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恋とか愛とか結婚とか  作者: 更西東花
第一章
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玲8歳 桂月-1

 当主達とのお茶会前から少しずつ綾のお稽古を見学するために本宅の方に通う練習をした。


馨と一緒でないといけないので綾のお稽古には間に合わないけど、最初はとても見学できなかったので問題ない。


 最初はまず本宅に行って休憩して帰るだけ。それが出来るようになれば綾の先生で、私の先生にもなる華菱の和奏(わかな)先生とお話をしたり、和奏先生の舞を見たりしてこの場所に慣れる。


 綾の時は一生懸命覚えている所なので途中で席を立つのが難しいが、和奏先生はいつでも帰って頂いても大丈夫ですと言われているので安心してみていることが出来た。


 お稽古をしている時間いられるぐらいになったので、いよいよ綾のお稽古を見学させてもらうことになった。


 綾のお稽古に合わせるので、馨は一緒に来てもらえないけど佳那が居てくれるし、いるのは知っている人ばかりだし、きちんと座って見ていられるようになったので大丈夫だ。


「本日は隅でお稽古を見学させて頂きます。よろしくお願いします」


 私は正座をして今日見学させてもらう綾や凛様・和奏先生に挨拶する。


「まだまだの舞で恥ずかしいですがよろしくお願いします。玲様私のことなど気にせず辛くなればいつでも帰ってくださいね」


 綾も正座して挨拶してくれる。


「ありがとう綾」


「では玲様お稽古を始めさせていただきます」


 凛様がまずは舞を見せてくれ、それを綾と2人で見る。


 凛様の舞は美しく、宮比神様も喜んでいらっしゃるようだった。


 凛様が舞い終わり私の傍に来て恥ずかしそうにする。


「玲様の前で舞うのは緊張しますね」


「和奏先生の舞も美しかったけど、凛様の舞は美しく輝いていて宮比神様も喜んでいらっしゃるみたいです」


 和奏先生と凛様の舞の違いはこの輝きだろう。


和奏先生は舞の美しさを正確さを求めたもので、凛様は神に新しい年を迎えられたことや豊作のお礼などを届けるための舞だ。


 神はその返事として神の力をその地に授けてくださる。


 凛様が王都での舞のお勤めの合間を縫って地方を廻っているのはこのためだ。


 おじい様達がいらっしゃる伊那美ほか地方都市は毎年訪れるが、地方になるにつけ期間は開いてしまう。天那祇国中きちんと訪れられるように調整のは穂高様のお仕事だ。


 ちなみに穂高様は凛様と一緒に地方を廻っている間に、神殿に寄せられた陳情や真家の者から現状を聞き、貴臣様やお父様に持ち帰る仕事をしている。


もちろん陳情は庶民でも王家や武家の物でも関係なく話を聞く。


 穂高様はよほどすぐに出来る物でない限り基本話を聞いて来るだけで、貴臣様やお父様がその陳情などをもとに対応していく。


内容によっては王家にも話を持っていき、出来るだけ希望に沿えるように努めている。


「まぁ本当ですか?玲様にそう言って頂けるとこれからの励みとなります」


「私もお母様のように舞えるようになるかしら?」


 綾が不安そうに俯いてしまう。


「綾ならなれますよ」


「えぇ、なれますとも」


 私と凛様がそう言うと、綾はきゅっと前を向き「頑張ります」と立ち上がった。


 和奏先生は綾の前に座りお稽古を見る。


 綾の舞は凛様と比べると綾が自分で言った通りまだまだだが、それは舞姫の凛様と比べるからだ。


私は残念ながら豊穣祭で綾達が舞っているのを見ることは出来ないが、綾は貴小見様や皋様に流石だと褒められるほどだ。宮比神様も嬉しそうなので、とても上手に舞えているのだと思う。


 私も習うようになればこんな風に舞えるのか不安になる。


 綾が一度舞って終わると和奏先生の指導が入る。私も習うようになればきっと言われるだろうから先生の指導はしっかりと聞いておく。


 綾は豊穣祭(ほうじょうさい)に向けて仕上げている所なので、より細かく指導が入っているようだ。


 一生懸命お稽古する綾を見ていて、綾が「ありがとうございました」と和奏先生に正座して言うのを聞いた途端座っているのが辛くなってきた。


「玲様大丈夫ですか?すぐにお部屋に戻りましょう」


 佳那がふらつく体を支えてくれる。綾達が私の不調に気が付き慌てる。


「玲様すぐに帰ってください」


 凛様がそう言い、綾が慌てて近づいて来るので「今日はありがとうございました」と頭を下げることは出来ないけどなんとか言った。


「玲様大丈夫ですか?」


「大丈夫です」


 私は佳那と綾に支えてもらって立ち上がる。


「送っていきます」


「綾大丈夫です。佳那もいますから。綾は着替えたりしないといけないでしょう」


 綾も凛様お稽古着を着られているし、お稽古でお疲れなのに私の為に手間を掛けさせたくない。


「綾ここで言い合うよりも帰って休んでいただく方が大事です」


 凛様が綾を止めてやっと私を放してくれた。


 心配そうな3人に見送られながら、佳那に手を繋いでもらって玄関に向かう。


 こんなことなら馨に無理を言ってでも迎えを頼むのだったと思っていると、玄関に制服のままの馨が居て、私に気が付いてすぐに傍に来てくれた。


 馨が居てくれるだけで安心するせいか体が楽になる。


「綾様のお稽古だから邪魔をしてはいけないと、お稽古場まで迎えに行かなかったけど、言ったほうがよかったね」


「ううん。私が見ることで緊張しているみたいなのにこれ以上綾に迷惑を掛けたくないからここで良かったわ。馨迎えに来てくれてありがとう」


「今度もここで待つようにするね。玲がお稽古するようになったらお稽古場まで迎えに行くから」


「そうしてくれると嬉しい」


 馨が抱き上げ馬車に乗せてくれて別宅に戻り、部屋までは自分で歩いて帰り、佳那に急いで着替えさせてもらってベッドに横になった。


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