9話 ザルザルでござる
今私、お城にお呼ばれしてるの。
5才から10才くらいまでの女の子がいっぱいいる。
「ここに集められたのが、未来の王妃候補ですわね」
「まあ、おほほほほほ」
とか、子どもがやってるの見ると笑える。
しかし、呼ぶだけ呼んで指示も出さないとは、あいつナメとんのか? ユヌカスめ。
珍しく、父様がお城に行ってくれって頼むから来たのに、掃除の場所の指定もなしとか、ダメダメじゃない?
もう、片っ端から掃除していく?
集まった子どもたちは、洗礼前の子も多いためか部屋の中までプール状態だ。
水の中に潜ると、向こうの方の小窓が開いてる。
中を覗くと、なんか剣とか鎧とかプカプカしてるね。
ゴミかなあ。ゴミだよね。
大事なものだったらキチンとしまってあるはずだもんね。
ピっとして分解。コロンとしたのを収納。
ん!なんだかキレイなお部屋になったよ。何にもない!
ふ〜、いい仕事したな〜。
じゃあ、オイトマするごあいさつしたら帰ろうかな。
ユヌカスどこだろ。
元の部屋に戻ってウロウロしてたら、ユヌカスが見つけてくれたよ。
「ラメル、今日はどうだったかな。楽しんだかい?」
楽しんではないけど、満足はしたな。
「ここにいるのは俺の嫁候補たちだが、気の合いそうな者はいたか?」
将来いがみ合うのもイヤだろうしな、とか言ってるけどどうしていがみ合うのかな?
「あ〜、ラメル。そもそも結婚とかについて何か考えていたりするのか?」
結婚ねえ。
「夫婦2人で仲良く暮らしたいです!」
「ふ、2人で?」
「うん。2人でお料理したり、2人で旅行行ったり、2人でお風呂入ったり」
お父さんとお母さんは、そんな感じだったもんね。
っていうか、お母さん迎えに来れるのかなあ。
「だが、2人では無理だろう? 使用人たちは必要だろうし。第2夫人は娶らねばならないだろうし」
現実的ではないな。2人でラブラブしたいとか、夢見がちなお子様だということか?
なんかブツブツ言ってるね。
でも、日本は一夫多妻制ではないから
「そういう人とは結婚しないから大丈夫だよ」
教えてあげたら、ユヌカス笑顔のまま固まっちゃった。
もう帰っていいかなあ。
お帰りの支度して父様を待っていたら、なんだか騒がしくなった。
第6宝物庫の中身が、空っぽになっちゃったんだって。
こっちにも怪盗っているんだね。
お国の1番大切な建物の警備が、ザルなのはよくないと思います!