葵5歳 梅月-6
千佳に起され少し元気になって夕食になる。今日はおじい様たちもご一緒みたい。
「今日の綾様のお着物綺麗だった?」
「はい綺麗でした」
「なにか美味しい物も食べられた?」
「はい美味しいおやつを頂きました」
夕食の時彰吾さんから話さないと約束をしたことを聞いていないのか、千桜さんが今日のお茶会のことをいろいろ聞いてくる。
「それじゃあどう綺麗で、美味しかったのか分からないわ。どんなお着物だったの?」
「それは貴祥様や綾様と約束したからお話しません」
「まぁ!そんな約束をしたの?」
「しました。また会いたいから絶対に話してはいけないって」
「幼い子になんという約束をさせたのか。可愛そうに。話しても貴祥様には分からないだろうから話しても大丈夫だぞ」
「そうだよ。楽しかったのだろ。僕たちも聞きたいな」
「そんなことないです。嘘をついたらすぐわかるからって」
「僕と貴祥様とどちらがあっていると思う?」
「分かりません。でも約束は守らないといけないから話しません」
どんなに聞かれても話さないと約束したもの。そうしないと優しいお2人に会えないもの。
皆に囲まれて、答えないといけない感じが辛くて涙が出てきた。
半分も食べられていないけど、食べる気が無くなってしまった。
「もうお腹いっぱいです。ごちそうさまでした」
「葵!」
彰吾さんに呼び止められたけど、私は椅子から降り自分の部屋へと戻った。
部屋へ戻ると千佳が抱きしめて慰めてくれた。
「千佳ちゃんと約束は守ったでしょう」
「よく我慢されました。私からも聞かないようお願いしておきます。あとで簡単に食べられるものを持ってきますね」
少し落ち着けばお腹がまだ物足りないのを思い出した。
「卵が食べたいな」
「卵ですね。では出汁巻たまごを作りますね。少し時間が掛かりますが、ここでお勉強されていますか?」
ここでは五月蝿くしてもいけないし、でも勉強するには時間が少ない気がする。
「本を読んでいます」
今日貴祥様が本を貸してくれた。ちゃんと読んで今度お会いするときに感想を伝えないといけない。
「かしこまりました。ではこちらで座って読んでいてください。すぐにお持ちしますね」
私がお借りした本を読み始めると千佳は部屋を出て行った。
読み始めるととても面白くて夢中で読んでしまって、千佳に声を掛けられてやっと本から顔を上げた。
机の上には先ほど食べなかった煮物に出汁巻卵があり美味しい匂いをさせている。
「いただきます。千佳おいしい」
千佳の出汁巻き卵は本当においしい。
「おかわりもありますから沢山食べてくださいね」
にこにこしている千佳に見守られて食べるご飯は先ほどと違って美味しかった。




