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恋とか愛とか結婚とか  作者: 更西東花
第一章
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馨13歳 柾月-2

 この場を立ち去る馨を止めてくれた上官と見送る。


「出会った時に怒りに任せて間合いを詰めたのに触れることもできなかったとは聞いていましたが彼はなかなかやりますね。晄様も本気を出されたのでは?」


 あれは今でも悔しくて仕方ない。


怒りに任せ本気で間合いを詰めて投げ飛ばすつもりだったのに、あいつはあっさりと後ろに飛び俺に触らせなかった。


 今も避けることに専念していたとしても倒すことができなかったし、なんとかかわしたが最後は当たれば膝を着いてしまっただろう。


 手合わせを自分でしたのは自分で実力を知りたかったのもあるが、他の奴だとどれだけ言っても、たいしたことが無いだろうと舐めてかかって倒されてしまいそうだったからだ。


 それはお互いにとっていいことではない。


「全力ではないがそれなりに本気でしたんだけど倒せなかったな」


 目もいいのだろうが、動きを見るつもりなのについ顔に目がいってしまう。これから鍛えれば動きのすべてに惹かれ攻撃が緩む時を狙い倒せるだろう。


 上手くいけば馨を玲の身代わりにしておき、馨が自分で自分を守ってもらっている間に玲を逃がすこともできるし、敵を倒す時間も稼げる。


これは最後の手段でまずさせないことが重要だが、そういう対策もとれるということが大事だ。


「目がいいんでしょうね。かわすのも最小限に留めていましたし」


「幼いころから護身術を習っていたそうだ。あの見た目だから両親が心配して習わせえたと」


「それで攻撃が最後しかなかったんですね。その他は明らかに振りでしたし」


「馨には訓練所の更衣室も風呂も使わせないし、俺以外の指示に従わないように言っているから周知させてくれ」


「あれは集団の中に入れるのは危険ですね。すぐに周知させます」


 馨のことは今日見学していた者たちからあっという間に広がるだろう。周知するのはすぐに出来ると思うが、それを叩きこませるのに時間が掛かるだろう。


「問題は守れない者の対処だ。ある程度どんな罰を科すのか決めて周知させたい。気安く声を掛けたものぐらいだと腕立てか。風呂に誘えば外周10回と腕立て50回か」


「あまり守らない者は分家の警備に回しましょう」


「手合わせする人間も選ばないと酷いことになりそうだな」


 ある程度できる人間でないと馨の手合わせが出来ないし、不埒なものを当てるわけにもいかない。


「至急選定に入りましょう」


「罰もまとめて出してくれるか、後で確認する。俺は父上と話してくる」

「かしこまりました」


 上官と別れ北条家の父の執務室に向かう。


 父には朝馨の手合わせをすると伝えた時報告に来るように言われていたので、父は執務室で仕事をしながら待っていた。


「失礼します。今時間大丈夫ですか」


「晄か、馨はどうだった?」


「攻撃は期待できません。力が無いですし、今まで習っていたのが護身術だそうです。ただ、目がいいですし体力もありますので最悪の場合の玲の身代わりが出来ます」


「晄がそういうのならその方向で鍛えるようにしよう。他に気になることは?」


「馨が危険なので南条家の風呂を使わせることにしました。警備が風呂に誘うことも禁止にして罰を与えるつもりです。


あと関係ないですが金森がお母様のこと馨に話しています」


 母は南条家当主の妻としても特殊で皋様の護衛を兼ねて傍に居るほど強い。今でも訓練を怠ることなく、他の女性たちの訓練を見てやることさえある。


「樹に見させるか?」


「それは馨が嫌がりそうです。先ほども体が出来れば同じように鍛えて欲しいと言っていましたから」


「馨も分かっているのだろうけど、まだ若いから割り切れるほどではないのだろう」


「どちらかというとずっと女性の振りをして身を守っていたので、早く男性の体つきになりたいと思っているのでしょう。


父上が出会った時男だと見抜けなかったのもそのせいでしょうね」


「馨がそう言っていたのか?」


「えぇ、身を護るために性別を感じさせないようにずっとしていたと。馨は本当によく無事だったと思いましたよ。


初めて会った時を思い返すと、今ほどではなかったと思いますがそれでも危なかったはずです。


彼は末席にギリギリいるような家柄で真路へ通わせるつもりだったのは素行が最上よりもいいだろうとの判断だったとしか思えません。


最上でいやらしく触れようとした教師がいたそうです。掌打で昏倒させて事なきを得たようですが」


 馨は玲と会う前と明らかに雰囲気が変わった。女性化しているというより玲に近づいていっている。


きっとこれからも玲に似ていくだろう。それは見た目だけではなく気配すらもだ。


「それもあるが、奨学金を受けられれば本家の人間の目が向けられる。そんな人間を酷い扱いをしないだろうと考えたと思う。馨はそれよりも頑張って特待生までなったが結果として最良だったな」


 今までゆっくりと話したことが無かったけれど聞いてみたくなった。


「こうやって南条家に迎えられたことは本当に最良でした。しかし馨のあの変化は馨が言っていたように器が出来たためでしょうか」


 それで通じるほど父にも衝撃的なことだったようだ。


「そうだろうな。あれほど雰囲気を変えてしまうのは他に考えられない」


 あれは馨に反感を覚えていた俺でさえ馨の存在を認めない訳にいかなかったほどだ。


「馨でなければいけなかったのでしょうか?ほかの誰かが替わりが出来なかったのでしょうか?」


「誰も替わりが出来ないのだろう。真家の対であるように。いやそれ以上に替わりはいないのだろう。


許嫁のことも貴臣と話し合ったわけではなく確認しただけだからな。それほど馨の替わりはいない。そのことをよく考えて鍛えるようにしなさい」


「分かりました。馨のことを決めなければいけないのでこれで失礼します」


「どう決めたのかも報告するように」


「はい」


 父に報告が必要ならもう少し細かく決める必要がある。急いで南条家に戻った。


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