・・ですか?」

「はい。」

 

「そうですか。」

 少し怪訝けげんそうに、案内をしてくれた女将らしき人は、宙の顔を見つめた。

 部屋に通された宙は、宿の窓から岬を眺めた。女将が言っていたように、霧でほとんど岬の先の海は見られなかった。すでに日も限っていたため、ほとんど風景はわからなかった。

 

 

 夕食を済まし、風呂に入って、疲れていたので早めに床に入ったが、やはり絵羽のことは常に頭から離れなかった。

 

『絵羽、おまえは本当に俺の前からいなくなってしまったのか。おまえとの出会い、一緒に過ごした三ヶ月は、いったいなんだったんだ?』

 

 その問に誰も答えることはなく、宙自身、空しい問とわかっていた。

 そうこう考えているうちに、宙は旅の疲れが出て、寝入ってしまった。

 そして、夢を見た。

 

 絵羽が、出てきて遠くの方でにっこりと微笑んでいる。宙は必至に近づこうとするが、その距離は全く縮まらない。だんだんと息苦しくなっていくが、どうしても絵羽に近づけない。

 でも、絵羽はずっと微笑んだままこちらを見ている。

 

「絵羽!いくなー!」

 

 夢の中で大声で叫んでいるのに、その声は絵羽に届いていない。そして、今度は絵羽のほうがどんどん遠ざかっていく。

 

「絵羽!いかないでくれー!」

 

 絵羽の姿が今にも消え入りそうになったとき、どこからともなく、声が聞こえた。

 

「きっと、また会えるよ。」

 

 その声は確かに絵羽の声だった。

 

「ハッ!はぁ、はぁ、夢・・・か。」

 

 ぐっしょりと寝汗をかいた宙は、息を荒げて眼を覚ました。

 時計は午前四時少し前だった。

 もう一度寝ようとも思ったが、強烈な夢のおかげですっかり眼がさえてしまった宙は、着替えて散歩に出た。

 一歩外に出るとあたりは着いた時よりも霧が深くなり、ほとんど二、三メートル先が見えなかった。

 

「ちょうど、こんな霧の日だったな。絵羽と出会ったのは・・・。」

 

 そんなことを、ぼーっと考えていた宙の目の前に急に光が現れ、その瞬間身体に衝撃を感じた。

 

 

 ドン!キキッー!ガチャン!

 

 

 何かにぶつかられて尻餅をついた。

 

「あいたたた。ちょっと、どこ見て歩いてんのよ!」

 

 声のする方向を見るとかすかなシルエットで座り込んでいる誰かがいた。

 

「あ、すみません。大丈夫ですか?」

 

 立ち上がった宙はその声の方向に歩いていった。

 近づいてみると自転車が転がっていて、そのすぐそばに後ろ向きに座り込んだ女性がいた。

 

「大丈夫ですか?怪我しました?」

「大丈夫じゃないわよ。いきなりぶつかってくるから。」

 

 さっきよりは女性のトーンは下がっていたが、怪我をしているらしく声が弱々しかった。

 

「すみません。霧で何も見えずに、光が見えたと思ったらよけられずに・・・。」

「もう、わかったわよ。あんたここの土地のもんじゃないでしょ?」

 

 座り込んだ女性は尋ねてきた。

 

「あ、はい、昨日着いたばかりで・・・東京から観光で来たんです。」

「だろうと思ったわ。ここの者ならこの霧も慣れてるからすぐ気配を感じて避けられるもんね。」

 

「はぁ、すみません。大丈夫ですか?手を貸しますか?」

「うん、起こしてくれる?」

 

「あ、はい。」

 

 そういうと宙はその女性を後ろから腕をもつようにして抱え上げた。

 

「ふぅ、ありがとう。」

 

 そういって振り返ると眼鏡を掛けた同い年くらいの女の子だった。

 霧が深く、暗さもあってその顔ははっきりとわからなかったが、どうにか身体の方は大丈夫そうだった。

 

「ありがとう。さっきは気が動転していて怒鳴って悪かったわ。私の家、すぐそこだから、もう、大丈夫よ。」

「そうですか、じゃあ、そこまで送りますよ。自転車持ちます。」

 

「そう、じゃ、お願いしようかな。」

「はい。」

 

 そういうと、宙は転がっている自転車を起こし、彼女の横に並んだ。

 

「東京から来たって言ったけど、なんでこんな時間に出歩いているの?それに、こんなところに来たの?たいした名所もないのに。」

「あ、寝てたんですけど眼が覚めちゃって、散歩してたんです。それに、ここ、霧多布に来たかったんです。」

 

