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恋とか愛とか結婚とか  作者: 更西東花
第一章
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馨12歳 桃月

 玲と共に南条家の方々と挨拶もかね昼食を食べた。北条家の方々も一緒に食べたがったが玲が疲れるので今度になった。


 いろいろ聞かれるかと思ったが、玲が一緒に食事を取れることの方が大切なようで、玲に話しかけ、美味しそうに食べる姿を嬉しそうに眺めながら食べ、僕のことは放っておかれた。


 昼食後晄さんから玲のことについて聞くことになった。


「まず、玲が北条家にいるのは玲が神子様だからだ」


「玲が神子様。……では玲の体がとても弱いのは神子様だからですか?」


 玲が神子様なのなら成長が遅いのも理解できた。


「それだけ?普通もっと確認しない?本当に先見ができるのかとか天下もとれるのかとかないの?」


「玲が先見が出来たり天下が取れたとして、それが僕に関係ありますか?先見は両親が亡くなる前に知っていたらなぜ教えてくれなかったのかと思うかもしれませんが、両親が亡くならなければ玲と会えない可能性が高かったはずですからそれは嫌ですし。


僕は天下を望んだことはありませんから必要ありません。神子様ということで体が弱いなら医者に見せてもどうにもならないということですからそのほうが気になります」


 晄さんは僕をまじまじと見る。


「本当に興味ないの?宮比神様が玲の中にいらっしゃるんだよ。どんな風にいらっしゃるかは玲が教えてくれないから分からないけど」


「玲は玲ですから。宮比神様がいらっしゃらない玲を知らないので、玲は玲だというだけですよね」


 噂は最上でもたくさん聞いたし、新聞で真家が噂を消そうとしたことも知っているがそれだけだ。宮比神様がいらっしゃる玲しか知らないから、宮比神様込みで玲なだけだ。


「宮比神様がいらっしゃらない玲は僕も知らない。玲は3歳の時に宮比神様がいることを教えてくれたけれど、それは自分で話せるようになったことと体力が持ちそうだと判断されただけだと思う。


玲は生まれる前に死んでいるかもと言われたんだ。お母様が玲が産まれる前にお腹の中で死んでいるかもしれないと言って陰で泣いていたのを覚えている」


 その時のことを思い出したのだろう。晄様さんは泣きそうな顔をしてしばらく黙った。


「しばらくしてお母様が宮比神様の夢を見たと朝言ったんだ。『死にかけているお腹の子の体を借りるわ』と言われと。すぐに医者に見せると、お腹の子はなぜか大丈夫で医者も驚いていた。


 無事に生まれても体が弱くお乳を飲まないし吐くしすぐに熱を出すしで全然成長しない。なんとか話せるようになったと思ったら宮比神様が話があるって。それ黎明の契りについて話したいだなんて言われて、皆がどれほど驚いたか分かる?」


「かなり驚かれたのだろうとは思いますが、それ以上は分かりません」


 黎明の契りは真家では知らないものはいないけれど、詳しい内容は本家の方しか知らない。


 真家が栄えているのはこの契りのおかげだとしか教えてもらっていない。


「あの日は一生忘れないだろうね。話した内容は詳しくは話せないけれど黎明の契りの大切な話だったんだ。玲は宮比神様が言われた通り1か月もの間目覚めることが無く眠ったままになった。


医者もできることは無く、ただただ目覚めるのを待つ日々で両親もかなり参ってしまった。目覚めた時は祝い膳になったほどだ」


「1か月も眠ったままで玲は大丈夫だったんですか?」


「何も食べず、水も唇を濡らす程度しかできなかったのに目覚めてくれた。目覚めた後は体力もなく、長くベッドから出ることが出来なくて、やっと食堂まで来て食事をしたりできるようになったかと思ったら、急に父と一緒に出掛けると騒いで。


一緒に行けたらよかったが心配しながら待っていたら、今度男が玲の傍に居ることになったと報告を受けた時どれほど腹が立ったと思う。僕ですら一緒に居られる時間は少なく、話が出来ることもなかなかなのに、ずっと居て欲しいと玲が望んだだなんて信じたくなかった!」


