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恋とか愛とか結婚とか  作者: 更西東花
第一章
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葵11歳 柾月

 今日のお茶会は綾が最初から不機嫌だった。


「綾ごめんなさい。私何か怒らせるようなことをしてしまったみたいで」


 いつものようにしたつもりなのに、きっと私が何かしてしまったのだと思って謝る。


「葵違うの。お父様にリル語を勉強するように言われて、先日から習い始めたんだけど難しくていやになったの。


クッキーを見てそういえばこれもリテリア国から来たのだと思ったら、先日勉強して嫌になったのを思い出しちゃったの」


「綾リル語を習っているの?」


 リル語はリテリア国の言葉で、リテリア国が海を渡った場所にある大陸だそうで、那加津にもわずかにリテリア国の方がいらっしゃるだけなので、大人でさえ限られたほんのわずかな方しか話せない。


それなのに綾が習うだなんて、本家の方はやっぱりすごい。


「そうなの。舞姫になったらリテリア国の方とも会うことになるから、日常会話ぐらい出来ないといけないって。


直接話したりはしないだろうけど、何を言っているのか全く分からないのは良くないから、何となくでも分かるようになっておきなさいって。でも全然違うから難しいの」


 舞も舞姫となるため誰よりも頑張っているのに、それ以上にリル語まで習っているだなんて綾は凄い。


舞のお稽古もしているけれど綾より出来ないし、勉強も頑張っているけれどそれだけでは貴祥様の傍に立てる人間になれない気がしてきた。


「私もリル語習えないかしら。そうしたら綾と勉強しあえるし、もしかしたら先で役に立つかもしれないもの」


 もしこのまま許嫁で貴祥様と結婚することになれば、きっとリテリア国の方と会う機会があると思う。その時綾が話せて私が何も分からないのは恥ずかしいと思う。


「葵リル語習いたいの?難しいわよ。お兄様にお話しして私の先生を葵にも教えてもらえるようにしてもらいましょうか?」


 よく考えたら先生をお願いするならお金が掛かる。そんなこと彰吾さんにお願いできない。


「いえ、彰吾さんと相談して決めます。お気遣いありがとうございます」


「葵も習えるといいわね。そうしたら私が分からないところ教えてもらえるかもしれないもの」


「綾が教えてくれるのではなくて、私が教えるのですか?」


「そうよ。葵の方が頭がいいもの。きっと葵の方がすぐに覚えてしまうわ」


 頭がいいかは分からないけれど、綾は舞でいつも頭がいっぱいだから他のことを入れる余裕が少ないだけだと思う。


「習えるようになったら綾に教えられるぐらい頑張ります」


「葵また頑張ると言っている。リル語を習いたいのはいいけど、先に習い始めた綾に教えられるほど頑張る必要はないよ」


「貴祥様!」


 後ろから急に声が掛かり、飛び上がって驚いてしまった。


「お兄様急に後ろから声を掛けるだなんて酷いですわ。葵が驚いてしまったじゃないですか」


 綾からは貴祥様が見えていたのだろうけど、私はリル語を習うのにはどうしたらいいのか考えていたので全然気が付かなかった。貴祥様は不安定な態勢になった私を片手で支えてくれた。


「驚かせてしまってごめん。てっきり足音で気が付いていると思った。唯から葵がリル語を習いたいと言っていると聞いてつい来てしまった」


 貴祥様は両手で私の体勢を戻し座るのを手伝ってくれた。


「でも彰吾さんに聞いてみないと習えるかは分からないので」


 いまでも十分して下さているのに、これ以上お願いするのは難しい。


「そうだねお金が掛かるから葵だけでは決められないと分かっているよ。僕から彰吾さんに話して習うようにお願いしておくよ。先生も綾とは別に探そう」


「あら、私の先生ではいけないの?同じ先生なら先生の悪口も言い合えますのに」


 綾は私も同じ先生に習うなら、お茶会の話題として話あえて楽しそうだと思ったのだろう。


 私も先生が同じなら教えあえていいと思った。


「綾は日常会話で十分だけど、葵にはせっかくなら綾とリテリア国の方との間に入れるぐらいになってもらいたいからね。綾の先生では葵には不足するのが目に見えている」


「待ってください。私そこまで出来るか分かりませんし、それに優秀な先生になったらお金も高くなりますよね。彰吾さんが許してくれないと思います」


 貴祥様がお願いしたら習えるかもしれないけど、最低限しか習わせてもらえないと思う。


「ならその差額分は北条家で出してもらえるように父上にお願いするよ。許嫁が先を見越してリル語を習いたいと言うんだ。きっといいと言ってくれると思うよ。あとは葵のやる気だけだ」


 北条家にまでお金を出してもらって、出来ないなど言えるわけがない。


 綾が成人しないとリテリア国の方とは会わないと思うので、それまでに通訳ができるほどになっておきたい。


「どこまで出来るか分かりませんが、綾とリテリア国の方との間に立てるよう頑張ります」


「そんなに力まなくても大丈夫。綾がリテリア国の方と会うのは当分先のことだし、できる限りでいいから。葵が無理をして倒れる方がいやだからね。そうは言っても葵は頑張るだろうから僕も葵に抜かれないように勉強しないと」


「私が貴祥様を抜けるなんてあり得ません」


 貴祥様は最優秀をとり、一度も他の方に譲ったことが無いのだ。私が少々頑張ったところで抜けるはずがない。


「そうかな。葵は優秀だから油断せずにいよう。僕は父上と話してリル語を習えるようにしてもらえるからお茶会楽しんで。邪魔をしてごめんね」


 笑顔で立ち去る貴祥様を綾と見送る。貴祥様が部屋を出てしまうと綾は凹んでしまった。


「葵大事になった気がするわ。ごめんなさい私が余計なことを言ったから」


「いえ、リル語は習いたいと思いましたし、先で大変な思いをするよりも今から習っておいた方が楽ですから」


 将来必要になるのなら今からしておいた方がいいに決まっている。


「そう?本当に難しいのよリル語。辛くなったらいつでも私に言って。お兄様に言って止めてもらうから」


「ありがとうございます。その時はお願いしますね綾」


 綾にはそう言ったが、貴祥様に期待されているのだ、多分言わないと思う。


 貴祥様の期待に応えられるよう頑張ろうと内心思っていると、後で千佳に「やりすぎ禁止ですよ」と怒られた。


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