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恋とか愛とか結婚とか  作者: 更西東花
第一章
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晄17歳 桃月-3

「本を返すのはいつでも構わない。帰る前には声を掛けてくれ。俺は長門と何を任せるかを相談しているから」


 夕食を取るのには少々早いが、穏やかに話をする雰囲気でも無くなったので今日はこのまま夕食を終えたら帰らそう。ゆっくり話すのはまた今度にすればいい。


「晄様柳田さんはどこで食事を取らせましょう?」


「仕事を手伝うのだ。家僕達と同じ場所でいい。俺と取れるようになれば食堂で」


「かしこまりました。では柳田さんこちらにどうぞ。ここはお客様が座られる場所ですので」


 柳田が乾と一緒にサンルームを後にすると俺も長門と打ち合わせするために移動する。

 

 長門は俺の執務室にいた。


「俺が紹介するんだ、柳田に仕事を手伝わせて西条に行ってすぐに仕事ができるように鍛えることにした。それで柳田が見てもいい仕事だけをする部屋を用意できるか?」


「明日にと言われると難しいですが、一週間もあれば用意できます」


「それで構わない。執務机だけでなく、休憩できるように長椅子やそれ用の椅子も用意してくれ」



「畏まりました」


「後今日貸した本は買いなおしておいてくれ。俺の方から出しておいて構わない」


 長門は聞きたくて仕方ないのだろうが、俺がはっきりした態度を取らないので聞いていいものか思案して聞くのを止めた。


「柳田さんをどこまで鍛えますか?」


「そうだなぁ。一年あるが成績も落とせないから、できれば秘書の補佐がすぐできるほど育てばいいと思っている」


「ではそのように鍛えましょう」


「柳田さんから情報を得ますか?」


「当然だ。堂々と情報交換させてもらう。信玄さんがなにか言っていたのか?」


「はい。こちらの情報を得るだろうからそれに見合うものを貰えるのかと」


「分かった俺から話しておこう」


 どこまで話すかは柳田が得られる情報によるが、程よく情報を渡すつもりはある。


 信玄さんはのらりくらりと言って自分の要求を通そうとするので、俺が直接話したほうが早いだろう。


 それからは長門と何を柳田に頼むのかを相談して時間を潰していると、柳田が帰宅すると知らせが入った。ここには柳田は入れられないので玄関に向かう。


 玄関に立つ柳田はキリッとしており、顔つきが男前になった分着ているものが不釣り合いだ。


 仕事に見合うだけの給料を支払うことを長門に言っておこう。


「乾柳田はどうだ?」


「週に一度程度しかいらっしゃらないようですので、半年ほどでご一緒できるようになると思います」


「そうか。一緒に取れることを楽しみにしていよう」


 柳田がわずかにほほ笑んだのが見えた。


「今度来る時までには用意しておくのですぐに取り掛かれる。仕事を手伝った分はそれに見合うだけの給料を支払うので、勤める際のスーツや鞄・靴に当てるといい」


 勤め先が決まったばかりでまだそこまで考えがいたっていなかったのだろう。一瞬目を見開いたがすぐに真面目な顔に戻す。


「お気遣いありがとうございます」


「どれぐらいの用意が必要か分からない時は声を掛けろ。北美の外商を紹介する」


 嵯峨野は紹介できないが、嵯峨野から北美の別の外商を紹介してもらおう。


「その際はよろしくお願いします」


「馬車の用意は?」


「出来ております」


「馬車で帰るといい。ではまた来週」


「晄様何から何までありがとうございます。晄様のために精一杯務めたいと思います」


 貴祥様が葵様を見送るようなことはしない。お辞儀をしている柳田をその場に残しさっさと立ち去る。


 食堂に向かう途中長門に柳田に仕事に見合うだけの給料を支払うように言い、夕食を取り始める。


 母も少し遅れて夕食を取り始める。


「今日ご友人が来られたようだけど、どなたでしたの?晄が友人を連れてきたのは初めてでしょう。せっかくなら会いたかったわ」


 長門か乾から聞いたのだろう。貴祥さんは俺が北条家に伺うので来られないし、友人を家に連れてきたことが無かっただけに興味を覚えたようだ。


「特待生の柳田です。僕が西条に紹介して勤めるようになりそうなので、僕が恥ずかしい思いをしないようにここで鍛えるつもりです」


「ならまた今度会えるかもしれないわね。今度はちゃんと紹介してよ」


「僕も忙しいですし、彼も覚えることが沢山です。挨拶程度はできると思いますがゆっくり話している時間は取れませんよ」


「それでも構いません。渚とも会わせたいけど忙しいから会えるかしら」


「父上は今日北条家で彼を見かけたのでそれで十分でしょう」


「顔を見ただけでは十分ではありませんよ。せめて挨拶ぐらいすればよかったのに」


「貴祥様がお会いしたいと言ったので、父上まで会うと緊張しすぎると父上が諦められたのです。今度父上が家にいる時にくれば挨拶させましょう」


「そうして頂戴。ねぇ、……」


「新しく始めることもあって忙しいのでこれで失礼します」


「晄話は終わっていませんよ」


「申し訳ありません忙しくて」


 まだ話せるようなことではない。


 食堂を急いで離れ執務室に逃げ込む。西条家がらみのことを中心に柳田に頼めることを選びながら柳田のことを考える。


もしそうならどうすればよいだろう。これからもよく会うのだからゆっくり考えよう。書類を見ているようですぐに手が止まりちっとも作業がはかどらなかった。


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