「霧多布に?なんで?」

「あ、ん〜理由は色々なんですけど、とにかくここに来たかったんです。」

 

「そう、変わってるね。あんた。」

「そうですかね。やっぱりそうですか?」

 

「そうね。あまりそういう人はいないわね。ところで歳いくつ?」

「はぁ、高2、17です。」

 

「あ、なんだ!じゃああたしとタメじゃん。」

「え?そうなんですか?」

 

「いいよ。タメなんだからため口で。」

「あ、そうですか・・・じゃなくて、そうなんだ?」

 

「あははは、やっぱ変わってるね、あんた。名前は?」

「宙、宇宙の宙って書いて宙だよ。」

 

「ソラ?名前も変わってるね。私は葵、水戸黄門の葵の紋章のアオイってわかる?」

「うん、なんとなく、一文字で書くアオイだよね?」

 

「そう、たぶんそれ。」

「あははは、なんか君も変わってるね。」

 

「なによ。いきなり失礼じゃない!」

「先に言ったのは君だよ。」

 

「あ、そうか。あははは、そうだね。これでおあいコだ。」

「あははは、そうだね。」

 

「あ、わたしんちすぐそこだから、もういいよ。」

「あ、そう。じゃ、気をつけて。」

 

「宙こそ、気をつけなよ。あんた来た道わかってる?霧が深いから迷うかもよ。」

「え?だって一本道だったよね。」

 

「あ、それはわかってたんだ。」

「当たり前だろ。いくら土地のもんじゃなくてもわかるよ。」

 

「そっか、それは失礼致しました。」

「なんか・・・、初めて会った気がしないな。」

 

「そう?そうね。なんか、同い年だからかな。実はこの辺、若者いないのよ。それで、ちょっとうれしくなっちゃってさ。」

「そう。じゃ、俺帰るね。」

 

「うん。」

「じゃ、」

 

「あ、宙!」

「ん?」

 

「あのさ、ここにはいつまでいるの?」

「うーん、あと三日くらいかな。」

 

「そうなんだ・・・、じゃあさ、明日、いや今日なんか予定あるの?」

「え?いや別にないけど。」

 

「そうなんだ。じゃあ・・・案内するよ、この辺。どう・・・かな?」

「え?それはありがたいけど。葵・・・さんこそ、予定ないの?」

 

「葵でいいよ。それに予定ないから誘ってるんじゃん。」

「そっか、そうだよな。じゃあ、お願いしようかな。」

 

「ほんと!じゃあ、朝、朝食の後、九時くらいにそっちの宿行くよ。」

「うん、じゃあ、宿の玄関で待ってる。」

 

「うん、じゃあ、あとで。」

「うん、またあとで。」

 

 こうして、葵と宙は約束を交わして別れた。少し恥ずかしそうに葵は振り返らず小走りに霧の中へと消えていった。

 

「ふう、なんか、へんだな。なんか・・・絵羽と話しているみたいな錯角に陥った。葵・・・か。」

 

 そうつぶやくと宙も元来た道を宿へと戻っていった。

 

 

  朝、朝食を済ませた宙は葵との約束の九時少し前に玄関先に立っていた。

 夕べと違って今朝は良く晴れて霧も出ていなかった。

 

「おはよう!」

「おう、おはよう。」

 

 葵は九時ぴったりに旅館の玄関先に現れた。

 

「時間厳守だね。」

 

 宙が言うと、

 

「あたりまえでしょ。一応お客さんだから、遅刻したら失礼だからね。」

 

 どことなく嬉しそうに葵が言った。

 その笑顔に宙はハッとした。

 

「絵羽・・・。」

「え?なに?なんか言った?」

 

「え?いや、なんでもない。独り言。」

「へんなの。やっぱ変わってるよ。君。」

 

 葵の笑顔が絵羽の微笑みに見えた。葵は顔の大きさに比べ少し不釣合いな大きめの眼鏡を掛けていた。しかも銀縁ぎんぶちのさえない感じの眼鏡だ。でも、夕べは暗く霧もあったため、気づかなかったが、眼鏡の下の葵の微笑みは絵羽の面影と重なって見えた。

 

『どうしても絵羽のことは忘れられない。』心の中で宙は改めて絵羽への深い愛情と自分の思いを確かめた。

 案内するといって少し先を歩く葵の後姿に絵羽のことを投影させていた。

 近所を歩きながら、葵が近場の観光スポットを紹介してくれた。

 昼近くになったので、二人は葵の案内で近くにあった食堂に入った。

 

