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恋とか愛とか結婚とか  作者: 更西東花
第一章
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葵7歳 柊月-1

 早苗と言う内縁が来てからどんどん食事が乏しくなる。そんなにたくさん食べていたと思わないのに、気が付けばお腹が空いていることが多い。


「葵様申し訳ありません。あれほど東条様が自分でみるように言いましたのに、2人分の費用を出してもらえず」


「ちゃんと食べられているから大丈夫。でも千佳は足りてないんじゃない?大丈夫?」


「きちんといただいていますので、葵様は心配しないでください」


 そんなことないと思う。千佳最近痩せてきていると思うもの。


「お母様や茉理は減らされたりしているの?」


「織江様が東条から受け取り、それを私に回して頂いているのですので織江様の分は大丈夫です。ただ葵様の分を料理中にやって来て藤波のだと言って3人分奪っていかれてしまうので。藤波たちの分は自分たちでみるように彰吾様から言われていますし、このことは東条様にお伝えしたのですが……」


「私は東条家でしっかり食べられるから減らしても平気よ。千佳が食べて」


「葵様!そんなことを言ってはいけません。彼女が聞いていたらどうします。それに葵様が食べるのは当然のことです。葵様のためのお金なのですから。間違っているのはあちらです」


「ごめんなさい。千佳が忙しいのに食べなかったら倒れてしまうと思ったから……。私が彰吾さんにお願いできたらいいけど、もういろいろして下さっているからお願いしにくくて」


 勉強もだけれど、舞のお稽古もしている。東条家で着ている物も綾様とのお茶会の時のもとても高そうだ。これ以上お願いするのは難しい。


「私は大丈夫です。葵様気にせず召し上がってください」

千佳はそう笑うけど本当に大丈夫か心配になった。

 


 それからも主のおかずの量がどんどん無くなっていく。今では彼女が来る前より半分もない。その分副菜が増えるかと言えばそんなことはなくて、お腹が空いて辛い時もある。


 半年も経たないのに食事も洋服も足り無くなった。


 小さくなってきたのに千佳が新しい服を持ってきてくれない。


 食べるものも減らさないといけない状況で、服が買えるわけない。


 下から千佳と彼女の大声が聞こえてきた。ここではなにを言い合っているのか分からなくて、下に降りてみることにした。


 台所付近まで来ると何を言い合っているのか聞こえてきた。


「それは葵様の食事です!」


「和馬は藤波の跡取りです!和馬が食べるのは当然でしょ!」


「食べるのは勝手ですが、費用も藤波に頼み、ご自分で料理して用意してください!これは葵様の分です!」


「藤波だなんて主人を呼び捨てにしてどういうつもり!あの子は週末ここでは食べられないいいものを食べているのでしょ!それならいいじゃないそこで食べさせてもらえば!これは和馬に食べさせるのよ!」


 私とは別の方から来た義父は私に気が付くこともなく台所に入っていった。


「2人ともうるさいぞ!千佳早く料理を早苗に渡せ!和馬がお腹を空かせているじゃないか!」


「これは葵様の分です!藤波は私の主人ではありません。私の主人は葵様です!」


「いいから渡せ!それが気に入らないなら出ていけ!」


「出て行くのはあなたです!ここはあなたの家ではありません。織江様のものです」


「あなた、どういうことですか!?」


「なんでお前が知っている!?……ここの主人は俺だ!いいからお前は早苗と和馬の分も作ればいいんだ!」


 お父様は鍋ごと料理を奪い台所を出て行く。私が覗いていることに気が付いた千佳が私の元にやって来た。


「待って!ここがあなたの家じゃないってどういうこと?」


「ここは亡くなった葵様のお父様の持ち物で、事故で亡くなった時に織江様の物となりました。藤波は会社は自分の物と出来ましたが、家と土地は織江様の物で、気に入らなければ藤波が出て行けばいいだけです。内縁や子供のいるのですからいつでも離縁しますよ」


 父を追いかけながら声を掛けた彼女に、騒ぎに気が付いた茉理が下りてきて説明すると彼女は真っ青になって父の後を追いかけた。


「本当にあの男は楽をすることにはすぐに気が付く癖に、商機は全く気が付かないのだから。あんな女家に入れるなら離婚すればいいのに、東条家から出ている生活費が無いと生活していけないもんだから出て行きもしないで偉そうに」


「茉理!葵様がいらっしゃるのよ!」


「早いとは思いますが、葵様も事情が分からなければ振り回されるだけになります。お辛いとは思いますが、自分が置かれている状況を知る必要があるのではないですか」


「茉理教えてください」


「では遅くなりますので、食事をしながらお話することにいたしましょう。千佳これからは私と一緒に作って私が織江様の分だと先に取っておきますので、これ以上奪われないようにしないと葵様も千佳も痩せすぎになっているわ」


 茉理は料理を取り分けて置いてくれ渡してくれた。


 茉理と千佳で食事の用意をし夕食を取り始めた。


「藤波は葵様のお父様亨様の会社を奪い、生きる気力が無くなっていた織江様に付け込んで結婚したんです。まぁ織江様も他の方と再婚するつもりもなくこちらで住みたがったので意見が一致したのかもしれませんが。藤波はすぐに会社が倒産しかかり、東条家にお願いしてなんとかしてもらったんです。


織江様の生活費も私の給与も東条家から出ています。葵様はそもそも東条家の子ですので生活費は東条家から出すことになっています。それもギリギリしか貰えていないのに、あの女は食費にお金を掛けずこちらから奪い洋服や遊びに使ってしまっているんです。ですから葵様の食事や洋服が不足しているんです」


「東条様にお願いしていますが、藤波と内縁などは自分で出すように言ってあると言って追加してくれないようですし、流石に葵様が痩せてきているのに気が付けば出してくださると思ったのですが……」


「織江様に相談してみます。織江様から東条様に言ってくださるかもしれませんし。ただ、増やせても横から増えた分も取られたのなら意味がありません。どうしたらいいか考えなければいけないわ」


 結局その日はいい案が浮かばないまま終わってしまった。


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