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時越え 参

 突然時を越えてしまうという、なんとも奇妙な信じられない事態が玲の身に起きた、その数時間後の夕刻――。

 玲は命の恩人とも言うべき義観に連れられて、伽藍がらんが整然と配置されている境内の中を、きょろきょろと目線忙しく歩いていた。

 なにしろ広い、そして豪華な建造物、荘厳な寺院の威容に玲は目を白黒させる。

 さて、そんな様子の玲は、はたして何処に向かっているのだろうか?

 それは、今から半刻前の時刻に遡る――――。




 食事も終え、無事に制服から着物へと着替え終えた玲は、暫らくは明心から此処寛永寺の事、それから勤めるに当たっての心得や説明を聞かされていた。

 しかし修行僧である明心には勤めや勉学があるため、ずっと玲を構っている訳にもいかなくせわしく寺へと戻っていった。

 その後、暇を持て余した玲は、住処となった家の探索をしていた。と、言ってもそれほど広くはない。

 こじんまりした土間には釜戸に流し台に勝手口、一段上がった所に板間があり、続きに六畳位の座敷が二間ある。

 二間の中央は襖で仕切られ、縁側に面して障子。

 玄関がなかった。急遽作った家と言っていたから玄関は省かれたらしい。

 外観は純和風の素朴な佇まい、離れに厠と井戸があり、家屋は林の中にぽつんと存在しているようで周りは木々に囲まれ、細い道が一本あるのみだった。

 家屋の裏に回ると、監視所のように見受けられる見張り台のような高さ約八メートル位の木製の塔があった。

 きっとこの塔から墓場を見張っていたのだろう。――などと思いながらウロウロしていたら、いつの間にか此処に来ていた義観に声を掛けられた。

 座敷につき義観から話を聞くと、これから輪王寺門主の入道慈性親王というお方と公現法親王のお二方に会いに行くというのだ。

 公現法親王は聞いた事があったような気はするが、はて、誰だったか? などと考えていた所、義観により詳細を説明される。

 輪王寺門主とは、親王宣下しんのうせんげを受けた皇族男子が出家して門跡もんぜきに入り、日光山輪王寺と、ここ東叡山寛永寺の住持じゅうじ兼務けんむ為さる、とにかく強大な権威をもっている崇高なお方。

 そのお方が、現門主入道慈性親王。御年四六歳。

 そして、次代の後継者になるべくお方、公現法親王は仁孝天皇の猶子ゆうしで昨年、東叡山寛永寺の門跡となられ入寺したのだと。御年十二歳。

 それを聞いて驚いた玲は、畏れ多くて拝謁はいえつなどできないと伝えたのだが、

「先に御門主と宮に面会しお主の事を報告した際に『対したいので伴ってきなさい』と言われた」と、また「ここで過ごす以上はお主も黙っしているわけにもいかんだろ」とそんな風に言われてしまえば、なまじ正論な言い分なだけに断る事は不可能というもので、玲は渋々といった様子で了解したのである。

 そんなこんなで拝謁が決まると、玲は失礼や無礼の無き様にと、小奇麗に身支度を整えて、とはいうものの、この時代風の身支度は玲にはできないので、下し髪だったウェーブの黒髪を夜叉巻きにして、持っていた蝶にスワロフスキービーズがあしらわれたコンコルドで髪を留め、身だしなみ程度に軽くお化粧を施しただけ。

 そうして、玲は恐々とした様子で義観に伴われ宮のいる本坊へと向い歩いているのであった。




「あのそれで、私のことは何と伝えたんです?」

 前を歩いている義観に声をかける。

「ん? 騙す様なことはしたくない。御門主と宮には在りのままの話をした。大層驚いてお出でだったがな」

 はははっ。――と笑いながら歩いている。

「……そんなこと誰だって驚きますよ。時を越えた本人でさえ信じられないことなのですから」

 義観の軽い感じが気に障った玲が言い返すと『おやっ』と眉を上げた表情で義観は振り返り立ち止まる。

 しかし、何も言わず微笑んでまた歩き出した。


 玲の父は、いつも多忙で日本にいないなんて事も頻繁にあり、それはなんら珍しい事ではなかった。

 玲が幼い頃は、祖母が日本に留まり社長業務を、そして副社長の父は海外でビジネスをしていた。その後、祖母の引退を機に会社の拠点を海外に移した父は年に数回日本に帰国する程度となった。