「結構歩いたからおなかすいたでしょ?」

「え?あぁ、うん。」

 

「何食べる?オススメはやっぱ魚料理かな。どうする?」

「あ、うん、葵に任せるよ。」

 

「そう、じゃあ、この定食にするね。すみません!」

 

 葵は店員を呼んで注文を済ませた。

 

「なんか、元気ないね。疲れてる?」

 

 葵に言われて少しドキッとした。

 

「え?あぁ、長旅だったからね。ちょっと疲れてるかも。」

「そうなんだ。どうやってここまで来たの?」

 

 そう聞かれた宙は東京から鈍行を乗り継いできたことを話した。

 

「へぇ〜えらいというか、すごいというか、アホというか・・・。」

「アホだけ余計だろ。」

 

「えへへ、怒った?」

「金がないんだから、仕方ないだろ。高校生なんだからわかるだろ?」

 

「えへへ、そうだよね。でも、怒ってちょっと元気になったみたい。」

「こいつ!」

 

「きゃはは!」

 

 宙が、頭を小突くふりをすると、笑いながら葵はよけるふりをした。

 

「ったく、葵は子どもだな。」

「なによそれ、宙だって子どもでしょ。」

 

「俺はこうして、一人旅とかしてるし、この旅でもっと成長したからな。葵とは違うよ。」

「なによ、えらそうに、ちょっと旅したからってそんなに急に大人になるわけないじゃん。」

 

「ふん、肉体的にも精神的にも鍛えられるんだよ、一人旅ってのは。葵みたいにこんなところでボーっとくらしてるのと違うんだよ。」

「ひっどーい、なにそれ!いくら東京人だからって田舎者を馬鹿にしてるでしょ!」

 

 ふくれっ面で歯向かってきた葵にさらに宙は追い討ちを掛けるように言った。

 

「田舎物を馬鹿にしてるんじゃないよ。葵のガキっぽさを指摘したの。」

「なーによ、それ、もう、案内してやんない。」

 

「あははは、葵、怒った?」

「怒ったわよ。」

 

「さっきの仕返しだよ。やられっぱなしじゃ悔しいからね。」

「やっぱ、宙の方がガキじゃん。」

 

「なんでだよ!」

「きゃははは、ほら、そうやってすぐ怒る。」

 

「あ・・・しまった。」

「あははは、ほらね。やっぱ私のほうが大人だね。すぐにひっかかる。」

 

「くっそ〜、悔しい。」

 

 そういった宙は思いっきり悔しそうな素振りを見せてチラッと葵を見た。

 本当に楽しそうに笑ってる葵の様子を見て、凄くホッとしてる自分を感じていた。同時にまた絵羽の面影を葵に映していた。

 

 

 食事を済ませた二人は店を後にして、再び散歩をしながら、おしゃべりをしていた。

 

「そういえばさ、どうしてこんなところに来たの?」

「え?あぁ、うん、色々あってね。」

 

「そう、出会ったときもそう言ってたよね。なんか話しづらいこと?なら聞かないけど。」

「うん、まぁ・・・。」

 

「そっか、じゃあ、無理に言わなくていいよ。とりあえずこの三日は楽しもうよ。嫌なこととかあったらぜーんぶ忘れてさ。」

「うん、ありがとう。葵、いいやつだなおまえって。」

 

「なによ、いきなり・・・ハズイじゃん。」

 

 照れる葵の仕草や言葉遣いがまた絵羽を思い起こさせた。

 

「あのさ、少しだけ・・・聞いてくれるかな?」

「え?うん、いいよ。」

 

「あのさ、俺、実は・・・傷心旅行なんだ。」

「傷心旅行?失恋でもしたの?」

 

「え、あぁ、うん、そんなとこ。」

 

 まだ、出会ったばかりの葵に絵羽の死についての話はあまりに重いだろうと感じて誤魔化ごまかした。

 

「ふーん、そうだったんだ。そうだよね。普通の若者ならもっと観光地にいくのにわざわざ、こんなとこ選ぶのはおかしいもんね。」

「・・・・・。」

 

「あ!まさか!」

「え?なに?」

 

 急に大声を出した葵の声に思わず驚いた宙は聞き返した。

 

「あんたまさか、自殺しようとか思ってんじゃないでしょうね?」

「え?自殺?」

 

