女王陛下のマンゴー
ごきげんよう、ひだまりのねこですにゃあ!!
今日は熱帯フルーツの女王、マンゴーのお話。
昨日、職場にて。
「マンゴーいただいたからおすそわけです」
たくさんもらったからと、職場にマンゴーを持ってきた先輩。
当然皆大盛り上がり。私のテンションも爆上がりだ。
「食後のデザートにしましょうか」
冷蔵庫で冷やされるマンゴーたち。ふふふ、身体の芯まで冷やされるが良い。
月曜日は一転して涼しくて、むしろ冷房のせいで寒いぐらい。先週だったらもっと美味しく食べられたのにと思わなくもないが、贅沢は言わない。
マンゴー……インドやジャワの言葉で「女王」を意味するらしい。
さもありなん。舌にまとわりつくような滑らかな甘みと、それをさわやか上品に仕立て上げるほど良い酸味。フルーツの女王と呼ばれることになんの不思議もない。
私の中の女王にたいする忠誠心が限界突破しそうだ。剣……は無いので、梱包材の芯を捧げよう。
待ちに待った食後のデザートタイム。
先輩の悲鳴が聞こえる。事件か!? 女王陛下はご無事なのか!? 近衛兵は何をしていたんだ!!
「……く、腐ってる」
職場の明るい空気が一気に冷え込む。
たしかに果肉は見るも無残に黒く変色している。
「ごめんなさい……まさかこんなに早く傷んじゃうなんて」
どういう風に保管していたのかはわからないが、この暑さだから想定以上だったのかもしれない。
いくつか切ってみたものの、全部傷んで真っ黒だった。
「仕方がない、捨ててくる」
そういってゴミ袋に棄てようとする先輩。
させるかよ。私の忠誠心は、見た目が衰えたところでなんら変わりはないのだ。
「待ってください、私が食べます」
「ね、ねこ!? いや……気持ちはありがたいんだけど、やめた方が……」
「問題ないです。食えます」
思い起こせば、もう半年近く果物を食べていない。
いや……先月、傷んだキウイフルーツをもらったっけ。
夕食は毎日パスタにオリーブオイルを少量かけて塩コショウしたものばかり食べている。フルーツを食べるなど夢のまた夢だ。
私は……フルーツに餓えているのだ。
このチャンスを逃したくない。
心配そうに見守る先輩方。大丈夫ですよ。ぎりぎり行ける香りです。
明らかにやばい個所は取り除いて口に入れる。
「ね、ねこ……大丈夫?」
「……みかん」
「……え?」
「腐ったみかんの味がします」
芳醇な香りも甘みもほとんどない。完全に腐る寸前のみかんそのものの味だ。
唯一感じるマンゴーの残滓は、その滑らかな舌触りだけ。
隠遁しても隠しきれない育ちの良さということか。古いのに新しい味とはこれいかに。
女王陛下というよりは……田舎のおばあちゃんという親しみやすさに涙が出そうだ。
残ったマンゴーは私が美味しくいただきました。女王陛下万歳!!
ちなみに、マンゴーはウルシ科の植物です。数十人に一人程度の割合で食べるとかぶれることがあるので、お気を付けくださいね。国産マンゴーはほとんどかぶれるリスクは無いです。
※決して真似しないでください。あまり美味しくはなかったです。
追記 猫じゃらしさまから、新鮮なマンゴーをおすそ分けいただきました〜ヽ(=´▽`=)ノ
絵/猫じゃらしさま