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誕生日会

「おはようございます、晴明様」


「うむ、おはよう千尋」


「それと……お誕生日、おめでとうございます!」


そう言いながら千尋は晴明に抱きつく。(さわ)れはしないものの、晴明の存在を確かめるように手を回す。


「千尋……ありがとう……」


晴明は嬉しそうに微笑みながら千尋を抱きしめた。


(霊視、もっと出来れば良いのに……。そうすれば晴明様の表情、もっと視れるのになぁ……)


千尋は霊視があまり出来ない。よって声で晴明達の表情などを判断していた。


「晴明様、これ……横笛です、どうぞ」


千尋は霊界と下界を繋ぐ扉を使い購入していた横笛を取り出す。視えないながらも直感で晴明に似合いそうな物を選んでいた。


「うむ、これは雅な横笛だな。ありがとう、千尋」


「いえ……」


(お礼は身体で、とか言いたいけど言えない……)


物言いたげな表情をしていたためか、それを見た晴明はふっと笑う。


ちゅっ


「えっ……えっ! せ、晴明様⁉︎」


「ははは、千尋は可愛いな」


(晴明様……不意打ちは卑怯だ……!)


キュンキュンする胸を抑えて暫し立ちすくむ千尋だった。



その日の夜。


「じゃあ晴明様預かるよー私」


「うん、宜しく。楽しんで来て。晴明様も、楽しんで来て下さいね」


「うむ、お主が来れぬのは寂しいがなぁ。未来を楽しみにするのだぞ、千尋」


「ええ! 楽しみにしております」


「ではな」


そういうと、晴明と未来の千尋は霊界へと向かった。


(楽しい誕生日会になるといいな……)



──霊界にて──



「では晴明様の誕生日を祝って──。かんぱーい!」


『かんぱーい!』


「うむ、良い良い」


「にゃんじろう、これ食べる?」


「にゃあのぉ!」


「みさと、にゃんじろう、来てくれてありがとう。楽しんでいってね」


「うん、ありがとう千尋ちゃん。僕たちの方こそ呼んでくれてありがとうね」


「にゃあのぉ!」


「人数が多い方が楽しいしねー。二人の近況も聞きたかったし?」


「あはは、僕たちは相変わらずだよ。ねーにゃんじろう」


「にゃあのぉ!」


はぐっはぐっ

にゃんじろうはマグロの炙りを嬉しそうに食べる。


「でもさーかの有名な伊達政宗様が猫化してるなんて、世の歴女達が知ったら阿鼻叫喚だよ。可愛いけどねー」


「あはは、そんなに有名なんだ? 伊達政宗様って」


「うん、有名有名。私も最初知った時は驚いたなー」


「にゃあのぉ!」


「あ、人体化する? ちょっと待っててねー……はい、着物」


みさとはにゃんじろうの着物をパサッとにゃんじろうに掛ける。


人体化!


「……俺ってそんなに有名なのか」


「うん、有名。独眼竜政宗! ってね」


「……そうか」


そうどこか嬉しそうに言いながらにゃんじろう……藤次郎は着物を着ていく。


「みさと……俺、あれ食いたい」


「取るよ、ちょっと待ってて」


「ああ」


「にゃんじろ……じゃなくて藤次郎様、たくさん食べて下さいね〜」


「ああ、ありがとう」


「千尋、我あれが食べたいのだ。取ってくれぬか?」


「良いですよ晴明様、待ってて下さいね〜」


「うむ、良い良い。藤次郎、いつも信治を守ってくれてありがとうなぁ」


「いや、いいです。俺信治の事好きだし」


「うむ、良い良い」


「はい、藤次郎。取ってきたよ」


「ありがとうみさと。……あーん」


「えっ……あーん……もぐもぐ」


「うむ、良い良い。我も千尋にやろうかなぁ」


「そうですね」


「父さん、これ美味しい?」


「うむ、美味いぞー。選、これも食べるのだ」


「うん」


「晴明様、取ってきましたよ。はい、どうぞ」


「ありがとうなぁ。……あーん」


「えっ……あーん。もぐもぐ」


「うむ、美味しいか?」


コクコク


「良い良い」


「ごくんっ。……晴明様、はい、あーん」


「良い良い。あーん……」


「……僕も未来(みき)ちゃんにあーんしてもらいたいなぁ」


「どうしたの選。あーんなら私がしてあげるわよ」


「愛香ねぇにしてもらっても……。あ、今日サクト殿来れなくて残念だったね」


「そうなのよね、急な仕事って……残念だわー」


「愛香ねぇはサクト殿と結婚するの?」


「そうね、そのつもりだけど……結婚出来るようになるまであと3年かぁ、長いわー」


「20歳にならないと結婚出来ないもんね。僕はあと4年だよ」


「未来ちゃんと結婚したいの?」


「うん、そう思ってる」


「そう、決める時にはビシッと決めなきゃ男が廃るわよ」


「うん」


「なに、なんの話?」


「あ、信治にぃ。結婚の話」


「結婚かぁ、俺も杜姫美(ときみ)としたいけど……」


「そういえば今日杜姫美ちゃんは?」


「今日は用事があるってさ」


「そっか。信治、子供は何人くらい欲しいの?」


「そうだなぁ。沢山欲しいかな。でも母さんが成仏するまでは作らないつもり」


「そう、私も同じ考えよ」


「僕も」


「母さん……いつ成仏するんだろうね」


「まだまだじゃないかな」


「未来の事はあまり知っちゃいけないんだものね」


「母さんがずっと居るのかー。楽しみだなぁ」



こうして夜は更けていく──

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