糞便と間違われた少女
ここは、パリ。花の都。
一人の老紳士、シャンゼリゼ通りを歩く。
「それにしても、パリという街は、道に犬の糞の多いことよ」
いかにも、道すがら、黒い汚物が点々と。
老紳士は、巧みに、うんこ避けて行く。
すると前方より、女の子が歩いてきた。それは、それは汚い女の子。
老紳士は、思わず、身をかわし、
「や、失敬、君を犬の糞と間違えたんだ」
女の子が、あんまり汚かったので、こういう間違いが起こったのだ。
ほほえましい紳士の失敗、陽気なパリっ子たちは、一斉に笑い声を上げた。
沸き起こる哄笑、恥ずかしくなった老紳士は、そそくさとその場から逃げ出した。
ところで、女の子の心には、一生消えない傷が出来たということだ。