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一番仲の悪い女子が俺の前の座席になった件  作者: ラブ★コメディアン
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第十四話 五月二週(前編)

 あれほど待ち遠しかったゴールデンウィークも、終わってしまえば一瞬で、そう言えば高校生になってもう一か月も経ってしまった。

 入学当初は持ち合わせていた緊張感も、今では大分なくなっており、中学生ではない自分に対しての違和感も消えていた。


 そうして緩みつつある空気感の影響か、日置が一時間目の授業に出席しなくなっていた。

 彼曰く、「留年しないように計算している」とのことだったが、賢しい俺は「それは出席日数だけの話であって、試験の点数をはじめとした所謂成績は計算に含まれていないのではないか」と指摘した。

 すると彼は、わざわざ俺の登校の時間に合わせて駅前で待ち構え、そのまま俺をさらって街に繰り出すという荒業に出た。


「俺達、親友だよな」


 額面通りに受け取れない言葉を吐く日置を見ながら、俺も俺で高校の勉強に打ち込む気にならず、今日も今日とて高校近くの公園で貴重な十五歳の時間を潰すのであった。


 そして、同じようなことを考えるやつはどこにもいるもので、度々公園で顔を合わせるクラスメートがいた。

『住田』という名のその男とは、授業中であるはずのこの時間に公園にいるということで奇妙な連帯感が芽生え、どちらともなく一緒に話すことが増えていった。


 朝から自堕落な時間を過ごす二人を見て、『本当に進学校の生徒か?』と思った。

 俺も俺で、『こいつらがいる限り大丈夫だろう』と高を括った。

 そして、日置と住田もお互いを見て『こいつらよりは下にいない』と考えている様子だった。

 

 追試で全員が顔を合わせ、その考えが甘かったと気付くのは、もう少し先の話になる。

『目くそ鼻くそを笑う』と、知的な俺はそんな言葉を思い浮かべた。 


――


 そして、ゴールデンウィークが終わってからの変化がもう一つある。


「おはよう」

「あ、ああ、おはよう」


 休みが明けたその日、駅で電車を待っていた南が俺に挨拶をしてきたのだ。

 正直、日置が朝学校にいないことよりも、こちらの方が大きな出来事だった。

 そこから雑談に発展することもなかったが、今までの関係からの変化を感じていた。


 日置が言っていたとおり、『一度ちゃんと話すことができれば』とも考えていたが、その機会は思った以上に早く訪れた。


「遼太郎」


 その日の放課後もダラダラと時間を潰し、いつも通りの時間に駅のホームで電車を待ちながら、ふと南のことを考えていたその時だった。


「あ……。南……」


 振り返ると、そこには今まで頭の中で考えていた人物が立っていた。


「今、帰り?」

「ああ、うん。そっちも?」

「うん」


 当たり前のことしか言えなかったが、俺の頭にはその言葉しか浮かんでこなかった。

 そんなにあっさりと緊張を解くことはできない。

 そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、南は更に俺を緊張させる言葉を放った。


「あのさ……途中まで、一緒に帰らない?」

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