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恋とか愛とか結婚とか  作者: 更西東花
第一章
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貴祥15歳 椿月-2

「玲に戻す時も同じようにするのか?」


「そうです。地に返すといってもあの木でなければできませんし、玲に戻す時も全身の力を抜く必要があるので寝転がる必要があり、


玲の器が力を引き寄せるのか玲の方に移ります。だから1人で寝ていても力が無くなるわけではないんです。だから玲に添い寝する必要があります」


「なるほど。父上にも馨の報告を聞いてからとまだ話していないかったが、南条が体調不良の玲に添い寝しているところを見かけたと言って激怒していたのはそれか」


「なぜ知って……佳那さんから聞いたのですか?」


「南条が玲の様子を見に部屋に行って見て馨を起こし叱りつけたい衝動を堪えるのに苦労したと言っていた」


 南条はその場で馨を起こし問いただしたいのを堪えなんとか部屋を出て、その足で訓練場まで足を運び訓練中の者に八つ当たりして大変だったと晄から聞いた。


「渚様に見られていたんですか。……受け取るように返したこともあるのですが、一度に受け取る量が多いのか体調をすぐしてしまうことが多いのです。それで外から地に返す時のように解放してやると玲が少しずつ受け取っているようです」


「玲が体調が悪くなった時女神様の力はどんな状況になっているんだ?」


 僕たちが1つも理解していないことを知らなかったこともあるし、馨も人に説明することよりも玲の体調管理に一生懸命で、深く考えたことが無かったらしく、こうやって一つ一つ確認していく必要がある。


「僕がそうだろうと思っているかぎりですが、溢れ出したものを僕が受け取る頃には宮比神様が止めてくださるのでどんどん減っていきます。


玲が体調を戻すにも宮比神様の力が必要になるので通常よりずっと早く器にある力が減るので、それを外から僕が一時預かりしている力を返しているのだと思っています」


「宮比神様はすぐに再開してくれないのか?」


「そうですね、玲の体調が7割ぐらいまで回復しないとしてくれないようです。溢れるほどの力を押さえつけるためにはそれぐらい回復していないと体調が悪化させてしまうのではないでしょうか」


「玲は生まれる前から宮比神様を受け入れたから分かるが、馨は玲と会うまで僕たちと何一つ変わらなかったはずだ。なぜ宮比神様の力を一時的にでも受け取れるんだ?」


 もし馨以外の人間が受け取れるなら女性に変更したいと思う。そのほうが玲にとっても異性に受け取ってもらうより同性の方が変な噂が立たないのではないかと思う。


「分かりません。どう説明したらいいのか分かりませんが、玲と初めて会った時に宮比神様がなにかされたのだと思います」


 あの時か。晄が幼い玲が知らなくてもいいことまで話し、長く抱き合っていたとしばらく不機嫌だった。その行為が馨の中に器を作るために必要なことだったとしたら、これから先受け取れる人間が現れる可能性はずっと低くなる。


 そういえば、晄はあれほど嫌がっていたのに、馨が玲と会った後は不機嫌でも馨が傍に居ることをしぶしぶ認めたようだった。晄は会う前と会った後の違いに気が付いていたのか?後で確認しよう。


「理解できたとはいえないのだろうが何となく分かった。それで宮比神様は玲の中の器を大きくして何をするつもりだ?」


「それはまだわかりません。玲なら分かっているのかもしれませんが、教えてもらっていません」


 その言い方は知っているが教えられないと言うことだろうが。時期がくれば教えてもらえればいいが。


「教えられる範囲でかまわないので、ぼくに玲のこと報告してくれないか。玲は僕に報告する必要性を感じていないし、頼んで避けられたくない」


 あれほど欲していた玲のことを説明できる人間だ。今日でも玲のことを知れたと思うが、まだ契り直しをどうするのかや先見がどれぐらいの物なのかも知りたい。焦る気持ちはあるが、玲が小出しにしているのなら問いただして何も言わなくなっても困る。


「できうる限りでさせて頂きます」


「頼んだぞ。後、なんで隣の部屋にいるのに玲の体調が分かるんだ?」


 いろいろいっぺんに聞いたので忘れていたことをふと思い出した。


「あぁ、宮比神様の力のせいで玲と繋がっているみたいです、玲の器が大きくなるほど範囲が広くよく分かるみたいです。会ったころは一緒に居ないと分かりませんでしたが、今は自分の部屋に居ても分かります」


「繋がっているのか?便利だな」


「そうでもないと思います。思っていることも分かりますから」


「はい?考えていることが分かるのか!?」


 自分の考えていることが他人に分かるだなんてなんだか嫌だ。


「流石にすべてではないですよ。どう感じているのかが何となくわかる程度だと。今は嬉しいとか悲しいとか辛いのが分かるぐらいです。……これも成長したらもっとよく分かるようになるんでしょうか?」


「そんなこと俺に聞かれても分からないぞ」


「そうですよね。……僕が分かるってことは玲にも僕のことが分かるってことですよね。……それはどうだろう」


 今まで考えたこともなかったのだろう。馨はその場で考え込んでしまった。


「馨それは俺にもわからん。どういう状況なのかも理解できてないんだから。馨が分かったら報告してくれ」


 その場で考え込まれても困る。何も答えないので聞こえていなかったのかもしれない。


「馨!分かったら報告してくれ!」


 ゆるっと顔を上げた馨がなまめかしい。普段なら見せるはずがない油断している顔だ。


 玲のことを考えていて顔を作るのを忘れているのだろう。傍でゆっくり見つめたい。


「そうですね。……多分報告しません。分かってもらえないでしょうし、知られたくありません。玲と繋がっていることだけ覚えていてください」


 思わず見とれていて自分が質問していたことを忘れていた。少し腰が持ち上がっていたのをそっと椅子に戻した。


報告をもらえないことと繋がっていることだけは分かったので、見惚れていたのがバレないように急いで答える。


「分かった。玲の報告だけ頼む」


「畏まりました」


 気付いていないようなのはホッとしたが、あっという間に普段の顔に戻った馨を残念だ。


「では」と部屋を出て行く馨を見送りながら、葵以外に惹かれてしまったことに罪悪感を覚えた。


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