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07:Past

(明日から体育祭の練習か〜。めんどくさあ)

今すれ違った女子から脳に語りかけるようにその声は聞こえてくる。

時々こんな事が起こる。原因はわかっている。

四歳くらいの頃に五億人に一人が発症すると言われているとんでもない確率の病を患ってしまい、昔はアメリカで治療を受けていた。その手術の後遺症と言うことだ。

その手術の影響で、他人の思っていることや考えていることが分かるという異能力を手に入れた。役に立つ時は役に立つが、誰かとすれ違う度にこんな事が起きていたら、面倒でしかない。もっと細かく話すこともできるがえげつない話になってくるから今はいいか。


「どうかしたんですか?」

「おお!?」

いきなり山下さんが話しかけてきた。

「あ、いや、なんでもないけど。それより何か用でもあったの?」

「はい、生徒会のことでちょっと話したいことがあって」

「あ、そう、わかった」

「早速、体育祭の事で仕事があるそうで」

「何かするの?」

「はい、まあまとめ役みたいな感じですね。仕事の割り振り決めたりとか」

「なるほど」

「あと、用具の準備とかをして貰いたいそうで体育倉庫から得点板とかを出すよう言われたのですが」

「手伝おうか?」

「お願いします」


体育倉庫で女子と二人きり。なんだか緊張するなあ

とか思ってると

(こんな密室で男の子と二人きり。緊張するよお)

と、普段の山下さんからは想像できないような可愛らしい声が頭に聞こえた。

「なあ、山下さん」

「ひゃい!?」

(やだ、変な声出ちゃった……)

「可愛いな」

「え?」

心の中で呟いたつもりだったが、思いっきり声に出ていたようだ。

「あ、いや。ごめん」

「わたしって可愛いですか?」

「うん、可愛いと思うよ」

「そ、そうですか、ありがとうございます。」

「あのさ、同級生というか、同じ生徒会で活動していくわけだし敬語じゃなくてもいいよ」

「え、う、うん。わかった」

なんか距離が近くなった気がして嬉しかった。

「それで、これでいいんだよね?」

「うん、それで合ってるはず」

なんか地味に面倒くさいな。てかハードル出しとけって言われたらしいけど、うちの体育祭ハードルあんのか?それとも障害物競走的なやつか?


意外と時間がかかったな。今日はシフト入ってないから別にいいが。さて、帰るか。

「ねえ、志崎くん」

「ん、なに?」

「このあと時間あるかな?」

「大丈夫だけど」

「ちょっと付き合って欲しいところがあるんだけど」

「うん、いいよ」

どこだろうか。あのよく分からん異能力は、たまにしか発動しないため、ずっと心の声が丸聞こえという訳では無い。そして今は聞こえない。

にしても、山下さんから誘われるなんて思ってもみなかったな。


読んでいただきありがとうございます。

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