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魂の色




とある日。


下界の千尋は晴明と共にいた。


「晴明様、好きな色は何ですか?」


「うむ、我は紫色が好きだなぁ」


「そうなのですか。確かに私のイメージでも晴明様は紫色ですね。狩衣も紫色を使用した物が多いみたいですし……。晴明様、格好良いです!」


「良い良い。それより千尋、その〜、なぁ。(めい)、とは呼んでくれぬのか?」


「気に入ったのですか? 晴明様」


「う、うむ。二人きりの時は明、と呼んで欲しいのだぞ」


「ふふ、良いですよ、明……。では明に、プレゼントです」


「な、なんだ?」


「イメージして……固定保存! どうぞ、明」


「これは……千尋の持っている扇子の色違いか?」


「そうですよ、明。私は紅、明は紫です。あとは信治達にも造る予定なのです」


「そうなのか、良い良い。桜と梅の花がとても綺麗な扇子だなぁ。我、気に入ったのだ。ありがとう、千尋」


「良いですよ、明! あ、あと、もう一つ差し上げたい物があるのです。これなんですけど……」


千尋は背後に隠していた物を見せる。


「お守り袋……か?」


「そうです。中に水晶が入っていて……。晴明様のには、『万事うまくいきますように』と念を込めてあります。どうぞ、使って下さい」


「そうなのか。良い、肌身離さず着けるとしよう。ありがとうな、千尋」


「いえいえ!」


こうして千尋は晴明に扇子とお守りをあげるのだった。



その日の夜。


「じゃあ信治には、この青色の扇子とお守り! お守りには『(よこしま)なるモノを弾く』って念を込めたからね!」


「ありがとう母さん。助かるよ」


「良いよー。次に愛香には桃色の扇子とお守り! 本当は紅の扇子にしたかったけど、私と被っちゃうから桃色ね! 愛香のお守りには、『常に冷静でいられる』って念を込めたから」


「良いわ、母様。私、仕事でよく慌てちゃうから助かるわ」


「これを身につけてる限り大丈夫のはず! 最後に選ね。選は橙色の扇子とお守り! 選のお守りには『何者からも守る』って念を込めたからね!」


「何者からも守る? 信治にぃと何が違うの?」


「選は弾くだけではダメでしょ? にゃんじろうは戦闘能力が凄く高いのはサクトからお墨付き貰ってるから安心だけど、白蛇様はまだ分からないでしょ? 白蛇様がついてるとはいえ、万が一があるといけないし。だから『何者からも守る』、だよ」