「そう、それで、この霧多布にきて、岬から身を投げようとか思ってんじゃないでしょうね。」

「え、いや、そんなことは思ってないよ。」

 

 少しはそんなことを考えなくもなかった宙はちょっと動揺した。

 

「ほんと?あやしい・・・。」

 

 そう言って葵はじろりと宙の顔をにらんだ。

 

「おいおい、大丈夫だよ。そもそも、そんな勇気ないから。」

「死ぬのが勇気なんて馬鹿なこといわないで。自分から死ぬなんて最低だよ。そんなの勇気じゃない。」

 

「あ、うん、そうだね。勇気じゃないよね。生きることのほうが何倍もつらいこともあるし。」

「そう、でも、自分から死ぬなんて絶対だめだよ。辛くても生きて、本当に死ぬ時まで精一杯大切に生きなきゃだめだよ。」

 

「うん、俺もそう思ってるよ。世の中には死にたくなくったって死んでしまう人だっているんだから、自分から命を絶つなんて絶対しちゃいけないって思ってるよ。」

「そっか、それ聞いて安心した。」

 

「わかってくれたんだ?よかった。」

「大丈夫、傷心だって、きっといいことあるよ。ほら、すでに君の目の前にいいことが来てるよ。」

 

「え?目の前にいいことが来てる?」

「そう、ほら、こーんなかわいい葵ちゃんが目の前にいるでしょ。」

 

 そういってわざとらしく首をかしげてみせる葵の姿に思わず宙は吹き出した。

 

「あははは、そうそう、ほんとだ。目の前にいいこと来てるよ。あはははは。」

「ひどーい!なによ!人が元気付けてあげようとしてるのに!」

 

 プイっとそっぽを向いた葵の姿を見て、宙は絵羽のことを思い出しながらも葵の明るさや可愛らしさに惹かれている自分に気づいた。

 

「あははは、ありがとう。元気出てきたよ。」

「ほんと?よかった。なんかさーほんと、へこんでたみたいだから、正直ちょっと心配だったんだよ。」

 

「そっかー俺ってそんなにへこんで見えたか・・・。」

「うん、どん底って感じ。」

 

「だめだなぁ、ほんとはこの旅行で吹っ切って、新たな自分になるんだって思ってたんだけど・・・。」

「新たな自分か・・・そんなに無理しなくていいんじゃない?」

 

「無理?」

「うん、うまくいえないけど、自分は自分だし、失恋した自分も自分なんだから、かえってそれを認めてあげたほうが、気持ちが楽になるんじゃない?」

 

「・・・・。」

「つまりさ、どんな自分でも自分なんだから、そんな自分を好きになってあげれば、自分を認めてあげれば、その方が気持ちが楽かな、なんてね。」

 

「そっか、そうだよね。何も忘れることないのかな。」

「そうそう、嫌なことは忘れたいって思うかもしれないけど、それも受け入れていく方が、楽に次の自分になれるんじゃないかな。」

 

「そうだな。うん、そうだ!俺は俺だからね。彼女を好きだった俺も、俺だし、忘れることなんかないか。」

「だよ。なんか、ちょっと明るくなった?」

 

「うん、ちょっと吹っ切れた。ありがとう。葵。」

 

  その後、葵の案内で町の資料館や温泉施設がある場所などを見て回ったが、ほとんどはおしゃべりに時間を費やしていた。

 お互いの生まれ育った様子や東京の話、北海道の話など、お互いを知っていくための話は尽きなかった。

 そしていつの間にか、日も暮れて、宙が泊まっている宿の夕食の時間が近づいてきた。

 

「あ、もう、こんな時間か・・・、そろそろ、宿に戻らないと晩飯食べ損ねちゃう。今日は一日ありがとう。」

「どういたしまして。ところで、明日のご予定は?」

 

「ん?いや、特には決めてない。」

「そう、それはよかった。では、明日もこの葵ちゃんがさらに観光ガイドをしてあげましょう。」

 

「ほんと?!うれしいよ!よろしくお願いします。」

「はーい、もちろん、料金は請求するけどね。」

 

「え?!マジ?」

「うっそ〜、お金なんて取らないよ。」

 

「だぁ、ったく、どこまで本気かわかんないな葵って・・・。」

「きゃはは、まぁ、そういう奴ですから。よろしく!」

 

 そういうと葵はアイドルのように敬礼をして小首をかしげた。

 

「ふぅ、先が思いやられる。」

 

 そういいながら、絵羽には悪いと思いながらも、宙はどんどん葵に惹かれている自分を感じた。


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