プロローグ
俺の名は上内悠太。高校生活を満喫している18歳。
部活は陸上部に所属し、勉強もそこそこできる。
おまけに、彼女も出来た。
まさに絶好調というやつだ。
小学生の頃の俺は、太っていて、勉強さえも出来ない、取り柄の「と」の字もない男だった。
「そこそこに生きられたらいいな〜」と人生を楽観していた。
そんな俺に、事件が起きた。
俺は当時、好きな女子がいた。
そこまで可愛いわけでもなく勉強も普通、まぁいわば微妙な女子だった。(失礼だが)
今思えば絶対に無理な話であろうが、俺はその女子と付き合いたかったのだ。
しかし、その女子は、すでに付き合っていたのだ。
所詮小学生の恋愛とは言っても現にあいつらは未だに付き合っている。
あいつらが異質なだけかもしれないが。
そうして小6で俺は頑張ろうと決意。
走り込みや食事制限、なんやかんやあって、痩せた。
そして同時に、勉強も頑張った。
中学受験をすることを決め、必死に勉強した。
だが、現実は非情で、俺は不合格だった。
当然落ち込んだ。
でも、勉強するのが遅かったのは事実。
重い事実を受け止め、公立の中学校に進学した。
まぁ中学も色々頑張って、県1、2を争う高校に進学した。
そして持ち前の足を活かせる陸上部にも入り、同級生の朱莉と付き合うことが出来た。
あいつらが付き合ってくれたから、俺はこうして頑張ることが出来た。
感謝はしたくないのだが、感謝しないとなと思う。
複雑な気持ちだ。
まぁ色んなことがありつつも、今日まで無事に生きている。
なんとも素晴らしいことだ。
もっとも、こんな毎日が続けばいいのだがな。
今日は、彼女の朱莉ためにデパートにお買い物に来ている。
服ぐらいちゃんとしていないと、嫌われてしまうだろうしな。
俺のいつも行く服屋は...ここだ。
2階へと行くエスカレーターの横にある店だ。
案外安く、懐に優しいn...ん?あれは...朱莉か?横にいるのは...あの男...誰だ?もしや浮気か?とりあえず行ってみるか。
朱莉までの距離は結構近い。
バレないように慎重に近づく。
「朱莉。」
「悠太じゃん。奇遇だね」
「その男は誰なんだ?」
固唾をのむ。
心臓がバクバクしているのがわかる。
「兄ちゃんだよ?」
ホッとした。
なんだ兄ちゃんか。
よく見たら顔も若干似てるな。
「もしかして浮気とか疑っちゃった?私がそんなことするわけないでしょ?」
ぐうの音も出ない。
コイツめ...いつ見ても可愛い顔しやがって...まぁとにかく浮気じゃなくてよかった。
「買い物の途中だった?だったらごめん」
「ぜんぜんいいよ。寧ろ会えて嬉しいくらい」
俺、コイツの彼氏でよかった〜。
可愛すぎだろ!!昇天するってこれ。
もうここで結婚したいくらいだよ。
「じゃあまたね」
「バイバーイ」
こうして俺と朱莉はそれぞれ分かれた。
はずだった。
ブゥゥゥゥゥゥゥン!
耳が割れるようなものすごい音がなる。
なんだ!?
目線の先にあるのは、トラックだった。
トラックが、居眠り運転をしながら朱莉たちの方へと向かっている。
とりあえず足を全速力で動かす。
ここからギリギリ間に合うはず。
ここの案内マップを思い出せ。
ここは確か近くに警備員がいたはず。
後は任せて大丈夫だろう。
「朱莉ぃぃぃぃぃぃぃ!」
渾身の力で朱莉とお兄さんを突き飛ばす。
ドンッ
横を向くと、眼前にはトラックがあった―――
ドゴンッグシャ
血肉がその場へ散乱する。
朱莉の声がかすかに聞こえる...
体から意識が遠のいていく。
ここで終わりなのか...
そんなことを考え、俺の意識は完全に暗闇へと消えた。
俺は、死んだ。
悠太くんの苗字は上内です。




