過去編開始
「ねぇあっきー」
「な、なんだよ……」
「晴明様今何してるのかな」
「さぁなぁ。知らねーけど、信治君と一緒なんだろ? 仕事の確認かなんかだろ」
「そっかぁ。仕事かぁ。愛香は仕事だし選は自主修行だし、暇だなー。ねぇあっきー」
「お、俺は暇じゃねーよ……」
「何、デートプランでも考えてるの? 私も協力しよっか」
「いらねーよ。てかデートプランじゃねーし。仕事だ仕事! お前に関してのな!」
「え、私に対して? 守護霊様だもんね、あっきー」
「守護霊様をあだ名で呼ぶやつなんてお前くらいじゃねーの……? 明様だろ、明様」
「いいじゃん、あっきー。あっきー優しいもん、なんだかんだ許してくれるじゃない」
「まぁ……良い、けど……」
「ありがとうあっきー! 大好きだよ! いつもありがとう」
「は、恥ずかしい奴だなお前……」
「感謝の気持ちは素直に伝えないとねー」
「お前のそういう所、良いと思うぞ」
「そっか、ありがとう」
「ああ。じゃあ俺仕事するから……じゃあな」
「じゃあねー。……また暇になっちゃった。あ、凛暇かな。凛ー!」
バンッ(霊界と下界を繋ぐ扉)
「なぁにー千尋、どうしたの?」
「凛、暇? 雑談しない?」
「良いわよ、丁度子供達遊びに出掛けてるの。帰ってくるまで話しましょ」
「ありがと凛。幸太郎さんはお仕事?」
「そうよ、お仕事忙しいみたいなの。最近バタバタしてるわ。……にしても、まさか私があなたの元恋人と結婚するとはねー」
「元恋人っていうかなんていうか……。幸太郎さんの恋人だった人と私が似てたってだけだし」
「でも愛してたんでしょ?」
「うん……まぁね。でも今は晴明様一筋だよー」
「そうじゃなきゃ困るわ。今更より戻されても困るもの」
「あはは、ないない。でも凛との出会いも凄まじかったよね」
「そうねー、あの時は私も必死だったのよ」
「私に憑依してきて、『私の死体を霊視して!』って……。頑張って大昔の凛の死体霊視したら今度は『あなたになりたいの!』だもんね……どうしようかと思ったけど、無事成仏できて良かったよね凛」
「あの時は本当ごめんね、なかなか未練を断ち切れなくて……」
「良いよ良いよ、あれのおかげで凛と友達になれたんだもん。凛もあれのおかげで幸太郎さんと結婚できたんだもんね」
「そうね〜、感謝しているわ、あなたには。それにしても幸太郎さん、格好良かったわー。『オレがお前を幸せにしてやる。だから成仏しろ!』って……。あんなの惚れない方がおかしいわよ」
「幸太郎さん様様だよねー。良かったね、凛」
「ええ。そういえばりょうたろうさんとまいさん、近々結婚するらしいわよ」
「そうなの⁉︎ 良かったねー。りょうたろうさん、幸太郎さんと兄弟なのに全然性格似てなくてなかなか結婚言い出せないって悩んでたんでしょ?」
「そうみたいだけど、やっと言えたんですって。昨日報告に来たわ」
「そっかー。おめでたいねぇ。そういえば──」
凛と千尋の会話は凛の子供達が帰ってくるまで続くのだった。
──2年前──
(なーんか肩重いな……。どことなく熱い気もするし……。肩凝りか?まぁ大丈夫か。さて、BL小説でも読もうかな。検索検索ーー)
「……?」
(あれ……手が……勝手に動く? お……れ……だ……よ……?……誰だよ‼︎)
千尋がBL小説を検索しようとすると、手が勝手に文字を打ち出した。
(え……まさかの一人こっくりさん⁉︎ 嫌だよー!……無かったことにしよう。そうだ、私は何も見なかった……)
あまりの出来事に驚いた千尋は、今日はもう寝ようと就寝の準備を始めるのだった。
翌朝。
(ん……タバコの匂い……? しかも元カレの……)
「……。こ、これはもしや生霊という奴では……?」
千尋は携帯を取り出すと生霊について調べ始めた。
(生霊……生霊が来た場合、その人の匂いがする事がある……肩が重くなる……当てはまりますけど⁉︎ いや、まてまて。じゃあ昨日の俺だよってまさか生霊からのメッセージ……?)
ゴクリッ
「……とりあえず仕事行こう」
ひとまず問題を置いておく千尋だった。
帰宅後。
(生霊って飛ばす側も飛ばされる側もダメージ受けるっぽいんだよね……一番良いのは飛ばしてる側に連絡を取る事って書いてあるけど、連絡先なんて消してるし……そもそも連絡したくないしなぁ。でも生霊だったとしたらなんでまた今更……もう3年も前の事なのに……)
「!」
(うわぁぁ、手がまた勝手に動き出したよー! ええと……ち、ひ、ろ、ち、ゃ、ん、す、き……うわぁ……どうするこれ、会話を試みて説得するとか……? ええと、メモ画面メモ画面……)
『あなたは高橋さんですか?』
『たかはしだよ。ちひろちゃんすき』
『取り憑くのはやめて頂けますか?』
『やだ』
(速攻やだってきたよ……てか信じるとするならやっぱり高橋さんかよ……)
『取り憑かないで下さい』
『やだ』
(ぐぬぬ……。どうしたものか……除霊? いや、生霊は下手に除霊したら駄目なんだった……)
『ちひろちゃんすき。おれとつきあって』
『嫌です』
『つきあって』
(うわぁー誰か助けてー!)
内心で叫ぶ千尋なのだった。




