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恋とか愛とか結婚とか  作者: 更西東花
第一章
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馨12歳 桃月-2

 入学前に無事に制服と眼鏡が届いたのですぐに玲に見せる。


「制服ってこんな感じなのね」


 玲は体調が良くなくベッドに寝ているので、玲の要望通り後ろや横を向いて制服姿を見せる。


「女の子はこんな感じでスカートになるの?」


「そうズボンと同じ生地でひだがたくさん入ったスカート」


「ひだが沢山のスカート?」


「プリーツスカートですね。生地を折りたたんでいるようなスカートです。玲様もお持ちですよ」


 女性の洋服のことなどよく知らない僕に変わって佳那さんが説明してくれた。


「あのこげ茶のスカート?」


「そうです。この生地であの形に作った物ですね」


「ふ~ん」


 気にしていなさそうで着られないことが残念なようだ。


「玲も着たかった?」


「制服でもなくていいけど、馨とお揃いで着られるから」


 制服ならおかしくないけど、普段着でするのはおかしい気がする。


 お揃いなんて似合わないから着ないと言えないところが辛い。


「ごめん玲のお願いでもそれは嫌かも」


「馨ならお揃いでも似合うと思うのに」


「そうですね。絶対に似合うと思います」


「うん。だから嫌」


「え~」


 例え似合ったとしても女性と見られたいわけじゃなく、きちんと男性として見られたいので着たくない。


 誰もが女性ものを着ても似合うという顔はあまり過ぎじゃなかった。玲が好きならこの顔も悪くなかったと思えるけど、身の危険を感じるほどの顔はいらなかった。


「ほら玲様。馨さんに眼鏡も掛けて見せてもらいましょう」


 まだあきらめきれない玲の興味を他に逸らすために佳那さんが眼鏡に話を変えてくれる。


「忘れていたわ。馨かけてみて」


 僕はベッドの横の椅子に座って眼鏡をかけて見せるとすぐに玲に取られてしまった。


「素敵なんだろうけど私は馨の顔が隠れて嫌だわ。家で眼鏡をかけるのは禁止」


「最初からそのつもり。でも、これから一緒に外出するときに掛けているのは許して」


「今の所綾のお稽古を見るときぐらいしか思いつかないけど、その時はしょうがないから掛けていてもいいわ」


 それもそうだ。食事も部屋で取らなければいけないほど体が弱いのにそうそう外出しないだろう。


「眼鏡を返して。もう片付けてしまうから。玲はもうお話は止めて休まないと」


「馨ここにいて」


「分かった。眼鏡を部屋に片付けたら勉強道具を持ってくるから玲はもう横になって」


 制服を見たり眼鏡を取ったりで身を起こしてしまっていたので、玲がちゃんと寝転がったら布団を掛けなおしてあげる。


やはり疲れ始めていたようで瞼が閉じかけているけど、僕が戻るまで頑張って眠らないようにするので、急いで部屋に戻り勉強道具を持って玲の部屋に戻る。


 うつらうつらし始めた玲は僕が玲から見える位置に勉強道具を置いているのを確認してやっと眠った。今日はしゃいでしまったので熱が出るかもしれない。


「佳那さん玲熱を出すと思うのでこのままここで勉強しますね」


「そうですね。今日は随分楽しそうにしていらっしゃいましたから熱を出されてしまうでしょうね。

悲しくて体調を崩すならまだ分かりますが、楽しくても崩してしまわれるから可哀そうすぎます」


 本当に。僕と会って嬉しそうにしたのに、夕方には熱が出始めて数日下がらなかった時は本当に心配した。佳那さんにいつものことだと言われなければ晄さんから聞いていたのにと自分をずっと責めたと思う。