 そのような環境ゆえ玲は幼い頃から父と接する機会が極端に少なく、たまに会っても他人行儀なギクシャクしたもので親子という親子らしい関係を父と築いてきてはいなかった。

 それでも兄達が居たおかげで家族愛というものに無縁だった訳ではない。

 お世辞にも親子関係は良好とは言えぬが、兄妹関係は悪くはなかった。

 しかし、二人とも年の離れた兄なため一緒に遊んだなどといった幼少時代の記憶は少ない。

 玲が幼稚舎に通い始めたころ母が亡くなり、それ以来ずっと寂しい思いをしてきていた。

 義観のように優しく暖かい微笑みを、一度でも父から向けられたことがあっただろうか。

 義観がくれる温かさに慣れない玲は、困ったような、でも何処か心が癒されていくような温かな気持ちになる。

 これから、お目通りする事をすっかり頭の隅に追いやった玲は赤く色づいた落ち葉の道を、にこにこと義観の後をついて歩いてゆく。

 すれちがう僧達が、玲の美貌に驚き注目していることなど、ちっとも気付きもせず。



 義観に連れられ立派な屋敷の一室に通された玲。

 しかしすぐに義観は、何処かへ行ってしまい一人広い座敷で待たさせられている。

 一段高くなった所から少し離れ、だだっ広い部屋の真ん中に、ぽつんと座っている玲は落ち着けずにいた。

 二十帖以上はあるかと思われる部屋の奥は、一段高くなっていて円座が二つ置いてありバックには大きく立派な額に収まった墨で描かれた絵が飾ってある。

 段の下がった両サイドには円筒形の行灯があり、更に玲の座っている辺りの両サイドと少し後方のサイドにも同じ行灯が置いてあった。

 暫らくすると障子の向こうから聞こえてきた衣擦れのような音。

 その音は、徐々に近づいてくる。

(もしかして、御門主様と宮様?)

 そう思った玲は、咄嗟に両手を膝前につき平伏し、暫し待つ。

 親王などという雲の上の存在の方にお目通りになった事など、もちろん経験のない玲は、いつか観た時代劇のドラマの中の役者がそうしていた様に真似る。

 スッと、障子の開く音。頭を下げている玲には見る事は出来ないが、足音を確認するに、三・四人はいる様子。

 一人、玲の傍に誰かが腰を下ろした。きっと義観だろう。

 暫らくして、みんな腰を下ろしたのか静かになった。

 玲の表情が緊張で徐々に強張ってくる。

「玲とやら、面をあげよ。苦しうない」

 玲は、緊張を押し隠し、所作美しく凛とした美しい姿勢で顔を上げる。

 二人の人物が、部屋の最奥の一段高い場所に並んで座りこちらを見ている。

 ひとりは、一目で上質な物と判る緋色の布に金刺繍で紋の入った金欄の袈裟を纏った、威風堂々とした威厳に満ちた壮年の男性。

 もうひとりも、やはり上質な物と判る金欄の袈裟を纏った、まだ幼さの残る、けれど生まれ持った上品な気品を携えた少年。

 思わず、ごくり、と喉を鳴らす玲。

 しかし、喉を鳴らしたのはなにも玲だけではない。

 玲の立ち振る舞いと美貌に、御門主も、まだあどけない少年の宮も息を呑んでいた。

 義観から類を見ない美貌であると聞かされていたお二方であるが、なるほどと得心した様子と驚きを持って玲を見ていた。

 すると、不意に玲が平伏した。

「御門主様、宮様、お初にお目にかかります。私は柳崎 玲と申します。まず初めに、この度は大変なご迷惑をお掛けしまして申し訳ありませんでした」

 玲は平伏していた姿勢から頭を上げ更に口上の述べる。

「私は義観僧侶に助けて頂き、そしてこの程こちらの寺院の離れにてお世話になる事になりました。僧侶からお聞き及びかと存じますが、改めて私からもご報告させて頂きます。ならびに私がこちらで御厄介になります事を許してくださり、また格別のお引立に預かり厚く御礼申しあげます」

