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ケーキ作り

「……なぁ、千尋よ」


「なんですか晴明様」


「我な、そろそろ引退しても良いと思うのだ」


「え、日本の最高神様をですか?」


「うむ。信治ももう18歳だ。我な、引退してずっと千尋と共に居たいのだ。良いか?」


「それは……。嬉しいですけど、信治がなんて言うか……」


「うむ。聞いてみよう。信治ー!」


バンッ


「なぁに父さん。いきなり霊界と下界繋ぐ扉開けないでよ」


「うむ、すまんなぁ。信治、お主最高神を継ぐ気は無いか? 我、そろそろ引退したいのだ」


「えっ、引退? 早くない父さん。俺まだ勉強中だよ」


「うむ……だがな、信治はもう最高神となっても良いくらい勉強しておるのだ。しばらくは我も手伝うからな、最高神とならぬか?」


「うーん……。母さんはどう思う?」


「そうだなぁ、信治次第だと思うよ」


「そっかぁ……。うーん、分かったよ父さん。俺、最高神になるよ」


「そうか!ではさっそく明日から仕事に行こうなぁ」


「うん。あ、母さん、今週の土曜日、愛香(あいか)(せん)と集まるんだ。未来の母さんにも来て欲しいんだけど……」


「良いけど、なんで? 何かあった?」


「うん。父さん日曜日誕生日でしょ?下界の母さんは作れないけど、未来の母さんなら霊界でケーキ作れると思って。俺達でケーキ作りたいんだ」


「そっか! 良いね! 今声掛けてみるよ」


バンッ(未来と現在を繋ぐ扉)


