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恋とか愛とか結婚とか  作者: 更西東花
第一章
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渚29歳 梅月

 私が提出した報告書を読み貴臣様は頭を抱えた。


「なんで貴祥はこんな難しい家の子を選んだのだ。他に沢山女の子が来ていたのに」

 

 調べたかぎり葵様は問題が多すぎた。それは彼女にではなく家庭にだ。


 元々東条彰吾とうじょうしょうごもいまいち信用ならないが、特に義父が問題がありすぎる。


 葵の実父の死に直接関与していないが、会社も嫁も奪っている。葵様の実父は会社や家を失ったことで、茫然自失となり事故死している。嫁は最初から狙っていたのか分からないが、こんな男が葵を大切にするとは思えない。


「綾様も気に入られて遊ばれたほどです。対だということではないでしょうか」


 貴臣様も思うところがあるのか頷きため息をついた。


「最悪北条で引き取るつもりがあるが、本家同士が難しいこともあってできる限り避けたい」


「はい。ただ、葵様の教育が本当に出来るかは不安ですね。娘の織江おりえも甘やかして、今でさえ生活をみてやっているほどです。その上東条は面倒を嫌って、強引に離縁させて引き取ったりはしていないようですから。葵様を藤波ふじなみから守るつもりはなさそうです」


「あぁ~面倒な。最近大きくなったと生意気になった東条家は本当に面倒だな。一層のこと潰してしまうか?そうすれば葵を引き取れるだろう」


見ていた書類を机に放り聞いてくるが、首を横に振り否定する。


「後々のことを考えても葵様のためにも潰してしまうと、それはそれで面倒です。手を貸してやって西条さいじょうに頑張ってもらいましょう」


「気の長い話だがしょうがない。ではどうするかなぁ」


 すぐにはいい案が浮かんでこないようで、貴祥様は考え込んでしまう。


「侍女を葵様につけるつもりです。貴祥様も心配されたように、葵様は小さく痩せすぎです。十分に食事を与えてもらえてない可能性があります。侍女を付け生活環境の改善と躾、藤波からの保護をさせるつもりです」

 

 南条家で鍛えているが、侍女だけでは藤波から守るのは難しい。


「生活環境の改善と躾は侍女でもなんとかなりそうだが、藤波からの保護は侍女には難しいだろう」


「大丈夫でしょう。藤波は東条家から支援してもらっています。東条家に報告義務があると最初から伝えておけば、姪の彼女をひどい扱いはしないでしょう」


 貴臣様も同じ考えだが、報告すると言えは最悪は防げるはずだ。


北条ほうじょう家にではないのか?」


「藤波には貴祥様の許嫁だということを伝えるつもりはありません。金の無心に来られても面倒ですので、知られてしまうまでは伝えるつもりはありません」


「それこそ面倒だ。藤波を潰してしまえばいい」


「藤波は東条家が面倒を見ていますし、東条家に引き取るのは彰吾の姪だと周囲に周知できるまで避けたいので」


「あぁ~くそ!いくら貴祥のためとはいえ、本家同士の結婚を認めるような真似はできないな」


「はい。残念ながら」


話が堂々巡りをし始めてしまった。本家同士の結婚が認められないので、どんなに環境が悪くても、

姪だと周知出来ないうちは東条家にも北条家にも引き取れない。そして、周知できる頃には貴祥が年頃で北条家で引き取るのが難しくなる。


「南条、葵の費用は出来る限り手助けしてやれ。本家に入らず末家でいるのなら、綾の半分も費用が掛からないだろう。それぐらい貴祥のためなら何でもない」


「分かっております。すでに侍女を数人選んでおりますので貴祥様に最終的に決めて頂きます。決定次第藤波に派遣します」


 話がひと段落した時、ノックの音とともに久我が入って来た。


「貴祥様のお相手の報告でしたら私もご一緒させてください。微力ですが協力させて頂きます」


「どうした久我くが。お前が協力するだなんて珍しい」

 

 久我は私と違って家に仕えているのではなく、貴臣様に仕えているので貴臣様以外の人間を手伝うのは珍しい。私には一目置いているのか問題が発生することはないが。


「貴祥様のこと聞きました。決断力もさることながら、幼いのにすぐに状況を判断され我慢されたとか。流石貴臣様のお子様です。対と上手くいくよう協力させて頂きます。それにあの執着は長くお待たせするとやる気を失うか、心を壊してしまう心配があります。そんなことにならないよう協力させて頂きます」


 久我が言う通り、投げやりになるだけならまだいいが、本当に会えないとなると死を選ぶのではないかと心配になる。


 貴臣様も反対の声をあげないところをみると、貴臣様も心配していたのだろう。


「お話し中失礼します。我が子のことですのに私にも頼ってください」


さつき


皐様も心配だったのだろう、話し合っているのを家僕から聞いたのか部屋にやって来た。


「綾が葵と遊ぶように勧めるのは私の方に任せてください。つまらなそうにしている時に唯たちとそれとなく勧めてみます」


「頼んだ」


 これ以上は今のところ打つ手がない。貴臣様が貴祥様に大見えを切った割には情けないが、早く綾の機嫌が直ることを祈るばかりだ。


読んで頂きありがとうございます。


タイトルも作家名も変えましたが、

前回読んで頂いたのに、早々に小説を削除してしまい申し訳ありませんでした。

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