表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋とか愛とか結婚とか  作者: 更西東花
第一章
65/461

馨13歳 梶月-2

 次の日には北条家や南条家に収めることが許されている商家の担当者に引き合わされた。


「初めまして北美百貨店の嵯峨野(さがの)と申します」


 初めて会う担当者は40代半ばぐらいの年齢の方で、優しそうで頼もしい感じのする男性だった。


「初めまして橘馨です。慣れないことでご迷惑をお掛けするかもしれませんがよろしくお願いします」


「馨様、嵯峨野に丁寧に話す必要はありませんよ」


「でも年上の方に呼び捨ては慣れません」


「失礼ですが馨様は最近こちらにいらっしゃったのですか?」


「最近……数年前です。それまでは末家でしたので庶民とそう変わらない生活をしていたので、急な変化になれません」


 汐田さんも嵯峨野さんも年上で貴祥様や晄さんのように呼び捨てになどできそうもない。


 汐田さんは聞いていたのか驚かないが、嵯峨野さんは驚いたようだがすぐにそれを隠した。


「馨様すぐには変えられません。新人がすぐに店頭に立てないように、馨様にも慣れるまで時間が掛かります。


馨様が急に変化した理由は教えて頂けるまで聞きませんが、こればかりは慣れていくしかないでしょう。馨様は優しそうなので慣れても敬称を付けて呼ばれそうですが」


「それでは先々困ると思いますので早く慣れてください。では嵯峨野馨様の洋服を選びましょう。馨様もどう選んでいるのか覚えてください。


高等部に入学すればスーツにも慣れるため、貴祥様のお手伝いの際や休日などのお出かけの際はスーツで出かけるようにしてください」


「高等部に入学したらですか?早いと思いますが」


「高等部に入学されればご当主様方と話す機会があるかもしれません。慣れておかなければスーツに着られているように見えます」


 これに早く慣れなければいけないのかと思うと大変だと思うが、玲の傍に居ると誓ったのだから覚悟を決めよう。あの時どんなことでもすると思ったのは忘れていない。


「分かりました。頑張って覚えますので汐田さん・嵯峨野さんよろしくお願いします」


 2人に頭を下げると「ですから私たちに頭を下げる必要はありません」とすぐに汐田さんに叱られた。


 それからは汐田さんと嵯峨野さんの話していることをただ聞いて、質問に答え言われるがままになっていた。


「しかし、綺麗な方だとは聞いていましたがここまでとは。なにを着られても似合われるので迷いますね」


「本当に選ぶのが難しいです。色々見ましたがどれがお好きでしたか?」


「これとこれぐらいでしょうか」


 今まで着ていたものと似た感じを選べばあっさりと却下された。


「着慣れた感じだからと選んではいけません。着心地はどれがお好きでしたか?色味は?好きな色と似合う色が違うこともありますよ」


 着心地は分かるけれど、似合うかどうかと言われてもどれも同じように見える。


「汐田さんどれも似合われますから、お好きな色で選んでいただくしかないかと」


 嵯峨野さんがそういえば汐田さんも諦めて僕が選んだものに決めた。


「では普段着にはどれにしましょう」と汐田さんが言い出したので急いで止めた。


「普段着は今まで外出着にしていたものもありますしもったいないのでそれを着ます」


 ただえさえ時間が掛かってしまったのに、これ以上見るのは正直辛い。


「それもそうですね。急にすべてを変えても馨様が大変でしょうから少しずつ変えていきましょう。それに私も勉強しなおす必要があります。嵯峨野相談に乗ってください」


「もちろんです」


 2人は意気投合しているが、疲れ果てた僕には付いていけない。


 汐田さんと部屋まで戻り、玲の部屋の前で別れた。


 これから汐田さんは嵯峨野さんと話し合うらしい。


 僕は玲の体調を見ないといけない。今日は体調が良くなくてベッドから起きられないでいた。部屋に近づいた時から分かっていたけれどどうもよくない。


 部屋に入り玲の様子を見るとやはり少し辛そうにしている。


「玲」


 眠っている玲に声を掛けると、ゆっくりと目を覚まし僕を見た。


「馨」


 いつものように薄く開いた唇から宮比神様の力を受け取る。蜂蜜入りの牛乳を飲ませて温めたいけれど、今日は睡魔の方が勝っているようなのでそのまま寝かせることにした。


「お休み玲。傍に居るから安心して」


 聞こえたのか安心したように微笑んで瞼を閉じた。


 ドアが開く音がしたと思ったら佳那さんが戻って来た。


 手拭いを濡らしていた水がぬるくなってしまったので替えに行っていたのだろう。


 佳那さんは濡らした手拭いを玲の額に置きながら様子を見ている。


「馨さん戻られていたんですね。玲様が辛そうで……」


「もう受け取ったので大丈夫です。ここで勉強するので少し離れますね」


「よかった。では戻られたらお茶の用意をしますね」


「佳那さんありがとう」


 皆に知られてしまったことで佳那さんとの連携が取れやすくなった。


流石に受け取る時は恥ずかしいので佳那さんに部屋を出てもらっているけど、すぐに蜂蜜入りの牛乳を作りに行ってくれるようになったので、玲をすぐに温められるようになった。


 僕は急いで自分の部屋に戻り勉強道具をもち、玲の部屋へと取って返した。入れ替わりでお茶の用意をしに佳那さんは部屋を出て行く。


 玲の顔色を見ると呼吸が少し楽になったように見えたので安心した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