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恋とか愛とか結婚とか  作者: 更西東花
第一章
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馨13歳 柾月-1

 最初の話通り警護技術を学ぶため、まずどれほどできるのかを確認されることになった。


 南条家の訓練所まで行くと晄さんまでいた。僕がどれぐらいできるのか気になってみに来られたのだろう。


「じゃあ馨やろうか」


「晄さんが直々にされるんですか?ほかの方でも大丈夫ですよ」


「俺が年下のお前の相手もできないほどだと言いたいの?」


 南条家でずっと学ばれている晄さんに勝てるなんて思っていない。


「そんなことは思っていません。確認だけなら他の方でも十分できるのに、わざわざ晄さんがされなくてもと思っただけです」


「俺がお前と手合わせしたかったんだ。中等部で特待生を取れるほどの腕前を自分で知りたい」


「分かりました。ではお願いします」


 晄さんはもうすぐ成人なのですっかり大人の体つきをしているのに比べ、僕はまだ体も子供に近いし細身だ。


年齢差もあってどう戦えば晄さんに一撃を与えることができるのかよく考えないといけない。まずは晄さんの攻撃がどれくらいなのかを知る必要がある。


「来ないのか?ではこちらから行くぞ」


 どう攻めるか考えているうちに晄さんが攻撃を開始した。


 向かってくる拳が早い。なんとかかわすと、当然かわされると思っていた晄さんの蹴りが来る。


それを横に飛んで攻撃を避ける。そうしてしばらくかわし続けていると晄さんが不機嫌になった。


「いつまでそうやって逃げるつもりだ?」


 晄さんが本気か分からないけれど、今のままなら何となく攻撃が分かってきたし、向かっていかないと本当に怒られてしまいそうだ。


「倒れるまでです」


「ちっ!すぐに倒してやる」


 すぐに攻撃に入る晄さんを体を逸らしかわす。このままでいい。今度は一気に内に入れるすきを狙おう。今度は少し攻撃するふりをする。


 そして攻撃をかわしつつ一気に距離を詰め下あごを狙い掌打する。


 ちっ!甘くしか入らなかった。晄さんはふらついているけれど攻撃できないほどではない。


「止め‼」


 次の攻撃を開始する前に見物人から声が掛かり2人共動きが止まってしまい終了となった。


 晄さんが僕の方に詰め寄る。


「なぜ攻撃してこない?」


「僕が習っていたのが護身術だったので逃げることが基本ですし、僕が少々当てたところで晄さんにはなんともないでしょう。


ですから最後に掛けふらついて攻撃出来ないようにしようかと。甘く入ったので意味がなかったですが」


 出来れば脳震盪を起こして起きられないようにしたかったが、ここでそこまで言うのは失礼過ぎるだろう。


「俺の攻撃を避けられているし、力はまだなさそうだけどこれからだろう。なぜ護身術なんだ?」


「両親が幼いころからこんな見た目ですので危険だと思って習わせたんです」


 晄さんは驚いてすぐに聞き返してきた。


「いつから?」


「多分2~3歳ぐらいだと。僕は初等部に入るまで女の子として習っていたんで、攻撃じゃなくて捕まらないこと、捕まった時の逃げ方、昏倒のさせ方を教わったんです」


 ずっと髪も伸ばしていたので一度も男だと知られなかった。


「あぁ~今でも簡単に想像できるかわいい幼女だったんだろうね。それなら今日のことは分かる気がする。両親もお前のことよく分かっているな」


「そうですね。習いに行くときも必ず年配の女中の世津さんが付いてきましたし、着替えも稽古場では決してさせませんでしたし、例え先生だろうと2人きりになるなときつく言われました」


「それ、ここでも禁止な。着替えは居住棟でするように。風呂もそっちで、呼び出されたとしても決して行かないように。


集団の方が危なすぎる。すべて俺に確認しろ、俺以外が馨にどんな指示もしないように言っておくから必ず守ること」


 またかと思うが自分を守るためにはしょうがないことだ。


「分かりました」


「お前初等部の時よく無事だったな?」


 俺を上から下まで眺めながら聞いて来た。


「初等部に入学するときにはさすがに性別を偽れないので髪は短くしましたが、できるだけ女の子に見えるように振舞っていましたから」


「女の振りをしていたなら余計に危なくないか?」


「完全に女だと思われると危ないでしょうね。ただ、周りの目が違うんです。同性を少々触っていようと仲がいい程度にしか思われないですが、幼女を大人の男が触ろうとすると周りが驚いて見てくれるんです。


見てからあぁ、男だったと安堵しますがそれでも周りの目があるとかなり違います。男の子同士も牽制しあうのか触ってこないですが、女の子には全く効果が無いです。後年頃の女性にはどちらも危なかったですが」


「年頃の女性が危ないって?」


「女同士を装って触ろうとするんです。すぐに2人きりになりたがりますし。『女の子みたいだから勘違いしちゃうわ』とか言って。


高学年の頃には身長も伸びていて中性的な僕は興味をそそられるんでしょうね。あれについて行けば危なかったと思います」


「本当にお前よく無事だったな」


「そんな風に身の危険を感じるようになった時に変に触ろうとした男性教師を掌打で昏倒させてから近づかなくなりましたから」


 あの時は相手が大人の男性だったことと、みんなが傍に居ただけに効果が高かった。


 おかげで他の教師に怒られたが、「お尻を触られて気持ち悪くて、思わず手で押したら倒れた」と話せば許された。


「油断させて襲うか悪くない」


 あの時は別に油断させたわけじゃなくて、勝手に幼い子で何もできないと勝手に勘違いした向こうが悪い。


「金森さんにもそう言われました。油断させておいて急所を狙うといいと」


「金森が?なんでそんな話になったんだ?」


「玲の警備になれるよう鍛えてもらうと言われたんですが、僕がこんな見た目なんでそれを活かせばいいと。樹様が綺麗で強かったとも教えてもらいました」


「金森は母と年が近いか。話さなくてもいいのに……。馨は体力はありそうだしその方向で鍛えるか。基礎は鍛えてもらうがそのほうがいいだろう」


「それだと玲の警備ができません」


「馨には最悪の場合玲に近づかないようにして欲しいだけで、相手を倒すのは警備がするから問題ない」


 筋力がない今何を言っても聞き入れてもらえない気がするので今は諦める。


「分かりました。でも、体が出来れば同じように鍛えてもらえますか?」


 もう一度晄さんが上から下まで眺めて「体が出来たら、な」と言った。


 同級生と並んでも細身で筋力が無いのは分かっているだけに言い返せない。


「今日はこれでお終いだ。馨のことの決まり事を決めてからでないとここで教えられない。


 それまでは基礎を北条家で間を見て鍛えておいてくれ」


「分かりました」


 俺の決まり事ってなに?と思いながらその場を離れようとすると後ろから声が掛かった。


「馨ちゃんと居住棟を使うんだぞ。決して訓練場の更衣室や風呂に近づくんじゃないぞ」


「分かっています!」


 そんなに言われなくても今までも用心してきたのだから分かっている。


読んで頂きありがとうございます。


インドア派で小説があれば一日中だろうと座っていられる人間には、この訓練の動きが本当に出来るのかが分からず泣きそうです。


もしこのような動きが出来なくても許して頂けたら幸いです。


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