くろねこさんびき。
部活も入っていない紗亜音はとぼとぼと帰り道を歩く。
何も考えず、ぼーっと歩いていたら足に何か当たり、チリンと音をたてた。
……ん?何だろコレ。
屈んで、手に取ってみるとそれは銀の鈴が付いた首輪だった。シンプルな造りだが、綺麗な細工が施しており、傷も付いていない。
一目で高級な物というのが解る。
「きれー…。でも、何でこんな物が道に落ちてるんだろ…?飼い犬か猫が落としたのかなぁ?…まぁ、落とし主が見つかるまで預かっておこうかなぁ。」
名前が書いていないかと思い、再びまじまじと首輪を見る。
不思議と淡く輝いて見えるのは気のせいかなぁ…?
細かい所まで見たが、名前も書いていなくて少しだけ残念、と思った。
そのまま首輪を制服のポケットに突っ込み、紗亜音は歩き出した。
―――夜。
お風呂に入った後、寝ようとする紗亜音に同室の『真中 麗菜』が話しかけてきた。
「紗亜音ちゃん、これなぁに?」
そう言って、麗菜が指で示した先には、学校の帰りに拾った銀の鈴がついた首輪があった。
「あぁ、それね。拾ったんだ。持ち主を探そうって思ってね。」
「ふーん。綺麗だね。麗菜もこんなの欲しいなぁ」
「取っちゃダメだよ?麗菜には、今度、小学生が似合いそうな物買ってあげるからね。」
「やったぁー…って、麗菜を年下扱いしないでよ!!紗亜音ちゃんと、そんなに身長変わらないんだからね!?」
「はいはい。麗菜、もう10時だよ。明日、小学校早いんでしょ?早く寝ようね。」
「…はぁーい。」
少しだけ口を尖らせながらも、渋々頷く麗菜。可愛いなぁと思いつつ、紗亜音は拾った、銀の鈴のついた首輪を眺める。
やっぱり、何か輝いてるよねぇ…。
うーん、と首を傾げていたら欠伸が出て、睡魔が襲ってきたのでベットで横になる事にした。
そのまま、なんとなく首輪の事を考えながら深い眠りについた。