「分かったよ母さん。ありがとう」


「良いよ〜。じゃあ皆に行き渡った所で! 料理だすからみんなで食べようね〜。まぁ私は作っておいた餃子なんだけどね」


『はーい』


そうして安倍家は仲良く食事して、一緒に寝るのだった。



次の日。



選は陰陽師の修行場で修行をしていた。様々な結界を張っては解除し、その成果を記録する。そんな選に話しかける者が居た。


「おい、選ちゃん。俺と遊ばない?」


「僕は男だよ。それに修行中だし。修行しないなら出て行きなよ」


「まぁまぁ、そんな修行なんていつでも出来るじゃん。それより俺と──」


「ニョロ〜。何してるニョロか?」


「白蛇様。この人、修行の邪魔をしてくるんだ。どうにかしてくれないかな」


「良いニョロよ〜。お前、こっちにくるニョロ〜」


そういうと白蛇様は男の足に絡みつき、ぐんぐんと引っ張る。


「な、なんだこいつ。止めろ! この!」


男は白蛇様の身体を掴むと、引っ張る。


にょ〜ん


「な、の、伸びた!?」


白蛇様の身体は引っ張られただけ伸び、うねうねと動く。


「ニョロ〜」


白蛇様は伸びた身体を男の全身に巻きつけ、男を拘束する。そしてズリズリと部屋の戸まで男を引っ張ると、ポイっと男を部屋の外に放り投げた。


「もう来んなニョロ〜」


そう言って部屋の戸を閉めると、鍵をかけた。


「ありがとう、白蛇様」


「良いニョロ〜」


こうして今回はお守りの効果を発揮する事なく、事は収まったのだった。



昼食時。



「父さん、今日も絡まれたよ」


「なんだと? 選、そやつは誰だ?」


「確か、竜樹(たつき)っていう人だったと思う」


「良い。その者は修行場に出入り禁止としよう。選、絡まれただけで大丈夫であったか?」


「うん。白蛇様がすぐに放り出してくれたからね。それで、白蛇様なんだけど、今日すごく身体が伸びたんだ。どうしてかな」


「うむ、霊体というのは実体と違って想像でなんとでも出来るものなのだ。白蛇殿は想像で身体を伸ばしたのであろう」


「そっかぁ。じゃあ僕も想像すれば身長伸びるの?」


「いや、我らは神格や霊格によって身長が決まるからな。まぁ年齢も関係しておるが……。選は我の子だから神だが、修行を頑張って神格を上げれば身長も高くなるであろう」


「そうなんだね。じゃあ僕修行頑張るよ」


「良い良い」


「晴明様〜、取ってきましたよ! 今日は秋刀魚の塩焼き定食です」


「ありがとうなぁ、る魔」


「いえいえ。それにしても、晴明様のお守り、とても効きますね! 千尋さんの念は強力ですねー」


「そうなぁ、とんとん拍子に物事が進むのだ。これは良いお守りだ」


「そうなの? 父さん。僕はまだお守りの効力を実感してないから分からないけど、効くの?」


「うむ、おそらく選のお守りも何者かが選に触れた瞬間効力を発揮するであろう。そのような気配を感じる」


「そっかぁ。良かった。安心して修行に集中出来るよ」


「そうなぁ、我も安心なのだ。どれ、そろそろ食べるとしよう。いただきます」


「いただきます!」


そうして晴明達は食事をするのだった。



数日後。



選は修行を終え、修行場の扉を開けた。白蛇様は龍王に呼び出されたようでここには居ない。


「よぉ、選ちゃん。てめぇ、よくも晴明様にチクりやがったな!」


「あ、竜樹。僕は不真面目な奴は修行場には要らないと思っただけだよ」


「ちょっと遊んでやろうと思っただけじゃねぇか! それだけで修行場出入り禁止だなんて酷すぎるだろ!」


「そもそも修行場でどうして遊ぶの? 意味がわからないよ」


「なんだと、てめぇ──」


そう言いながら竜樹が選の肩に手をかけた瞬間。


バチッ、ドガーン!


竜樹の手に電流が走り、まるで爆発に吹っ飛ばされたかのように選から数メートル後ろに吹き飛び壁に激突した。


「ぐふぅ!? な、なんだ!?」


「わー。凄い威力。これがお守りの効力かぁ」


「うっ……。ち、ちくしょう、覚えてやがれ!」


「覚えないよ〜、じゃあね〜」


竜樹は瞬間移動するのも忘れ、バタバタと走り去って行った。


「母さんにお礼を言いに行かなきゃ」


そして選は千尋へと礼を言いに下界へと降りるのだった。



「母さーん」


「いらっしゃい、選! どうしたの?」


「うん〜。お守り、凄く効いたよ。ありがとうね」


「そうなの、それは良かった! でも効いたって事は何かがあったんだね? 大丈夫だった?」


「うん、大丈夫。それより母さん、気になってたんだけど、僕の扇子とお守りってなんで橙色なの?」


「それはー、イメージカラーだよ! 選はなんとなく橙色みたいな暖かいイメージなの! 優しいからかな? 信治は冷静沈着、クールな青で、愛香は紅い着物をよく着てて情熱家だから紅のイメージかな。まぁ今回は可愛い桃色を渡したんだけど、着物が紅いから桃色で丁度いいかなって。晴明様は高貴で上品なイメージだから、紫! そんな感じかな〜」


「そうなんだ〜。イメージカラーかぁ、僕の母さんのイメージカラーは黄色だな。まぁ母さんの魂の色が黄色ってのもあるけどね」


「えっ、私の魂の色って黄色なの? というか、魂に色ってあるの?」


「あるよ母さん。父さんは紫、信治にぃは青、愛香ねぇは赤、僕は橙……。母さん、本当は霊視出来てるんじゃないの?」


「えー、出来てないよ! まさかの真実だよ! もしかして魂の色って、その人の性格を表すのかな?」


「確かに魂の色によって性格も違うみたいだよ。黄色は前向きとかね」


「そうなんだー、面白いね! じゃああの人は何色っぽい、とか結構魂の色を当ててるかもしれないねー」


「そうだね母さん。まぁ霊界人は霊視すればその人の魂の色が分かるけどね」


「そっかぁ。じゃあ選、にゃんじろうと愛座右衛門は何色っぽい?」


「僕は魂の色を知ってるから、母さんが当ててみてよ」


「えーそうだなぁ。じゃあにゃんじろうが青色で、愛座右衛門が──」


こうして千尋と選はしばらく魂の色の当てあいっこをするのだった。




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