まえがき
日本を離れると日本が見えてくると言われるが、外国に暮らすと日本では当たり前のことが当たり前でないことが少なくない。脱亜論も米国視察の体験が根底にあると思われる。他方、大東亜共栄圏も明治の初期から唱えられていたから大久保利通の富国強兵策が脱亜論に軍配を上げた格好であろう。この国策の是非を判断するには2,3百年の時間を要するであろう。
日本は西洋文明にもイスラム文明にも属さない、他の文明にない日本独自の文明を形成してきた。鎖国のせいと言ってしまっては身も蓋もない。異文化、異文明とやってきた事自体素晴らしい。たに例を見ない。
明治の文明開化は富国強兵策もあるが異文明への憧れがあったのだろう。戦後は欧米化が進んでいるがこれにあきるとどこへゆくのであろうか。日本民族は異文化、異文明を適当に取り入れるが染まってしまうことはない。
これからの日本はその文化、文明を世界に発信してゆくことであろう、是非ともそうなってもらいたいものである。
永住の地を得た坂本龍次に穏やかな日々は長くなかった。残された課題があった。
新たな問題も出てくる。
西へ東へ、南へ北へ飛び回る生活が始まる。人生とは死ぬまでをいうのであろう。
人は生まれて死ぬまで生きているということか。
彼はまだ死んだことはないので死後のことは分からない。生きているうちはまだまだ
のんびりできないようだ。
彼を取巻く人物のその後を追ってみよう。どんな暮ししているのか見てきてほしいとの
伝言があったのだ。今日も椰子の葉を揺らして風が通り過ぎてゆく。
目次まえがき
第一章 フィリピン暮らし
清美の子生まれる マンション経営 カルロス分譲住宅
捕虜収容島 ダヴィッド対坂本 水練
第二章 旅
児童擁護施設 山田中尉の墓参り 紀州の旅 バナウエ 山田中尉の涙 日本へ
児童擁護施設乗っ取り 職業訓練校 巡礼の旅 大地震
第三章 愛欲理論
未完成愛欲理論 反ムバルク勢力 砂漠の娘
第四章 神か悪魔か
白井貴子の過去 米ドルを受取るな ヘンリーウィリアム 9.11同時多発テロ
中央銀行 新ドル発行 通貨発行権 世界通貨 太平洋戦争 塩崎家族
主要登場人物
坂本龍次 自分の人生を求めてフィリピンを流浪する日本人
マリアカルロス スペイン財閥の一つカルロス家の一人娘
陳 志淵 ホテルスーパーなどを経営する華僑
ユキ ミンダナオ出身のジャパユキ。本名 Jonalyn Macappndang
塩崎真知子 元外交官の未亡人
山田 清美 旧日本陸軍中尉の娘
シャハラザード 某国大統領の娘
坂本の子供 モニカ(マリア)アナヤ(アンジェリータ)
碧渓(梅雲)碧谷(許細君)
南海雄 (ユキ) 紀和(清美)ヤサミーン(シャハラザード)ほか