「それは申し訳ありませんでした」


 歩みはゆっくりだけど普通に歩いていたし、そんな状況だなんて知らなかった。


 どれほど心配したのかは、今の晄さんからよく分かるし、僕に今できることは謝ることだけだ。


「悪い八つ当たりだ。今日の玲を見ていたら本当に玲が望んだと分かるし、会っただけの馨が玲の状況が分かるわけがないんだから」


 頭では分かっていても感情がついて行かないことはよくあることだ。今でも納得できたわけではないだろうが、玲の望みを叶えたてやりたい一心で耐えているだけだろう。


「馨にはこれからここでの生活に早く慣れて欲しい。真路への進学もあって生活が一変するだろうが、可及的速やかに慣れて欲しい。そして玲の傍に居てもらうのは当然だが、佳那と相談しながら玲の体調を見て欲しい。


今佳那以上に玲の体調を分かる者がいない。その佳那でさえ体調を崩してからの処置しか出来ないでいる。玲に望まれて傍に居るのだから佳那よりも玲の体調が分かるのなら教えて欲しい」


 ずっと傍に居る佳那さんでさえ体調を崩してから出ないと分からないのなら、玲の体調を分かるというのはとても難しいのだろう。


無理難題を言われた気がするが、玲が望んだことの悔しさと、少しでも玲の体調が分かればという思いが混ざった複雑な思いからだろうから出来るだけ答えたい。


「すぐに出来るとは思えませんが、可及的速やかに分かるようになるつもりです」


「あとは所作など覚えてもらう必要がある。玲の前で汚く食べるなんてあり得ないからな。その他にも本家のことを覚えてもらおう。北条家には居住棟と執務棟があり、玲は居住棟を出て執務棟に行くことはない。


それでも執務棟を含めどこに何があるか、本家の人間のことや分家のことも思えてもらう。これは玲の替わりに覚えてもらうつもりだ」


「覚えることが多いですが、一番は慣れることと玲の体調管理でよろしいですか?」


「それで問題ないが、玲の友人北条綾様・東条葵様はお茶会までに覚える必要がある。佳那からどんな話をしているのかも聞いて欲しい。馨はしばらくお茶会に玲と一緒に同席させるつもりだ。


綾様が嫌がれば止めるが玲の様子を見るためと言えば許されると思う。玲は今まで体がついて行かず長くお話しできずにいたから、馨がいることで長く楽しめるなら喜ぶと思う」


「女の子ばかりのお茶会にいるのは肩身が狭いのですか」


「馨なら交じっても違和感がなさそうだ。これに関して馨に拒否権はないから。玲がもう少し体力がついて1人でいられるようになったら、同席は止めるかもしれないが今の所その予定はない」


 とても嬉しそうに話す晄さんを見ると嫌がらせかと思ってしまうが、玲のことを考えてのことなのだろう。諦めて当分の間同席するしかなさそうだ。


「分かりました。なるべく気配を消すようにします」


「気にせず話に交じってくれ。とりあえずは所作から始めよう。お茶会でも馨の分も用意してくださると思うから、急ぎ覚えて同席できるようにして欲しい。


さっき見た感じでは大方出来ているが、早く食べても、話しながらでもあれぐらいできるようにならなければいけない」


 先ほどは本当に緊張した。教えてもらっていたけれど、皆様を見ていると優雅に綺麗に話しながら食べられていて、綺麗に食べることと話を聞くことに集中してしまって味がさっぱりわからなかった。晄さんに及第点を貰えたのならよかった。


「頑張ります」


「手が空いている家僕が教えるのでよく聞くように。できるだけ同じ人間から教えてもらうようにするが、毎回同じは難しいと思う。あとここでの生活で分からないことがあれば誰にでも聞けばいい。家僕達にも馨のことは周知しているので、聞かれたことにはなるべく答えるように言ってある」


「ありがとうございます。ちなみに教えてもらえないことは聞いてはいけないことでしょうか?」


「馨が知る必要がないこと、家僕が知らないことだろうな。のちに馨が知っておくべきことが出てくれば随時教えるので、今は知らなくてもいいことだと思ってくれていい」


「分かりました。ではまず玲の体調管理を佳那さんから聞けばよろしいですか?」


 晄さんがにやっと笑ったので、まずいと思ったがもうどうしようもない。


「馨にはこれから皋様や綾様・お母様とのお茶会が待っているぞ。よかったな美人に囲まれてお茶会が出来て。皆馨が美人だと聞いて、後日にするつもりのお茶会が前倒しになった」


 それはちょっと質問攻めにあいそうで嫌だ。


「それは晄さんも一緒ですよね?」


「いや俺は馨から聞くことはない。でも貴祥さんはご一緒する。本当は貴祥さんが話しがしたかった所に、美人だと聞いた皋様に押し切られて一緒にお茶会をすることになったんだ。よかったな1人じゃなくて」


 貴祥様が止めてくれることを祈ろう。たぶん無理だと思うけど。


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