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恋とか愛とか結婚とか  作者: 更西東花
第一章
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馨12歳 椿月

 今日上手く乗り切れればいいけど。


 不安しかない日がやって来てしまった。


 玲の部屋に向かうと玲は着替えを済ませていた。


「玲可愛い!」


 玲を一目見て思わずそう言ってしまった。いつもの寝転がりやすい楽な服ではなくて、ピンクの可愛らしいワンピースを着ていて、玲の可愛さがより引き立って今日のためじゃなかったらよかったのにって思ってしまう。


「暖かくなってからだけど、その服でお散歩したりしたら楽しそうだね」


 実際に行けるかは玲の体調次第だけど、春らしいワンピースで庭をそれで歩いたら楽しそうだと本当に思った。


 佳那さんをいつものように部屋から出てもらい、玲の力をいつもより多めに受け取る。


 それでも玲の力は不安定で今日無事に済む気が全くしない。


 佳那さんが部屋に戻ってきたので玲はミルクを飲んで落ち着く。


 このまま散歩にでも出てしまいたいが、先延ばしにしたところでいいことは無いので諦めて会場に移動した。


 会場での挨拶も南条様から言われていた通りに東条様から冷たくされ、西条様からはからかわれたりしたが、玲には話していなかったので東条様達が僕に冷たくするのが耐えられないようで、一気に力を不安定にさせてしまっていた。


 本当なら今すぐにでもベッドに寝かせたいが、東条様達に挨拶をして西条様に挨拶をしないわけにはいかない。玲には気づかれないように晄様に合図を送る。晄さんが頷いたのを確認して玲の後について行く。


 西条様との話は玲は楽しかったようで力も安定したがそれも一瞬のことで、今度は気疲れで体力がつき始めていた。


晄さんが抱き上げ椅子に座らせたが、体を椅子に預けてしまっている状況でいつまでもつか分からない。


「玲をもう部屋に連れて行きたいんですが構いませんか?」


 玲と別れ貴祥さんと同席してすぐに尋ねたが、「もう少しいて体調が回復したならもう一度会話して欲しい」と許可を得られなかった。


僕としてはもう一度会話できるとは到底思えないが、今僕が言ったところで信じてもらえないだろう。


 しばらく貴祥さんと晄さんの会話を横で聞きながら玲の様子を感じていたがもう駄目だ。


「貴祥様玲がもう限界です、部屋に連れて行きます。途中で申し訳ありませんがこれで失礼します」


「馨何を言っている?」


「玲は大人しくしているぞ?」


 2人が不思議そうに聞くが答えている時間はない。


 玲を見ると座っているのさえ限界のように見えた。


「佳那さんいつものミルクを!」


「えっ、あっ、はい」


 突然のことで佳那さんも驚いたが、用意するために部屋を出て行った。


 皆が座って話し始めていたのに、僕が立ち上がって玲の方に向かうので注目を集めてしまっていたが、今は気にしていられない。


 僕が近づいていることに気が付いて玲の気が緩み椅子から落ちかける。


 急いで玲を抱きしめ支えると「馨」と囁きしがみついてきた。


「玲大丈夫。すぐに受け取る」


 僕はせめて年が近い綾様や葵様からは見えないように体で隠して、玲に口づけをして力を受け取った。


その時勢いよく立ち上がる音や「なにをしている!」という怒鳴り声が聞こえたがそれどころではない。玲はそのまま気を失ってしまった。僕は近くにいた家僕に頼む。


「佳那さんにミルクはいいので急いで部屋に戻るように伝えてください。玲が熱を出して数日寝込むと言えばわかります」


 先ほど貴祥さんに挨拶はしたのでもういいだろうと勝手に判断して玲を抱き上げ部屋に急ぐ。


 後ろから「馨説明していけ!」と貴祥さんの声がしたが聞こえないふりをする。


 部屋に戻ると佳那さんが息を切らせて戻って来てくれていた。


「佳那さん着替えをお願いします」


 僕がベッドに寝かせると佳那さんは手慣れた様子で着替えを始める。


 その間僕も外出着から寝間着に着替えてしまう。


 玲の部屋に戻ると玲の着替えは済んでいた。


「馨さんその格好は?」


 佳那さんに尋ねられても答えず、玲の様子を見るとすでに熱が出ていてまだ上がりそうだった。


「佳那さん僕がいますからとりあえず玲は高熱が出てしばらく起きられないと報告してきてください。説明を求められると思いますが、玲の体調がある程度回復するまで出来ないとも伝えてください」


 佳那さんを部屋から追い出し玲に添い寝する。


「玲、お疲れ様。すぐに良くなるから」


 僕は玲の髪を撫でてから深い眠りについた。


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