 そう一気に述べ、再度深く頭を下げお辞儀をした。

 その様は多少緊張しているようだが、それでも凛とした落ち着きある佇まいに、高い教養と躾が垣間見れる。

「うむ。そう硬くならんでもよい。そなたが、後世から来たのだと聞いた。哀別悲離あいべつひり、難儀であったな。しかし、是にも何か意味があるのだろう。そなたは、こちら側に来る宿命だったのだよ」

 起こる変化に意味のない事はない、そうなるべくして物事は起こる。と優しい音色で告げる。

 御門主の威厳に満ちた印象から、そんな優しい言葉を掛けて貰えるとは思っていなかった玲。

 その御門主の思いがけない言葉に、玲の緊張も徐々に解れていく。

 しかし、緊張と引き換えに、今度は若干の不安が襲ってくる。

「勿体無いお言葉、身に染み入ります」

 少し言葉を止め更に続ける。

「しかし、こちら側に来るのが宿命なのならば、私は何をする為に来たのでしょうか? それが私には分かりません」

 その表情からは、不安がありありと浮かんでいた。

 この異常な事態に対する解釈と説明を、玲は求めているのであろう。

 少しの間のあと、御門主が微笑みながら口を開く。

「案ずるな。季節が巡るように人にも巡り合わせがある。急がずとも、おのずと道は開けてくる。そして、導きだされた答えが見えてくるようになる」

 続けて、宮が口を開いた。

「これから此処でいろいろ学び、己に何が出来るか又、何がしたいか、まずは、そこから始めればいいのではないですか?」

 宮は、明るい笑顔をたずさえながら問うように告げた。

 ――いつか、時を越えた意味がわかる時がくるのだろうか? そもそも、意味などあるのだろうか? 今はまだその答えは分からないけれど、過去から来たなどと言って現れた自分を、助けてくれただけじゃなく、こうして自分を信じ心配し優しく接してくれる人達がいる。

 血の繋がった家族はいないけど、義観のように暖かい父のように思える人もいる。

 こんな自分は、もしかしたら幸せ者なのかもしれない。

 いつか、このご恩返しが少しでも出来るように今は、この世で自分なりに頑張っていこう。――今は、それでいい。と、胸の内で思う玲。

「御門主様、宮様、暖かいお言葉、ありがとうございます。私、こちらの世で頑張って生きていこうと思います」

 そして、いつの日か出来うる限りのご恩をお返しします。と、胸の中で呟く。

 玲の斜め前に座り、いままで黙って事の成り行きを見守っていた義観が言葉を発した。

「御門主、宮、私からも重ねて御礼を申し上げます。この子は私が責任を持って世話を致します故どうかご安心くださいませ。――そこで早速ではございますが申し上げなければならない事がございます。……先程私が上申しました、この子の勤めの件でございますが、僧達に混じって家政とは少々考えものやもしれません。

