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恋とか愛とか結婚とか  作者: 更西東花
第一章
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晄17歳 椿月-1

 僕も貴祥さんも当主達も目の前で起こっていることが信じられなかった。


 唯一動けた父が勢いよく立ち上がり「なにをしている!」と声を上げられたが、それでもそれ以上何もできなかった。


 玲が求めた様に見えたこと、馨のあまりにも深刻な顔とで邪魔をしてはいけないとその場から動けなかった。


 馨が家僕に佳那への伝言を頼み、玲を抱き上げその場から立ち去るのを見ているしかできなかった。


 貴祥さんが玲への責任感で「馨説明していけ!」と小さくなった馨の後ろ姿に声を掛けたが、聞こえなかったか聞こえないふりで立ち去ってしまった。


 馨が立ち去ってしまうと大騒ぎとなった。綾様と葵様は婦人たちがさっさと部屋や自宅に帰らせ当主達だけでの話となり、貴祥さんは玲の責任者として残れたが僕は参加させてもらえなかった。


 ドアの外からでも東条の「だからあんな男を傍に置くからこんなことになったんだ。すぐにでも叩き出せ!」と騒いでいるのが聞こえた。





 俺はあれからずっと機嫌が悪かった。父も貴祥さんも反応出来たのに、僕はいつも玲のことで馨に怒っているのに、玲が連れて行かれたのに椅子に縛りつけられたようになり立ち上がることさえできずにいた。それが無性に悔しくてしょうがなかった。


 父は当日家で激怒していたが、佳那より日々体調が落ち着いてきていると聞き、少し機嫌を直しつつあったのでそのことが余計に俺を苛立たせた。


 当主たちの話し合いは東条が大騒ぎをしたが、馨が言った通り熱が出始めていることもあり、馨からの報告を待って処分を決定することになったと聞いた。


 貴祥さんも父も貴臣様も、自分たちが全く気が付かないうちに馨が玲の変化に気が付いたこと、玲が馨が言った通り数日寝込むほどの高熱をすぐに出したこともあり、馨が玲の体調を一番理解していて、その上での行動だろうと処分するつもりはないらしい。


 ただ、東条家が五月蝿いので報告を待つことで落ち着くことを期待して、すぐお咎めなしとしなかっただけだとも聞いた。


 西条家がじっと北条家や南条家の対応を待っているのに比べ、東条家が何も知らないくせにやいやいと言うのが本当にうっとうしい。葵様に彰吾さんに何一つ話すなと言ったことで事態を悪化させているが、知ったところで五月蝿く言われる事柄が増えるだけだと思うので、貴祥さんの判断は良かったと思う。


 東条家は自分たちの存在を大きく示したいのだろうが、口を挟む場所を間違えすぎている。


 父達もそう思っているようなので、俺も出来ることは無いか模索中だ。




 父が玲の様子を見に行ったと聞いて戻ってくるのを待っていたのになかなか戻らず不思議に思っていると、訓練場から警備が呼びに来た。急いで訓練場に行くと、そこには訓練中の者をしごき倒す父がいた。


「父上どうされたんですか?何かあったんですか?」


 俺は父の腕をつかみ止める。


「何もない!!」


 絶対に何かあった。こちらを睨むようにして見る父をまずは移動させる。ここで玲の話は出来ない。


「何もないのは分かりました。今日の訓練は十分されたようですからお終いにしましょう。皆今日はお終いだ!明日は今日のことを鑑みて訓練内容を変更するように!」


 倒れ込んでいる者ばかりだ。明日は休みにするか軽く筋肉をほぐす程度にしておかないと体を壊してしまう。なんとか手を挙げて理解したことを教えてくれたので後は放って置いて父と執務室に移動する。途中珈琲をポットで用意するように侍女に伝える。


 侍女がお茶の用意を終えるのを待って侍女を排してから父に問いただした。


「父上体調が回復した玲の様子を見に行ったはずなのに何があったんですか」


「……馨が玲に添い寝していた……」


「なっ!すぐに引きはがしてきます」


 あり得ない。玲はまだ幼いが女の子だぞ。それなのに中等部に入学した男が添い寝するなどあり得ない。立ち上がり部屋を出ようとしたのに、今度は逆に父に腕をつかまれ引き止められた。


「駄目だ。忌々しいがそのままにしておきなさい」


「なぜです!」


 警備にあれほど八つ当たりするぐらいだ。怒りはかなりなものだったのに違いないのに止める理由が分からない。


「晄座りなさい。それから話す」


 俺はしぶしぶ腰掛け、落ち着くためにも珈琲を一口飲む。


 俺が落ち着いたと判断した父が口を開いた。


「寝ている様子を見てすぐに馨を起こそうとした。それなのに全く起きない。強めに叩いたりゆすぶったりしたのにだ。あまりにも起きないので生死を確認したよ。せめて引きはがしたいと佳那に手伝ってもらって引きはがそうとするのに、馨を動かせば玲が佳那から逃れるようにしてくっつく。


玲を抱きしめている腕だけなら佳那でさえ簡単に持ち上げられるのに引きはがせない。あれは宮比神様の力のせいだとしか思えない。玲のためにしていることなら起きてくるのを待つしかできない」


「そんな」


 2人がかりで引きはがそうとしたのに出来なかっただなんてありえない。それが本当なら宮比神様がなさっているのだろう。


「……佳那はなぜ俺たちに報告しなかったんですか?」


「驚いたが引きはがさなければいけないとも報告することだとも思わなかったそうだ」


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