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恋とか愛とか結婚とか  作者: 更西東花
第一章
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葵12歳 桃月-2

「ほぅ」というため息とともに沈黙を破ったのは綾だった。


「玲様達は本当に見せつけますね。私京一に会いたくなりました。いつも早めに来られているから私もう会いに行きます。葵とお兄様はこちらでゆっくり話されるといいわ」


 すくっと立ち上がり綾は私の横で立ち止まり、私の手を握りしめた。


「玲様もだけれど、私も会うのを楽しみにしているのよ。恥ずかしいだなんて思わないわ。


友人なのだから、楽しい事だけじゃなくてつらいことも話して。私も辛いことを相談するから。またすぐに招待するから待っていて。


そうね、今度は最上がどんなところか話を聞かせて」


「ありがとうございます綾」


 玲様にも綾にも来て欲しいと言われ気分が一気に上昇した。


「あぁ~もう。みんなして美味しいとこを持っていったうえに、俺は馨に叱られるのか」


 凹んで項垂れる貴祥様に申し訳なくなった。


「申し訳ありません。私が勝手にもう皆様に会えなくなると、貴祥様の許嫁も解消されてしまうと不安になってしまって大袈裟にしてしまいました」


「違う。報告を受けて今日きっと不安だろうから話すつもりだったんだ。


それなのに遅れ気味だったから綾のお茶会終わりでいいかと判断した僕が悪い。招待したから分かっているだろうと勝手に思って後回しにしてしまった。


これでは馨に怒られても仕方ないし、葵も怒ってくれていい」


「そんな、貴祥様は悪くありません。私が悪いほう悪いほうに考えてしまっただけです」


 千佳にも違うと言われたのに悪いほうにしか考えられなくなっていた私がいけないのだ。


「優しいな葵は。今回のことは一番僕が悪い。その上皆に助けてもらうような情けない人間だけど許嫁でいてくれる?」


「本当に最上に通うような人間なのにいいんですか?ご迷惑になるのでは?ご両親に解消するように言われているのでしたら解消しますから」


「迷惑な訳ないだろう。そもそも葵が悪いわけではないんだから。僕が最上に通うぐらいで解消するはずないだろう。両親にも言われていないし、言われても解消するつもりはない」


「本当ですか。嬉しい」


 ここ数日の不安が一気に無くなる。やっと真っ直ぐ貴祥様を見ることができる。


 笑顔で私を見ている貴祥様の手が傍にあることに気が付いて、先ほどの玲様達ほどではなくても少しふれて欲しいと思ってしまった。


さっきまで許嫁で無くなるかもと不安でしょうがなかったのに、許嫁のままだと分かった途端貴祥様に願うだなんて図々しいに決まっている。


ついじっと貴祥様の手を見てしまっていたようで、それに気が付いたのか貴祥様が私の指にそっと触れた。


 顔が赤くなっていくのを感じて私は急に恥ずかしくなって、つい口に出してしまった。


「私馨さんにあんなことしてもらって、玲様が不安になっていたらどうしたらいいでしょうか?」


「もう、2人でいるのに玲たちのことなの?さっきのことを見る限り大丈夫じゃないのかな。僕は後で馨に叱られるけど」


 思い出して凹んだ貴祥様に慌てる。


「私も一緒に怒られます!私のせいですから!」


「葵は馨には謝ってもらったらそのほうが叱られそう。じゃあ2人で玲に後で謝ろうか。今日が難しかったら今度でも」


「はい!」


 その後は2人でゆっくりと話した。最上で少し不安に思っていることも貴祥様に話せた。


 貴祥様がすぐに「最上で不安に思ったり怖かったりすればすぐに僕に言って。すぐに対応するから」と言われて嬉しかった。


 お礼を伝えると貴祥様の顔が素敵すぎてうつ向いてしまった。


 こんな人の傍に居ていいんだろうかと不安に思うけど、貴祥様がいてほしいと言ったことを忘れないようにしよう。私はすぐに悪いほうへと考えてしまうから。


「葵かわいい顔を隠さないでこっちを見て」


 こんなこと言われて顔を上げられる人がいたら尊敬する。


 結局貴祥様に顔を上げさせられてしまったのだけど、貴祥様が格好良すぎます。


 お茶会の時間も終わり玄関へと行くとそこに玲様がいらっしゃった。


「玲様体調は大丈夫ですか?先ほどは馨さんにご迷惑を掛けてしまって申し訳ありません」


「体調はすぐに部屋に戻ったから大丈夫。さきほどのことは葵が倒れたらいけなかったからって分かっていますから。葵待っていますから来てくださいね」


 玲様は先ほどのことは何でもないようで不思議だった。玲様はそう言われるけど、私なら不安でしょうがないのに。


 それだけ信頼しているということなのかしら。


 不思議に思っても今は聞けそうもない。玲様が手を握り来て欲しいと言われていることにが嬉しいのを伝えないと。


「はい、私も玲様にお会いできるのを楽しみにしています」


 手を握り返して名残惜しく別れた。


 この時は不思議に思った玲様のことで、1年ほど後になって綾が叫ぶことになるなって思ってなかった。



読んで頂きありがとうございます。

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