玲3歳 桃月
目を覚ますと見たことが無い天井で、少し周りを見ても自分の部屋よりも広そうだけれどがらんとしていてまったく知らない部屋だった。
もう少しちゃんと見てみようと、体を起こそうとしたのにうまく力が入らない。
ついさっきまでお父様の腕の中でいたはずなのに、どうして知らない場所でお父様もいないの?
急に怖くなってきた。もしかしてお父様に夢で見た女神様の話をしたから捨てられてしまったの?
いけない女神様だったの?私が寝込んでばかりだから、捨てられてしまったの?
体の奥から湧き上がってくるものが溢れそうで、息が苦しくなってきて、なにがなんだか分からないことでまた怖さが強くなってきて、溢れてくるもので自分が壊れてしまいそうで怖くて。
「ひっ、ぃやぁぁぁぁぁぁぁぁ」
聞こえてきた音が私の悲鳴だと分かっても、どうしたらいいのか分からない。
ドアが開き誰かが駆け込んでくる音がして、逃げ出したいのにちっとも体が動かない。
「玲様!」
その時聞こえた声に聞き覚えがあってやっと悲鳴が止められた。
「ああ~、か、なぁ」
泣き顔で私の顔を覗き込んで叫ぶ。
「玲様、佳那です!大丈夫ですよ!佳那が傍に居ますからね!」
「かなぁ、たすけてぇ……」
佳那を見て少し安心したけれど、どうにかなりそうなのが収まらない。涙が溢れ佳那がにじんで見えない。
「玲様!大丈夫です。佳那が傍に居ます。ゆっくり息をしてください!」
佳那は私の手を握り一緒にゆっくり息をするようにす~はぁとしてくれるけど、息をゆっくりすることが出来ない。
「玲!大丈夫か!?」
声がした方を見るとお父様らしき人が駆け込んできていた。
「……とう、さま……」
傍に来てお父様だと分かって安心したらもう起きていられなかった。
読んで頂きありがとうございます。
今回と次話はとても短いので立て続けに3回アップします。
ルビを忘れていました。真家