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恋とか愛とか結婚とか  作者: 更西東花
第一章
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馨12歳 杷月-2

「菜緒さんの旦那さんだったんですか。もしかして僕のこと菜緒さんから聞いたことがあるとか?」


「少しだけな。えらく美人の男の子が玲様の傍に居るって聞いて仕事で玄関の方をしていた時に見かけないか気にはしていたんだ。でも見かけた時は遠く過ぎでよく顔が分からなかったんだ。だからすぐに気が付かなくて申し訳ない」


「いえ、気が付かなくてもおかしくないです」


 庭師の梅本さんは馬車が止まれば誰が来られていても恥ずかしくないようにその場を離れるように言われていると思う。一度だって庭師さんを玄関先で見たことが無い。


「しかし菜緒から聞いていたけど想像していたよりずっと美人で驚いた。男かどうかも迷ったぐらいだ」


「それはいつも言われます。体格がしっかりしてきたり喉ぼとけが出ていれば迷わないんでしょうけど」


 声は低くなってきているのに他の人のようにはっきり喉仏が見えない。はっきり言うと全く喉仏が出ていないのでいつまでも女性に見られてしまうのだろう。


 梅本さんは少し考えて笑った。


「いやぁ、全然想像できない。なんかそのまま大きくなりそうな気がしてしょうがない」


「……梅本さん本当にそうなりそうで悲しくなりますから言わないで欲しかったです」


 これでも普通の男だ。ごく普通に男らしい体型に憧れがあるんだ。


「あはは、それはすまなかったな。俺のことは巧でいい。梅本さんだなんてくすぐったい気がする」


「じゃあ巧さん。ちっとも申し訳ないと思っていないでしょう?」


「馨様だって分かっていることじゃないか」


「様はいりません。先ほども言いましたけどそんな人間ではないですから」


「じゃあ馨。俺に敬語もいらないぞ」


「それは皆に同じように話しているので諦めてください。違うのは玲ぐらいです」


 巧さんは大袈裟に驚いた。


「玲様を呼び捨てに出来るだなんて!菜緒もそんなこと言っていなかったぞ」


「玲には最初から玲としか呼んでいませんし、怒られたことも嫌がられたこともないですよ」


「はぁ、玲様が選ばれただけ許されているんだろうな。俺なんてとても呼べないから。本当なら神子様と言いたいぐらいだけど、玲様は神子様って言われるのを嫌っているんだろう。


どこかで話が聞こえて悲しませたらいけないから北条家でも南条家でも神子様って言うのは禁止されているからしょうがない」


「そうだったんですか。それで神子様って聞かないんですね。玲は神子様と言われるのを自分自身を見ていないようで嫌っているんです。


宮比神様に用で私にではないと思うのでしょうね。実際玲に用だと押しかける人間は宮比神様に用があるのでしょうし」


「まぁ、そうだろうな。どこから漏れたのか神子様の噂は玲様に宮比神様がいると分かってすぐに聞かれるようになったからな。


多分あの日北条様達も混乱されていたので、あの日使用人たちも浮足立っていてあちこちで話していたから、出入りの商人がそれを聞きつけてそれが広がったんだろうな」


「それもあるでしょうが、真家が千年行っていたことが神様達に喜ばれたことだったと言うことが北条様達のも誉で、ある程度広がるのは容認したんではないでしょうか。それがあんな風に広がるとは思わなかったでしょうが」


「あぁ、神子様を手に入れた物は天下を取れるってやつだろ。なんであんな噂が立ったのかさっぱりわからん」


「それは玲が体がとても弱くとても外に出られないので姿を見ることが出来なかったせいでしょうね。本家が隠すのはそれだけの意味があるのだろうと邪推したのでしょう。こればっかりは噂が消えるのを待つしかないですが、いつのことになるかさっぱり分からないです」


「そうだな。早く消えてくれることを祈ろう。いかん、長話をしてしまった。玲様が心配されるぞ。送っていこう」


 巧さんが立ち上がり僕を急かす。


 そういえばそろそろ夕食の時間になる。玲が僕が部屋に不安に思っているに違いない。


 小屋を出て玄関の方に行こうとしたら巧さんに止められた。


「馨こっちだ。本当は良くないけど、遅くなったし玲様が心配されるよりいいだろう」


 巧さんは使用人が使う勝手口に僕を案内する。


 勝手口を開けると夕食の準備が始まっているようで、皆慌ただしく動いていた。


「馨様!探していたんです。佳那さんが探していました。玲様が居ないことに気が付かれたって」


 玲は休んでいたので抜け出してきたが、思ったより長く庭にいたせいで玲が目を覚ましてしまったようだ。


「急いで行きます!」


 僕とあまり会わない使用人たちが急いで部屋に向かう僕をじっと見つめているが気にしない。


 玲の部屋に行くと玲と佳那さんがいて、佳那さんが安堵した。


「もぅ、馨さんどこにいたんですか?玲様がいないって悲しまれて」


「玲ごめん庭にいたんだ。思ったより時間が経ってしまっていた。今度から気を付ける」


 僕はベッドの横に座り玲を見つめ体調を確認する。うん、微熱は出るかもしれないけれど寝込むほどではなさそうでほっとする。


「体調良くなった?」


 玲は小声で聞いてくる。


 玲にも分かってしまうほど体調不良だったようだ。佳那さんには知られていないようなので、ここまで悪化する前に庭に行けば知られずに済みそうだ。


「うん、すっかり。庭で庭師さんに会って話し込んでしまったから遅くなったんだ」


「どんな話をしたの?」


「それはご飯を食べた後に話してあげる。ご飯は食べられそうだね。熱が出る前に食べてしまおう。そのほうが早く良くなるから」


 僕は玲の手を取りベッドから降りるのを手伝っていると、佳那さんと菜緒さんが夕食の用意を始めていた。


 玲が食べやすいようにおかゆやあんかけそぼろ豆腐などが並ぶ。僕も同じものを食べるのでおかゆを食べる頻度はかなり高いが、薄味にいろいろな味付けをしてくれていて美味しいので問題ない。僕には今日は他に鶏肉の照り焼きなども付くので量的にも満足だ。


 夕食後玲をベッドに横に寝かせてから今日庭であったことを話した。


 玲にも木の下でしたことは宮比神様から夢で教えてもらっているだろうから省略して僕が感じたこと、出会った巧さんのこと、巧さんとの神子様以外の話をする。玲は僕の話を嬉しそうに聞いて眠った。


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