第3話 5年間の誓い
ラウ君が行方不明になったと言っても何も言わずに出て行ったわけではない。ちゃんと理由がある。それは昨日私が告白した時のこと。
決闘が終わった後ラウ君は初めに鍛錬をしていた、人気のない場所にいた。もちろん隣には私がいる。
「ラウ君。決闘勝てたね。」
「ああ。あいつは剣鬼だってことに驕って素振りとか全然してなかったからな。」
「なんであいつがラウ君に決闘を挑んだか知ってる?」
「俺がレナと仲が良かったからだろ」
「うん。それと私の許嫁の条件知ってる?」
「知らないなぁ」
「それはね、この村で一番強い人なの。って事はラウ君が私の許嫁になっちゃうね」
そう言ったらラウ君の顔が真っ赤になった。そういう私の顔も赤くなっていると思う。ラウ君が私の顔を見た。私もラウ君の顔を見た。
「ラウ君、私ね。ラウ君の事が好き。剣士なのに必死に努力してるラウ君が好き。私を賢者としてじゃなくて、レナとして見てくれるラウ君が好き」
「レナ。俺も剣士だからって馬鹿にしないで俺として見てくれるレナが好きだ。一緒に鍛錬をしてくれるレナが好きだ。……けど今はその気持ちに答えられない。俺の父さんの事を知っているだろ」
「うん」
私は今泣いていると思う。ラウ君のお父さんのことは知っている。とても強い人だったらしい。まだお腹の中にいるラウ君を残して魔神に殺された。剣神の職業だったけどその時のこの世界で一番強かった。けど魔神に負けた。
「俺は魔神に復讐したいとは思わない。けど魔神に襲われた時に返り討ちに出来るぐらい強くなりたい。レナを守れないからな。今のままじゃ魔神の足元にも及ばない。だから俺はもっと強くならなくちゃいけない。その為には死ぬ気で鍛錬しなくちゃいけない。そこにレナは連れていけないんだ」
私はこの時ほど自分の弱さを憎んだ事がない。たしかに今の私ではラウ君の足手まといになるだろう。
「だからさ。5年待ってよ。5年経ったらレナは20歳だろ結婚適齢期だ。俺は5年間で魔神を軽く倒せるようになるからさ。今日からちょうど5年後にレナを迎えに行くから。待っといてくれ」
「ゔん、まっどぐ」
私はもう涙が止まらなかった。嬉しかった。私の事を考えてくれているそれだけでもう嬉しくてたまらなかった。しかも5年後に結婚の約束までしてくれた。そして私達はキスをした。前世で彼氏なんかいなかったから、私のファーストキスだ。そしてたっぷり二人で見つめあった後、ラウ君は何処かへ行った。
次の日ラウ君が何処かへ行ったことで村は大騒ぎになっていた。この村では毎年最大二人まで王都の学校に行くことになっている。もちろん自腹で自分の子供を行かせてやる事も出来るがこの村にそんな裕福な人はいない。みんなで少しずつお金を出し合うのだ。それに今年はラウ君と私が行く事になっていた。けど、そのラウ君がいないのだ。仕方なく私とクソガキが行く事になった。私は昨日の事は誰にも言っていない。言ったら茶化す人が出てくるからだ。私はそんな事されたくなかったから。誰にも言わなかった。でも言わなかったら言わなかったで
「はは。あいつはずるをしていたんだ。だから王都の学校に行ったらそれがバレるから逃げたんだ。そんなやつより俺の方がいいだろ!」
とかほざいていたけど、無視した。というか嫌われているのに気がつけ。けどこいつは剣鬼だから王都の学校に一緒にいかなければならない。けど5年間の辛抱だ。5年経ったら、ラウ君が迎えに来てくれる。王都の学校の寮だけど私にはラウ君が本気を出してようやく破れるぐらいの強力な結界がある。これをクソガキに破れる訳がない。対策は完璧だ。ラウ君に少しでも追いつけるように学校でもっと強くなってやる。今の私は自分で考えて自分の理論で魔法を使っているから、ちゃんと基礎を習ったらもっと強くなると思う。という訳で王都に行くぞ!




