岩盤浴と温泉
霊界にて──
「光ー、小十郎ー、おるかー?」
「なんですか、晴明様」
「どうされたのです」
「岩盤浴に行こうではないか!」
「岩盤浴? いきなりどうしたのです」
「我、良い岩盤浴場を見つけたのだ。自然のもので、なぁ。近くに温泉もあるのだ。行こうではないか」
「そうなのですか。それはいいですね。行きましょう」
「うむ、良い良い。着替えを用意してくるが良い」
「はい」
「ええ」
そうして光と小十郎……晴明の元補佐役の二人は家へと戻るのだった。
岩盤浴場にて──
「うむ、程よく暑いなぁ。良い良い」
「そうですね。床に布を敷いて寝れば良いのですよね?」
「うむ、千尋に聞いたらそう言っていたなぁ。下界の人間は汗を流す為に来るらしいが、我らは汗をかかぬからな。温まるだけなのだ」
「そうなのですね。最近めっきり寒いですし、暖をとるにはうってつけの場所ですね」
「そうなぁ。どれ、寝るのだ」
「はい」
「ええ」
数時間後──
「うむ、体の芯まで温まったのだ」
「そうですね。近くの温泉に入って帰るのですよね?」
「そうなのだ。では我の手を握るのだ」
「はい」
「ええ」
そして三人は温泉へと瞬間移動した。
「うむ、良い温度だなぁ。時に小十郎、最近にゃんじろうとはどうなのだ?」
「どう……と言われましても……。政宗様は会われてもみさとのお話ばかりで、いつも惚気られて終わりなのです。小十郎は寂しゅうございます」
「そうか、良い良い。にゃんじろうは本当にみさとが好きだものなぁ。にゃんじろうは実体の時から強かったのか?」
「はい、それはもう。幼き頃は私に負けて悔し泣きをされていたのに、成長されてからは度々私にもお勝ちになられて……今でもたまに手合わせ致しますが、変わらずお強いです」
「そうか、信治を守るにはうってつけの人材だなぁ。良い良い。光はどうだ、奥方とは上手くいっておるのか?」
「はい、最近子を作ろうかと話ているのです。もう結婚して10年経ちますし」
「そうか、良い良い。男の子が欲しいのか? 女子が欲しいのか?」
「ううむ、男の子ですかなぁ。将来信治様をしっかりと補佐できる男の子が欲しいのです」
「子の将来は子が決めるべきではないか?」
「大丈夫でしょう、信治様はとても魅力のあるお方。きっと我が子も信治様に仕えたいと思うでしょう」
「そうか、なぁ。そうだ、渚の方はどうなのだ?」
「渚は着々と補佐への道を登っておりますよ。あと数ヶ月もすれば信治様の補佐になれるでしょう」
「そうか、それは良い。光、小十郎、しっかりと渚に教え込むのだぞ」
「「承知いたしました」」
こうして男三人は夕食の時間まで温泉に浸かるのだった。
数日後。
千尋は幸太郎と共に居た。
「幸太郎さん、凜とは最近どうなのです?」
「なんだ、藪から棒に。毎日愛してるって言い合ってるぞ」
「え? りょうたろうさんと愛し合ってる?」
「ちげぇよ! どんな耳してるんだお前……」
「ふふふ。そういえば晴明様、この前岩盤浴と温泉に行ったらしいのです。りょうたろうさんと行っては如何ですか?」
「岩盤浴と温泉? 良いな。どこにあるんだ?」
「それは晴明様にお聞きして下さい」
「そうか、分かった」
(ふふふ……岩盤浴といえばはだけた浴衣。そして温泉では裸……ああ、りょうたろうさん幸太郎さんの事押し倒さないかなぁ!)
「ならてつやも呼ばないとな」
「えっ」
(ふ、二人っきりじゃないのー!? く、くそう……!)
「てつやくんと言えば……てつやくん、浮いた話聞きませんけど好い人とかいないんですか?」
「ああ、一応彼女はいるみたいだぞ」
「えっそうなんですね。付き合ってどのくらいなんですか?」
「確か二年とか言ったか」
「へー、じゃあラブラブな時期ですね。良いなぁ」
「千尋も晴明様とラブラブじゃないか」
「そうなんですけどね」
「千尋さーん、りょうたろうですよー。相談に乗って欲しい事があるんですけどー」
「りょうたろうさん、いらっしゃい。なんですか?」
「あれ、幸太郎も居たんですか。まぁいいです、ついでに幸太郎も僕の相談に乗って下さい」
「なんだ、いいぞ」
「実はあと三日後にまいの誕生日があるんです。でもプレゼントが決まらなくて……。何が良いでしょうか」
「うーん、誕生日プレゼントかぁ。うーん……。あ、バッグなんてどうです?」
「バッグ?」
「はい。霊界にはありませんか? バッグ」
「無いですね……いつも風呂敷に包んでいます」
「じゃあバッグ、喜ばれるんじゃないですか?」
「ああ、オレもそう思う」
「でも、売ってないですよ? バッグなんて」
「私が創りますよー」
「いいんですか? ありがとうございます! では早速創って頂けませんか」
「良いですよー。じゃあ画像検索しますね」
「はい!」
数十分後──
「固定保存! ……出来ましたよ、りょうたろうさん! これでいいですか?」
「はい、バッチリです! ありがとうございますー。お礼に1つなんでも言うことを聞きますよ」
「えっ、いいんですか!? それじゃあ──」
バンッ(霊界と下界を繋ぐ扉)
「マーロー!」
「なぁにー千尋、どうしたの?」
「りょうたろうさんが孝太郎さんを押し倒すから、それスケッチしてー!」
「なっ」
「えっ」
「あ、写真も撮ってね!」
「ああ、まぁいいけど……。じゃありょうたろうさん、押し倒して下さい」
「ちょ、ちょっと待て。何故オレが押し倒されなきゃなんない!」
「いいじゃないですか幸太郎さん、ちゃんと幸太郎さんにも凛用のバッグ創りますから!」
「何が何だか分かりませんが……押し倒せば良いんですね?」
「はい!」
「ちょ、待て──」
グイッどん!
「これで良いですか?」
「マーロ、写真写真!」
「はーい、撮りますよ〜」
カシャカシャ!
「りょうたろう……お前……! くっ、覚えてろよ!」
「はいはーい、動かないで下さいねー」
「凛には絶対に見せるなよ! マーロ!」
「はーい」
「私呼ばなくっちゃ! 私ー!」
バンッ(未来と現在を繋ぐ扉)
「なぁにー私」
「見て見て! じゃーん!」
「……きゃあああ! 萌えー!!」
「萌え? ってなんですか? 千尋さん」
「あ、りょうたろうさん。気にしないで下さい」
「千尋さん、てつや……で……す……。ご、ごめんなさい!」
「ま、待ててつや、てつやー!」
こうしてりょうたろう達はてつやに誤解されるのだった。