 玲も体調が良くなった時に悲しそうに「楽しくても熱が出ちゃうの」と言わなければ佳那さんが言ったことも信じきれなかったと思う。


「僕に玲の体調管理できるでしょうか?」


「出来ると思いますよ」


「気休めは止めてください」


 こんなに尽くしている佳那さんが出来なかったことをそんなにすぐに僕にできるとは思えない。


「気休めでもありませんよ。初めて会った時もいつもより熱が下がるのが早かったように思いますし、食事を取る量も若干ですけど多い気がします。


まだそう思いたいと願う気持ちがそう思わせているのかもしれませんが希望を持ってもいいと思います。だって宮比神様が馨さんを選んだんですもの」


「宮比神様に選ばれたのなら頑張らなければいけませんね」


「馨さん信じていないでしょう。本当ですよ。玲様が夢であの日孤児院に行くように言われたんです。那智様にも一緒に会われたでしょう。


あの猫は真白と呼ばれて普通の猫の時と神様が体を借りて遊びに来ている時があって、その時は玲様は那智って呼んでいるんです。


他の人は真白か那智様かは分からないんですけど、真白はほぼこの部屋にいますし、那智様は部屋にいないことが多いので、部屋にいれば真白で部屋の外で見かけたら那智様だと皆は判断しているんですよ」


「それも玲が言ったんですか?」


「はい。宮比神様だけずるいと言われたそうで、天津神様と国津神様も稀に遊びに来られているそうです。他の神様達も来られているそうですけど、八百万の神様がいるので玲様には分からないですし、私たちも天津神様と国津神様以外は知らない方も多いのでどなたか聞かないことにしました」


 僕も知らない神様の方が多いだろうし、下手に天津神様と国津神様だと分かればどうすればいいのかさっぱり分からない。それなら聞かずにいて神様がいらっしゃるとだけ知って丁寧に対応することにしたほうがいいに決まっている。


 いまも玲の足元に丸まって眠っている真白をそっと撫でる。


 眠っていたのを起こしてしまったようで「にう~」と鳴いてあくびをしてまた寝始めた。


「宮比神様に選んでいただいたと思って頑張ります」


「期待しておりますのでよろしくお願いします」


 玲が今以上に邸内を歩けるように、少しでも食べる量が増えて成長できるように少しでも玲の力になりたい。今からしなければいけないことは多いけど、玲の傍に居るために皆が求める以上のことをして認めてもらいたい。


 持ってきた勉強道具を広げ始めると佳那さんは自分の仕事に戻っていった。


 勉強をしながら玲の様子をたまに見ていると、玲から光が溢れているように見える。何だろうと近寄ると光が僕の中に一度は入るがすぐに玲の方に戻ってしまう。


どうすればいいのか分からずただ見ているしかできなかった。そのうち玲は熱が上がり始め急いで佳那さんを呼びに行くしかできなかった。


 あれは何だったのだろう。もしかしてあれが宮比神様の力?ならあれをどうすればいいんだ。今まで佳那さんから聞いたこともないし、忙しく玲の看病に動いていても一言も光のことは言わない。


 看病を手伝おうにも不慣れで佳那さんの邪魔になっているし、熱にうなされ始めた玲を見ながらどうすればよいのか真剣に考え始めた。


僕にだけ見えるようなので、この光をどうにかすれば少しは玲の体調がいい日が増えるのかもしれない。体調が良くなればごはんを食べる量も増えるだろうし、そうすれば成長も早くなるかもしれない。


 初めて会った時玲と僕の間で何かが行き来していた。あれを僕の中に留めておけないものだろうか。それが出来ればいい気がする。佳那さんを僕が見ているからと食事を取ってもらいに部屋を出てもらってその間に少し試してみよう。


もしかしたら誰か代わりに来るかもしれないけど、ずっと付きっきりではないだろう。少しずつ試してみればいい。一度に多くのことをして玲が余計体調を崩してはいけない。


 佳那さんを手伝いながらもう少しだけ様子を見ておこう。佳那さんに叱られながら玲の様子をしっかりと見て置く。


 宮比神様が本当に僕を選んでくれたのだとしたら、どうか僕に会の力をどうすればいいのか教えてください。小さな手がかりでも構いません。玲が少しでも元気でいられるようにしたいのです。僕のすべてを玲に捧げるのでどうか宮比神様教えてください。


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