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錆びた婚約指輪

作者: 桜井正宗
掲載日:2023/05/11

 侯爵は不敵に笑い、婚約破棄をつきつけてきた。

 ここ数日、おかしいと思った。

 わたしのことを放置して彼は夜遅くまで遊んでいたからだ。


「というわけだ。イアラ、俺たちの関係は終わりにしよう」

「本気ですか?」

「もちろんだよ。もう君にはなんの感情も湧かない。この婚約指輪も外させてもらうよ」


 吐き捨てるようにして侯爵は、指輪を外そうとした。

 けれど、その指輪はもう“錆びて”いた。

 彼がわたしを裏切ればそうなる効果を持っていたからだ。


「あなたは終わりですね」

「なに……? なにを寝惚けたことを……ぬッ!?」


 彼の指から錆びが伸びていく。

 次第に腕、体を蝕んでいく。


「それは裏切りの代償です」

「な、なんだこれは! なんの呪いだ!?」

「呪い? 違いますよ。わたしの絶望です」

「ば……馬鹿な。イアラ、これを止めろ! 俺が死んでしまう!」

「婚約破棄なのでしょう? ならもう関係ありません」


 わたしは背を向けて部屋を去る。

 彼は必死に懇願してくるけど、もう遅い。


「許してくれ!!」

「許しません」


 侯爵の体がどんどん錆びていく。

 全身が黄土色に変色すると、彼はそのまま倒れた。


 屋敷を出ると、門の前に男性がいた。


「待っていたよ、イアラ」

「バリス様……」

「どうやら、侯爵は自らの命を断ったようだね」

「はい。彼は錆びて死んでしまいました」

「そうか。これから行くあてがなければ、私のところへ来るといい。歓迎するよ」


 バリス様は、公爵家の生まれ。

 偉大な魔法使いの家系だった。

 婚約指輪も彼に作ってもらったもの。


「ありがとうございます、バリス様」

「前から君のことは気になっていたんだ」

「え……」

「いや、なんでもない。しばらくは我が家で自由にするといい」


 手を引いてもらって、わたしは馬車へ乗り込む。

 それから、わたしは彼の家で幸せに暮らすようになった。

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