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一番仲の悪い女子が俺の前の座席になった件  作者: ラブ★コメディアン
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第十一話 五月一週(前編)

 前日になんやかんやとトラブルに巻き込まれてしまったが、待望のゴールデンウィークに突入した。


 あの夜、小心者の俺は輩に復讐されないか不安になったため、『次にこの駅前で見かけたら、何をしていても必ず百発殴る』と伝えておいた。

 当初反抗的な態度を見せていた彼らも、二~三発ずつ殴ると素直に頷いてくれた。

 今後、我が地元の治安が少しでも良くなることを、切に願うばかりだ。


――


「高校生と言えばゲーセンだろ」


 山奥に居を構える日置は、何とかの一つ覚えのように言った。


 今日は日置と遊ぶ約束をしており、俺達の高校がある街で合流していた。

 特に何をするかは決めていなかったが、やはり山間部では文明が珍しいのだろう、彼はゲームセンターに俺を誘った。


「まぁ、いいけど」


 特に断る理由もなかった俺は、ゲームセンターやらボーリング場やらが一緒になった娯楽施設へと向かう。

 男二人で出掛ける場所としてふさわしいかは分からなかったが、特に断る理由もない。


「村にいる時は何やってるの?」

「祭り」

「祭り?」

「ああ。この時期は豊作を祈って一族総出でお祈りをする」


 日置は真顔で言う。

 正直、冗談か本気か分からない。


「へぇ~。伝統があるんだ」

「まぁ、俺ん家農家じゃないけど」

「……一族だから、親戚の農業が上手くいけばいいんじゃないか」

「俺、中学校の時に引っ越してきたから、こっちに親戚いないけど」

「……そう」  


 お前さっき『一族総出』とか言ってただろ、とツッコミたくなったが、それも日置の思う壺の気がして、俺はスルーした。


「ちなみにどこ出身なの?」

「大都会岡山」

「……そう」


 日置曰く、海も山もある、最高の街だそうだ。

 正直、桃太郎ランド? しか知らない。

 そもそも桃太郎ランドが実在するのかも知らない。

 俺は岡山を、知らない。


 一通り遊んだ後、日置が「やろうぜ」と言って俺をパンチングマシーンの前に連れてきた。

 パットを殴って計測するタイプのもので、俺も何回かやったことがある。

 先に日置がパンチすると、『150』という数値が出た。

 平均より下くらいかと思ったが、ランキングには入っていたので、日置は「まぁまぁだな」とドヤ顔をした。


 続いて俺がパンチする番だ。

 殴り方のコツを思い出しながら、フォームを意識してパットに拳を叩きつける。

 

 先程の日置のパンチの時より、二回りくらい大きな音がした。

 

 ……『260』か。


 あ、ランキング一位だ。


 それを見た日置は唖然とした顔で俺を見る。


「お、お前……とんでもない音がしたぞ」

「コツがあるんだ」

「コツとかじゃねーよ! 何だよ、そのパンチ力!」

「筋トレと格闘技をちょっと、な」

「……ヤバくね?」

「まぁまぁだな」


 次は俺がドヤ顔をした。


「いやいやいやいや」

「何か俺やっちゃいました?」

「うるせー」


 球技が苦手な俺は、体育の時間に目立つことがなかったため、日置としては意外だったのだろう。

 ちなみに日置の運動神経はかなり良い。


「遼太郎にも取り柄があったんだな」

「失礼なやつだな」


 中学時代は文武両道で通っていた俺だが、学問においては高校入学からわずか一か月で落ちこぼれの兆しを見せ始めている。

 日置も負けず劣らず落ちこぼれ始めている。


 知的な俺は、『どんぐりの背比べ』という言葉を思い浮かべた。


 ……留年だけはしないように頑張りたい。


「……あれ?」


 日置が何かに気付いたように声を上げる。


「どうした?」

「あそこ……クラスの女子じゃね?」

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