「私ー!」


「なぁに私。何か用?」


「あのね、今週の土曜日こっちこれない? 信治達、晴明様の誕生日祝いにケーキ作りたいんだって」


「わー、なるほどね! 信治達と誕生日ケーキ作りかぁ、楽しそう!」


「じゃあ宜しくね」


「うん!」


バタンッ


「……信治、我のために……」


「あ、ごめんね父さん。父さんは日曜日楽しみにしていて欲しいから来ないで欲しいんだ」


「そうか……。大丈夫なのだ、我千尋とおる」


「そうですね、晴明様」


「楽しみにしておるぞ、信治」


「うん!」


──土曜日──


ピンポーン


「はーい……。あ、愛香」


「来たわよ信治」


「うん、ありがとう。選はまだなんだ」


「そう、母様は?」


「まだ来てないよ」


「そう」


「呼んでみよっか」


「ええ」


バンッ


「母さん、まだ?」


「あ、信治! 今行くよー。よいしょっと……」


バタン


「ふー、あ、選はまだなんだね」


「うん、そうなんだ。ケーキなんだけど、晴明様は何ケーキが好き?」


「そうだなぁ、基本的に甘いもの食べないけど、甘さ控えめのチーズケーキなら食べるよ」


「そっかぁ。レアがいいかな、ベイクドがいいかな?」


「私はレアがいいと思うわ」


「私もレアが良いと思うよー」


「そっか、じゃあレアにしようか」


「そうだねー」


ピンポーン


「あ、選かも。はーい」


ガラッ


「やぁ」


ピシャン


「……何故守人(もりと)殿がいるんだ?」


「えっ守人殿?」


「なんでかしら……」


ガラッ


「ちょっとちょっと、いきなり閉めるなんて酷いよ君……。それとも僕の美しさに目が眩んで──」


ピシャン


「……早く選来ないかな」


「そだね……」


ガラッ


「ねぇ君達……僕の泰明(やすあき)がここに来てないかい?」


「えっ……泰明様? 来てませんけど……」


「そうかい……まったくどこに行ったんだろうね。ああ、愛しの泰明……。じゃあね!」


「はい……」


ピシャン


「……泰明様、あんなのの何処がいいんだろうね」


「さぁ……」


──10分後──


ピンポーン


「はーい。あ、選!」


「来たよー信治にぃ。母さん達は?」


「中にいるよ、今は材料書き出してるところ」


「そっかぁ。母さーん」


「はーい、よく来たね選! 私の家じゃないけど……。何してたの?」


「うん、ちょっとだけ修行してたらつい集中しちゃって……」


「へぇー偉いね選、陰陽師の修行お休みの日もするんだね!」


「うん……母さん……会いたかった……」


ぎゅー


「母さんも会いたかったよ〜!」


ぎゅー


「はいはい、その辺にしてチーズケーキ作るために材料買ってこよう。選、一緒に食堂行くよ」


「うん。じゃあ母さん達、レシピ書き出しといてね」


「分かったー」


「分かったわ」


「行ってらっしゃい、二人とも」


「行ってきまーす」




ーーその頃下界ではーー


「晴明様、誕生日プレゼント何が欲しいですか?」


「ううむ……。そうなぁ、横笛かなぁ。最近音楽にハマっておるのだ」


(横笛……晴明様が奏でる横笛……聴いてみたい!)


「そうですか!では霊界の横笛買っておきますね!」


「うむ、ありがとうなぁ千尋」


「いえいえ!」


「それにしても、時が過ぎるのは早いものだなぁ。千尋と出会ってもう2年が過ぎようとしているのか……」


「そうですね、あれから2年か……。早いものですね」


「そうなぁ、霊界と下界では時差があったから我にとってはもう18年になるがなぁ」


「そうですね……晴明様には感謝致しております。信治達を立派に育てて下さって……」


「うむ、愛香は大変だったなぁ。下界の人間が母という事を認めずになぁ」


「そうでしたね……。でも今ではちゃんと認めて下さっています。晴明様のおかげですよ」


「そうなぁ、我頑張ったのだ。褒めてくれ、千尋」


「はいはい。ありがとうございます、晴明様……愛していますよ」


「千尋……愛しておる」


「今頃信治達はケーキ作ってますかねー」




──その頃霊界では──


「選、それ砂糖じゃなくて塩だよ」


「あれ、おかしいなぁ」


「信治君達、何作るんだ?」


「チーズケーキです。明日父さん……晴明様の誕生日なので」


「そうか、偉いなー。頑張れよ」


「はい! って選、それビスケットじゃなくて煎餅……」


「あれ、おかしいなぁ」




「愛香、レシピ書けた?」


「ええ、書けたわよ。母様見てくれる?」


「うん、いいよー。えーと……。うん、完璧!」


「じゃあ後は信治たちが帰ってくるのを待つばかりね」


「そうだねー。あ、お茶飲む?」


「飲むわ」



──30分後──



「ただいまー」


「おかえりー! ちゃんと買えた?」


「うん、選が何度も材料間違えるから手間取ったけどね」


「あはは、選料理できないもんねー」


「……僕だってやれば出来るもん」


「そうだね、じゃあちゃっちゃか作りますか!」


「うん」


「まずはビスケットを袋に入れて細かく砕いてーー」




「……で、出来た」


「疲れたー」


「選が塩入れようとするからよ」


「だって砂糖と似てるんだもん」


「まぁまぁ、あとは冷蔵庫で冷やして完成! 皆よく頑張ったね〜」


「母さん……明日も来てくれる?晴明様の好物作ってよ」


「私、母様から料理習いたいわ。サクトに作ってあげたいの」


「良いよー、じゃあ明日は柚子胡椒の炊き込みご飯とか作ろっか! 愛香手伝ってね」


「良いわ」


「柚子胡椒の炊き込みご飯……美味しそう……」


「信治柚子胡椒好きだもんね〜」


「今日はありがとう皆。じゃあ明日の夜7時に晴明様の家で。あ、母さんと愛香はご飯作りがあるから17時に晴明様の家だよ」


「分かったわ」


「うん」


「了解! 明日楽しみにしてるね〜、じゃあね!」


バタン


「……下界の母様、今頃何してるかしら」


「きっと晴明様といちゃついてるよ」


「そうだね」


そう言って解散したのであった。



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