出撃
(夢で見た鎧に良く似ている。)
その鎧に触れてみると、微かに熱を帯びていた。
不思議な鎧だと思っていると、突然鎧が輝き弾け飛んだ。
弾け飛んだ鎧が自分の体を覆っていく。
最後に、竜の頭が自分の顔を覆い全身装甲の竜騎士の姿となった。
「どうやら、鎧がクロノ殿を主と認めたようですな。」
一体どうゆう事だろう?
「その鎧は数千年前に居た最強のドラゴン、フォルティッシムスドラゴンの鱗を使い造られた物です。代々我が軍で最強の戦士が纏うその鎧は主を選び、資格の無い者が纏うと命を奪われるという、とても危険な物です。クロノ殿なら必ず扱えると思っておりました。」
その言葉を聞いて、黒野は脂汗がだらだら流れた。
一歩間違えれば命を失っていたかと思うと、ゾッとする。
「普段は腕輪として身に付ける事もできます。縮まれと心で念じてみてください。」
言われた通り、念じると竜の形を模した黒い腕輪になった。
しげしげと眺めていると、突然扉が開き、一体の魔物が入ってきた。
「魔王様、大変にございます。」
息を切らせて入ってきたその魔物は、魔王の前にひざまつき、そう言った。
「一体何があった?今、大事な話をしていたのだぞ!」
少し怒気をはらんだ声に、たじろぎながらも、魔物は言葉を続けた。
「フラギリス国の軍が侵攻を始め、我らの領土に攻め込んで来ました。」
その言葉にレックスは眉をひそめた。
「フラギリス国というのは?」
「最近新しく建国された国で、度々我が軍にちょっかいをかけてくる、鬱陶しい奴らです。」
レックスは煩わしそうにそう言った。
「しかも、その国の勇者は実力が伴ってないにも関わらず、自分は強いと嘘巻いている最悪な奴です。」
悪いイメージしか湧かなかった。
「そうだ、この相手ならクロノ殿の肩慣らしに丁度いいでしょう。どうか、この勇者を倒してきては頂けないでしょうか?」
自分にそう頼み込んできた。
場の空気から、断るわけにもいかず、
「分かりました。」
と答えてしまった。
「ありがとうございます。では、早速お願い致します。ペトラニウス。」
合図すると、ペトラニウスは何やら早口で唱えて、次の瞬間自分は空の上に居た。




