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恋とか愛とか結婚とか  作者: 更西東花
第一章
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晄17歳 椿月

 貴祥様は一目馨を見てやましいことは無いと判断されたようだ。


 父から報告も受けていたが、もしやましいことがあるならどうすればよいのか悩まれていただけに安心されたのだろう。落ち着いた声で馨に問うたが、すぐに答えを止め東条や西条を追い出す。


 その後馨から聞かされる玲のことは、俺たちが誰かに説明して欲しかったことだらけだった。やはり出会った日に宮比神様がなにかされたようだが、馨も初めてのことで一度きりのことなので説明は難しいようだ。これで馨が玲の対であることが確定した。


 まだ貴祥様と話をしていたが、考え込んでいたせいか普段見せない顔をした。その顔は顔立ちは似ていないのに玲を思わせる。


玲の顔はかなり美しく、その上で妖艶さを足したようで目が離せない。その顔に触れてよく見たくてたまらない。


 ガタンと大きな音がしてハッと気が付く。自分が気配を消していたことも忘れて身を乗り出して見入っていた。貴祥様達に気づかれないようにそうっと元の位置に戻り馨が出て行くのを待って貴祥様に声を掛けた。


「貴祥様。馨に先見や契り直しのことを聞かなくてもよかったのですか?」


「うわっ!……晄いたのか……」


 貴祥様らしくなく椅子から飛び上がり驚く。


「最初からいましたよ。父に自分の替わりに聞いてくるように言われましたので」


 貴祥様はすぐに立て直して椅子にきちんと座りなおす。俺は正面に回り先ほどの答えを待つ。


「南条が分かりやすく怒っていたのはお前を隠す為か?最初からそのつもりだったんだな」


「父は怒りを露わにしなければおかしいですし、でも馨の言い分はしっかり聞きたかったので」


「晄も知らないことだらけだっただろう。先見とかも聞きたかったが、宮比神様の力のことでさえ考えないと答えられないぐらいだ。


いっぺんに聞いても答えられないと思って今回は諦めた。契り直しはまだ時間があるし、先見も分かれば助かる程度だからな」


 今の所玲が先見をしたのが綾様達の恋愛関係ばかりなので、玲の行動範囲が広がれば先見出来ることが増えて欲しいと思っている。


玲の先見だけを期待して物事を決めたりしないので無くても問題はない。あれば確信を持ってできるというだけだ。


「父とも話していたが、馨を玲の許嫁としたい」


 貴祥様も貴臣様と話し合われていたのだろう。伺うように貴祥様はおっしゃるが、認めなければいけない時期だと思う。


「仕方ありません。馨の家僕は数人選定しておりますので相性を見て決めたいと思います。それで馨も許嫁となりますし貴祥様に提案が。馨を貴祥様のお相手だという噂を流させてください」


「ぐっ、ごほっげほっ」


 貴祥様は飲んでいた紅茶が気管に入ったのかひどくむせる。


「大丈夫ですか?」


「……ごほっ。大丈夫。……急に変なことを言うから驚いた。けほっ、理由を教えてくれ」


「馨は玲の体調を見るために授業が終わり次第帰宅します。今は入学したばかりなので様子見されてしますが、特待生だと知られているようですからすぐにあちこちから声が掛かるようになるでしょう。


そのたびに馨が断る理由を考えなければいけませんので貴祥様が重用して北条家のことを手伝ってもらっていることにします」


「それは馨も新しい環境に慣れてきた頃だろうし、そろそろ手伝ってもらうつもりでいるから何にも問題ない」


「はい、それは俺も楽になるのでどんどん頼むつもりです。これも事実ですので貴祥様には対ができるようになればすぐに婚約すると言って頂きます。


その上で馨が神子様の家僕として北条家に迎え入れられたとも噂を流します。これで神子様が男かもと思ってもらえる可能性が少しあります。


そして神子様の家僕が表向きで、実は馨が貴祥様のお相手で他の人間に使われるのを嫌ってすぐに帰宅させるのだと噂を流せば、貴祥様が重用しているという以上に早く帰宅する理由が出来ます」


 貴祥様はしばらく考えられた。


「悪くない。どう噂を流すかは晄に任せる。馨は玲のものだ。玲以外で馨を使ってもいいのは俺だけだろう。そもそも馨は俺以外の人間が使うのを禁止にするつもりだった。


馨にも俺の手伝いをしなければいけないのでと断るように言おう。それなら俺の手伝いも存分に頼めるし」


 悪乗りした貴祥様が楽しそうに笑う。


「ではそのようにさせて頂きます。馨には優秀だからこれもできるだろうと言われても、貴祥様が嫌がるので出来ないと断らせるのもいいですね。これは僕の方から馨に言っておきましょう。念のため葵様や綾様にお伝えしておきますか?」


「それは俺から伝えておく」


「分かりました。ではこれで失礼します」


 部屋を後にして父に報告をしなければと思っていると貴祥様から呼び止められた。


「晄さっきのこと葵には言うなよ」と赤面しながらこちらを見ようともせず呟いた。


 何を言われているのか一瞬分からなかったが、すぐに分かった。貴祥様も馨に見惚れていたんだ。



きっと俺に見られてしまったと思って言ったのだろう。俺も見惚れて貴祥様など忘れていたことは内緒だ。


「もちろんです。まだ葵様が小さいとはいえ良い気分ではないでしょう。決して言いません」


 にこりと笑って言えば、貴祥様は安心したように頷き「ありがとう」とお礼まで言われてしまった。俺も見惚れて貴祥様を見ていなかっただなんて絶対に言えない。


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