星座の形は
真冬の夜。二匹の子供の狼がキラキラとした星を見ていた。
「知ってるか、人間は星を繋げて、一つの生き物を作るらしいよ」
「はは。妄想力が強い奴らだな」
「いや、そうともいえないや。僕たち、狼も星座さ」
「星座?」
「そう、僕たちは星座さ。一人では生きていけないから、形をなして生きていくのさ」
「……なんか、嫌だな」
「そうか?」
「……ああ」
シリウスのオリウス。
「さぁ、群れに戻ろう」
「ああ」
そう言って二匹の子供の狼は群れに戻っていた。
幾年が経った。
二人は成長した。
シリウスは強くなった。
ある日の狩り。オリウスは足に傷をおってしまった。狩りの途中で転落し足を折ってしまったのだ。
雪が降り積もった、夜の森の中。群れの周りを背の高い針葉樹が静かに上から見ている。
「コイツはもう、狩りができない。群れから抜けてもらう」
リーダーである。オリンポスが無常にも言った。
「は?なんで?」
シリウスが反応する。
「狩りができないからだ」
「……なッ!コイツは仲間だぞ!家族だぞ!」
「……いいよ。俺は抜ける」
何ともないようにオリウスが呟く。
「なんで!」
オリウスの発言にシリウスは困惑を浮かべた。その言葉を無視し、オリウスは静かに歩き出した。
「な!」
すぐにオリウスを追いかけた。雪を弾き飛ばしながら走っていく。森は無常にも暗く冷たい。
オリウスはずっと、ゆっくりと歩いていた。これは、傷による影響だ。
「オリウス!なぜなんだ!」
「もういいさ。お前も俺なんかに構うな」
オリウスは何食わぬ顔で歩き続ける。足が折れているせいか、見るのも痛々しくノロノロと歩く。
「見ろ、走れないじゃないか。そんなんで、生きていけるわけないだろ」
シリウスがオリウスの前に立ち塞がる。
「……俺は薄々、お前に劣等感を感じていたんだ」
ついにオリウスの固まっていた雪が雪崩れた。
「お前とドンドン、力の差が離れていくことに耐えられない!これじゃあ、お前と友達だと思えなくなる」
泣きそうな表情をしながら、歩き続ける。
「そんなことはない!」
反論しないと、そんなの関係ないと言わないと心の底からシリウスは思った。
「力があろうとなかろうと、俺たちは友達だ。だから、そんな事いうなよ!」
もっと何かを言わないと、けど、何を言って引き止めればいいのか分からなくて、言葉が詰まってしまった。
「俺は誇り持って死にたい!お前に助けられて生きていたくないんだ!」
「理解できない!」
お互い、ドンドンと声が大きくなる。
「お前とは対等でいたいんだ!心の底から友達でいたいんだ!」
もう、お互い相手の考えを理解できないだろう。二匹は成長した。複雑になってしまった。
「アアアアア!バイバイ!」
シリウスは最高に吠えた。
「バイバイ!」
オリウスも最高に吠えた。
シリウスはオリウスの言葉の深さを何一つ理解出来なかった。けど、かつての友達がそこまで言うのならと理解したふりをしていた。
これ以上、お互いが苦しまないように、嫌いにならないように、好きでいたいから思い出の中では好きでいたいから。どんなに子供の頃から、仲良くても、体はドンドンと差が出てしまう。
彼らの星はもう二度と繋がることはないだろ。信じればよかったのに、自分達は繋がっていると形が無理矢理に見えたとしても、妥協すれば良かったんだ。何かの形に見えると。




