精神の空間
目を開けると、巨大なドラゴンがいた。
比喩でもなんでもなく、文字通り目の前に黒く巨大なドラゴンが居た。
「ギャーーーーー!」
悲鳴をあげて一目散に逃げ出した。
「お、おい。ちょっと待たんか小僧。」
何か聞こえた気がしたが、それどころではない。
ただ闇雲に走り続けていた。
しかし、何か巨大な影が自分を通りすぎたと思うと、自分の数メートル先にドラゴンが降り立った。
「待てと言っておるだろうが小僧!」
ドラゴンの咆哮のような怒鳴り声に、空気がビリビリ揺れた。
思わず耳を押さえて、しゃがみこんだ。
「ふん、仕方あるまい。」
ドラゴンはその大きな翼をたたみ、体に力を入れた。
すると、体が輝きだし至るところから煙が上がる。
あまりの眩しさに、目を覆い隠し収まるのを待つ。
暫くすると、輝きが収まり目を開けた。
すると、目の前にはもうドラゴンは居なくなっていた。
代わりに、一人の女性が目の前に立っていた。
その女性は、黒く長い髪を腰下まで伸ばした、絶世の美女だった。
しかし、服装がすごい。
体の要所要所に鎧が装着されているが、大事なところを隠しているだけで地肌かかなり露出している。
そこから覗く肌は、今までに一度も日を浴びたことがないと言う位、真っ白だった。
「コレでよかろう。さて、小僧今から儂の言うことをよく聞くのじゃぞ。」
随分と年寄り臭い喋り方だ。
「儂の名前はフォルティッシムスドラゴン。フォルテとでも、呼んでくれ。お主の纏っている鎧は、儂の体を使い作られておる。今は、ただこの鎧に取り付く残留思念じゃがな。」
ならば何故自分は彼女の姿をはっきりと見る事が出来るのだろう。
不思議に思っていると、それが顔に出ていたのだろう。
フォルテが説明を続けた。
「ここは精神の空間。今、お主は精神だけをこの空間に飛ばしておる。ここでの時間は外では一瞬もたっておらん。安心せい。」
そうだ自分はルーフスとの模擬戦で負けそうに成っていた所で、あの時意識が飛んだはず。
「お主を呼んだのは他でもない。この鎧の秘密をお主に教えるためじゃ。」
鎧の秘密?
一体何の話だろう?
「クックック。この鎧の秘密を知ったらきっと驚くぞ、小僧。」
フォルテは意味ありげに微笑んだ。