この本坊に向うにあたってこの子を伴って参りましたので私はわかりますが、いささか気がかりになりましてね……改めを考えております」

 義観は、ここに向う中、余りにも目立ち人目を惹きつける玲を目の辺りにして心配になってきたのだ。

 それに、なにやら玲は自分の外見を何とも思っていない平然とした様子で、見ている義観の方が気が気でないのだ。

「あのっ! 私ここに来る途中、何かご迷惑お掛けしましたか?」

 義観の申し立てを聞いた玲は――自分が何か失態を犯したのではないか? と焦りながら言葉を発した。

「何かしたのなら謝ります。でも、少しでも何かの役に立ちたいんです。料理も洗濯も、私頑張りますから大丈夫です」と必死な様子で義観に述べる。

 その言い分を、困った表情で耳を傾ける義観。

 その様子を険しい表情で眺めていた御門主、しかし、それは誤魔化した表情だったらしくいきなり大声で笑い出した。

 宮も、隣でケタケタと御門主と一緒に可笑しそうに笑っている。

 義観も玲も、何が起こったのかわからず、笑っている御門主と宮を呆然と見つめ返す。

 暫らく経ち、笑いがひと段落したのか御門主が、一つ咳払いをして、

「いや、失礼した。なにか微笑ましくてな。

義観が困っておるとな、そんな珍しいこともあるのだなと思ったら、その一因がこの玲殿だ、可笑しくてな」と言い、また可笑しそうに表情を崩して「義観そなた、玲殿の父上のようだな」と言って堪え切れなくなったのか再び笑い出した。

 それを聞いた義観は、固まり呆然としていたが、暫らくして自分でも可笑しそうに、

「その通りでございますな、私が頭を悩ますなど。これが俗に言う親馬鹿なのでしょうかな? 私もずいぶん丸くなったものです」と言って、御門主と宮と一緒になって笑い出した。

 まだ出会って僅かであるのに、義観の暖かさは玲に安心感を与えてくれ、心を穏やかに保たせてくれる。

 玲にとって、既に全幅の信頼をおいている義観はまるで父のような存在である。

 その義観と御門主のその言葉は、くすぐったくも嬉しい言葉の贈り物。

 玲の父は、親馬鹿などには程遠い人物であった。玲自身も父に親馬鹿と言われるような存在になって欲しいなどと考えた事も無い。

 でも、今こうして義観が自分を心配し自分のために頭を下げ行動をしてくれている。

 それがなんとも、こそばゆく、更には喜んでいる自分がまるで甘えているようで恥ずかしくなる。

 そんな自分を発見した玲は、頬を紅潮させ恥ずかしそうに俯いた。

 そこに、宮がニコニコと柔らかい微笑みを浮かべながら、玲に声を掛ける。

「玲殿、義観は玲殿をお子のように思っているようです。頑固で融通の利かない所もありますが、きっと玲殿のお力になってくれますよ。頼もしいですね。でももし、迷惑する事があったら私におっしゃってくださいね、叱っておきますから」

 それを聞いた義観が聞き捨てならんとばかりに――宮っ、何をおっしゃる!? と笑いを止め言葉を発した。

 しかし、尚も宮は変わらぬ笑みを携えて言葉を続ける。

「玲殿、今度私に後世のお話をお聞かせてくださいね」とニッコリ微笑んで。

 玲は、過去に来て悲しいはずなのに、何故かとても幸せを感じる今の状態を不思議に感じながら、

「はい。おじ上は、とても頼もしいです。――それに宮様とお話できること楽しみにしております」と本日二度目となる大輪の美しい花を咲かせた。


 その満面の笑みを見た、宮も御門主も同じように深い笑みを浮かべる。

 そして義観も、先ほどの宮の言った言葉は大して気にしていなかったのか、やはり同じように満面の笑みを浮かべていた。






**********




 下弦の月が浮かぶ夜空を、縁側に腰掛けゆったりと眺めながら、玲は目まぐるしかった一日を振り返っている。


 あれから、義観と御門主の二人が話し合い、玲の勤めの改めが決定された。

 とりあえず、仕事始めは明後日からになり、仕事内容は、朝の境内の掃除と洗濯、それと義観の仕事の手伝い。

 後はたまに、宮が勤めも勉学もなく暇な時の話し相手というものになったのだ。

 しかし、それでは余りにも楽ではないか? と玲は異論を唱えたのだが『今は、この世に慣れることが大切なことだから』と、義観も御門主も宮も中々頑固で変えてもらえる事はなかった。

