馨15歳 椿月
僕が貴祥様の執務室に行くと貴祥様が顔を上げ申し訳なさそうな顔をした。
崎守さんが僕にも珈琲を入れてくれたが、言っておかなければいけないことがある。
「先ほどのことは葵さんが倒れてはいけないのであの行動を間違ったとは思っていませんが、玲の前でしたくはありませんでした」
葵さんを助けたのは当然のことだと思っているが、玲の前で玲に誤解されるようなことはしたくなかった。
あれは玲がつられて体調を崩す可能性もあり、僕にとって最悪な瞬間だった。
葵さんという対がいる貴祥様には言わなくても分かってくれると思うが言わずにはいられない。
「本当に申し訳ない。俺が目の前で起こったら躊躇したかもしれない。それほどことだと分かっている。すまない」
「次はしませんから」
「分かった。馨は玲のことどう思っている?」
「会ったその時から玲のいない世界を想像できません。それを真家の方は対だといい、その他の方々は愛しているというのかもしれません。
葵様のいらっしゃる貴祥様には分かるかと思います。
玲のためならば人を殺すことも、玲を守って死ぬことも躊躇いません。玲のためならば性別も年齢も問わず大嫌いな人間だとしても寝ますよ」
これは玲と会った時から変わらない。玲の傍に居るためなら何でもしよう。
「聞くだけ愚かだったな。これから馨には難しいことも言うだろうけど、真家の名に懸けて殺しも、守って死ぬことも、玲以外の人間と寝ることを生涯頼むことはないと誓おう」
「そんなことを誓ってもいいのですか?」
「問題ない。お前が人殺しをすれば女神様に嫌われるだろうし、死ねば玲も死んでしまう。
玲以外と寝るだなんて玲がお前を拒絶したらどうするんだ。体調管理の面もあるが、できればと思うことがあるので困る」
「どのような望みを?」
「玲と馨の子か孫に北条家に入って欲しいと願っている」
「私と玲の子は何の力を持ち合わせないと思いますがそれでもですか?」
「それでもだ」
「畏まりました。時期が来ましたら聞いてみます」
「あぁ、頼んだ」
将来もし玲が子供を産めたならそれは望まれるだろうと考えていただけに驚いたりはしない。心配したとすれば何もできないではないかと蔑ろにされないかということだ。
その心配もないのなら可能性だけはあると思う。
この先玲が成長し、結婚前なら聞けるかもしれない。
それよりも今は幼く成長もゆっくりとしているので、玲が子が産めるかどうかが分からない。もし産まれなかった場合どうなるかの方が心配だ。




