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恋とか愛とか結婚とか  作者: 更西東花
第一章
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葵7歳 梶月-2

「今日は葵を玲様に紹介出来たし、玲様の猫に会って撫でられて良かったわ」


「綾は一緒に住んでいるのに猫に会ったことが無かったのですか?」


 玲様の部屋に長く居ても、家の中をうろついていると思っていた。


「玲様の猫は玲様の部屋から出ない訳じゃないらしいのだけど、本当に姿を見ないの。唯も見ないでしょう?」


「はい、ずっと大人しく部屋でいる時と、邸内や庭など見て歩いている時もあるらしいのですが、姿をゆっくり見たことはありません。


影や目の前をさっと通り過ぎた姿を見たことがある者はいるのですが。私も初めて姿を見ました」


「じゃあ、今日会えたのは凄い事なんですね!」


 あんなに綺麗でかわいい猫ならまた会いたい。今度お呼ばれした時にも会えないかしら。


「玲様の体調次第でお部屋に伺うときがあれば会えるのよね」


 綾も同じように思ったのか唯さんに尋ねる。


「それはどうでしょうか。今度はこちらでと言われましたから難しいと思います。それに真白は宮比様以外の神様がこちらに遊びに来るときに猫の体を借りているそうなので、できれば綾様達には会って頂きたくありません。


佳那さんでも真白の時と神様が来られている那智の時と区別がつかないと言っていましたから、私たちでは到底わかりません」


「神様が遊びに来られているの?」


「はい。宮比神様だけこちらに来てずるいと言われたそうで、玲様のようにずっとではなく時々なようです。その時は玲様が那智と呼んでいるそうです。


今日は真白と呼んでいましたが、その時に綾様達が会って猫を怒らせるようなことになるのが怖いので会わないでくださった方が私たちは安心です」


 神様がいらっしゃる猫は、真白でさえ怒られると怖かったのに、何が起こるか分からなすぎて撫でたいとは思わない。


「可愛らしかったからまた撫でたかったけど諦めたほうがよさそうね。玲様の部屋にはまた行けると思う?」


「もう少しなら行けるかもしれませんが、あのお部屋は玲様の私室になりますし、佳那さんは少しでも部屋から出て欲しいと思っていますから行けないと思います」


 今いる部屋は綾が個人的にお茶会を開く時に使用する部屋で私室は別にあるので、こちらにはお茶会をするための机や部屋を華やかにする花瓶や飾りはあるけれど、玲様の部屋にあったベッドや勉強机などは見当たらない。


 貴祥様は執務室?があってそこで晄様達とお茶したりするらしい。


 私室には友人はもちろん入らないし、家族でもある程度の年齢になったら勝手には入らないものだと千佳から聞いた。


「玲様はほとんど部屋を出られないから、こちらに来てお茶されるだけでも気分が変わっていいでしょうし、玲様のお部屋に行くのも諦めましょう。私も私室に入られるのは抵抗がありますし」


 私もだ。私も片付けているし、千佳が掃除をこまめにしてくれているので見られて恥ずかしいわけではないが、こんな感じなのかと見られるのは恥ずかしい。


 特に藤波の家から着てくる服は綾に見られたくない。


「残念だけど、今日のことをお話するだけで我慢しましょう」


「綾は猫を飼わないのですか?」


 綾なら飼えると思う。


「玲様の猫と喧嘩してはいけないから駄目なんですって」


 すでにご両親に聞いたようで、しょんぼりとした。


「それは残念ですね。じゃあ玲様のお話をして我慢しましょう」


 綾と玲様のお部屋が落ち着いた色合いで統一されていて、その中にオレンジやクリームのクッションがあるので可愛らしさもあったことや、真白の可愛さや撫でた時の気持ちよさなどをたっぷり話した。


「玲様のお部屋もう少し飾り気があってもいいと思うわ」


 綾が思い出しながらしみじみ言う。


「玲様がまだ幼いのもあると思いますが、玲様のお部屋は真白もいますし、体調を崩して倒れてしまうこともありました。


寝込まれて大騒ぎになったりもしましたから、危なくないように物をなるべく置かないようにしているそうです。これから玲様が成長されてお元気になられたら、いろいろ揃えていかれると思いますよ」


「私もまだ飾り気はなくて、必要な物だけしかありません」


 千桜さんが用意してくれるわけでもなく、必要最低限の物しかない私の部屋は玲様の部屋より殺風景だと思う。


 玲様の部屋は物は少なくても、置いてある家具は美しく彫刻が施してあり、布団も玲様に似合う可愛らしい花の模様が入った物だった。


 それに比べ東条家の部屋は飾りは無くてもベッドがあるだけ良くて、藤波では布団を敷いて寝ているぐらいだ。ベッドはお母様しか使っていない。


「そういえば私も自分の部屋を貰った時は玲様の部屋ぐらいしか無かったわ」


「綾のお部屋はどんな感じですか?」


「う~ん。この部屋みたいな感じでベッドがあるわ。服は別室に置いてあるから私室にはないし」


「お洋服は別室にあるのですか!」


 私は藤波でも東条家でも自室に置いてあるので驚いた。


「着物は纏めて1階に置いていますし、お洋服は小さい部屋だけどそちらに置いてあるわ」


「綾様のお洋服はお洗濯したものを届けたりと私以外の侍女も出入りしますので、綾様のお邪魔をしないよう別室にあります」


「そうだったの?」


 綾も知らない理由で別室になっていたみたい。


「管理は私の方でしていますが、洗濯屋に頼んだものはすぐに片付けませんとしわが出来ますから、届いたらすぐに部屋の決まった場所に置いてもらうようにしております。それを所定の位置に戻すのは私がしておりますのでご安心ください」


「唯がきちんとしてくれていると思っているから心配はしていないわ」


 綾がそう言うと唯さんは嬉しそうにほほ笑んだ。


それから綾のお洋服や着物のことを話してお茶会はお開きとなった。


 先ほど唯さんが嬉しそうにしたのが忘れられなくて、お茶会の後千佳に「いつも部屋を綺麗にしてくれてありがとう」とお礼を言うと千佳は「とんでもないです。でも嬉しいです」とはにかみ、千佳にお礼が言えてよかったと思った。


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