「はぁ……良いのかな? 甘えすぎじゃないかな、私」

 裸足に草履を履いた足元の落葉が、冷たい風に巻き上げられ飛んでゆく。

 時折吹く風は肌を刺すように冷たく、長い冬がもうすぐそこまで来ている事を告げている。

「さむっ、そろそろ部屋戻ろ」

 縁側に上り、一枚だけ開けていた雨戸を閉める。

 部屋には行灯と敷かれた布団、もう寝る準備は万端である。

 しかし、眠くて当たり前のはずが不思議と目が冴えてしまっていて眠くならない。

 ふと、部屋の隅に置いた自分の荷物に目がいく。

「荷物チェックでもしようかな。――何、入れていたっけ?」

 荷物を布団の上に移動してバックを開ける。

(えーと、携帯に筆記用具、ノート、手帳、電子辞書、うち合せした時の書類各種、手鏡に香水、化粧ポーチ 、財布、腕時計、ハンカチにティッシュね。あと――)

「忘れちゃいけないのが」

 と言って、部屋の隅に片付けられている特徴ある形の黒のケースに視線を寄せる。

「ヴァイオリン!」そう言って玲は柔らかい微笑みを浮かべる。

 そして、バックからガサガサとビニール製の二つの袋を取り出し、更に二つの紙袋を傍に寄せる。

 大きい紙袋の方から順番に開けていく。

 ブティックで購入した物は、黒のウールのケープコートとベレー帽。

 花屋で購入した物は、ハーブの栽培キット、ガーデンエプロンとガーデンシューズのセット、それと海外のセレブに人気だという理由で店員さんにゴリ押しされて購入したグロー○ブルスのゴム手袋。

「この時代じゃ、使えるかどうか微妙なものばかりね……でも、このコートなら地味だしこの時代でもイケそうかな?」

 更にガサガサとビニールの袋を開けていく。

「雑貨屋さんで買ったのが、新作の香水とヘアーゴム。うん、こっちはなんとか使えそうね」

 最後に書店の袋を開ける。

「お風呂上がりに試してみようと思って買った、足ツボの本と……医学の参考書……か」

 本を手に、一つため息をつく。

 玲は、密かに将来は医者になりたいと思っていた。

 もちろん祖父と兄が医者ということで多少の影響は受けているが、それよりも母が病気で亡くなったという要因が玲にとっては大きい。

 当時幼かった玲は、母のためにして上げられる事は何もなく、それは幼子心にも悔しい思いをした記憶が今も色濃く残っている。

 そして玲自身も母を亡くして以来、寂しい想いをしてきていた。病人を治す事は勿論、自分のように悲しい想いをする人が一人でも多くいなくなりますように。と願い、出来るなら医者になりたいと思っていた。

 しかし、それも夢で終わりそうだ。

 なんせ、この世界では医療のレベルが違いすぎる。

 現代では簡単に薬で治せる病気も、この世界ではその薬から発明していかなくてはいけない。

 医療道具もそうだ、余りにもレベルが違いすぎる。

「はぁ……もう寝よう」

 考えても仕方がない。と荷物を片付け始める玲。

 片付けついでに、ぐっすり眠れるようにとアロマ代わりに、買ったばかりの香水をつける。

 行灯を消すと真っ暗で、目を開けているのか閉じているのかさえ分からない。

(ほんと、すごい所に来ちゃったな……でも、不思議と嫌じゃない。御門主様が言ったように、こちら側に来るのが宿命で何か意味のある事なのならば、私はそれを受け入れよう)

 改めて、こちらの世界で頑張っていく事を胸に誓う。

「さて、明日はこの家に家財道具入れるって言っていたから忙しいぞ、ほんともう寝なきゃね」

と、一つ欠伸をして瞳を閉じる。


 外では、澄んだ空気の中、青白く圧倒的な美しさを誇る秋独特の月と星達が玲を歓迎するかのように光輝いていた。










※投稿する際に文章を読み返したり、投稿した後も自分で気付いた時には修正をしているのですが、それでもまだ見落としがあるかもしれません。

恐れ入りますが、お読みになっていて誤字・脱字、または読みづらい文章を発見された場合は、ご報告頂けると助かります。

お手数お掛けしますが宜しくお願いします。胡竹

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