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71話 終わり

「覚悟はできているんでしょうね?」

言うと、ガーディアの首に手をかけているカイトウだった者を嬉々として一発殴る。

油断していたのか、簡単に壁まで飛んでった。


うおっしゃあ!


「ガーディア、大丈夫?」

「は、はい。姫様」

いのう、愛いのう。

私を見上げてキラキラしているガーディア。

私が守ってあげるからね!


そして一旦ザンダイの本体のあった場所まで戻ると、白南風をMAXモードにする。

ふっふっふ、原子まで分解してやるわ!


王が刺して穴のあいている場所目がけて白南風をプスッとな。

うっ、痛そう。

しゅわしゅわ解けていく肉体。

床に落ちていた血痕までが、跡形もなく消えていく。

……原子より小さくなったっぽい。


「わかってはいました、わかってはいましたけど、姫様が規格外過ぎませんか?」

「あの剣、刃がないし魔方陣をどけているだけに見えたからたいしたことないかと思いきや、滅茶滅茶危険じゃないですか」

「さすがクブダール様の愛弟子」

周りが何か言ってる。


身体は割と簡単に分解できたんだけど、透明な紐みたいのはまだ残っている。

魔力を目一杯流そうとしたら、逃げ出した。


「ううぁぁあ」

跪いたカイトウに無数の色のない紐が絡みつく。

少し残っているカイトウの意識さえ、なくなってしまうかもしれない。慌ててカイトウの身体のあるところに戻る。


「カイトウ、死ぬ」

クロマがガーディアを見た。

「ガーディア、カイトウ、結婚する、助かる!」

「??」

言ってることがわからないから、こんな状況の中みんなが梅干し顔になった。


「カイトウがガーディアに懸想しているのは周知の事実。カイトウの心が満たされれば、その紐を跳ね除けられるのではないか?」

オクスィピトが思案顔をするとガーディアが固まった。


「それはいい考えです。いい加減カイトウ様にも身を固めていただかないと、僕らの身も休まりません」

訓練ばっかりで、と兵士達が頷き合っている。


つまりこれはアレかな?真実の愛で助かる、ロマンティック童話パターンだよね。

ムフムフ。


白南風を使えば多分なんとかなるんだけど、私はロマンティック童話の行方を見届けたい。

人の命を天秤にかけてまですることじゃないとわかってはいるんだけど、デバガメが止まらないよ。


ほら、カイトウも苦悶の表情をしながらチラチラとガーディアを見てるし。


「ガーディア、どうする?」

クロマがもう一度問うとガーディアが横に首を振ろうとした。

「ぐぉうぅう」

とたん、苦しみ出すカイトウ。


……演技派だな。


「ヒロインの口づけで命が助かるのは物語の定石だし、ガーディア、がんばって!」

思わず声をかけると、カイトウがやる気になった。

ガーディアにのしかかり、強引にいや〜んだ。

……ってか、普通は逆だしな!


王が感心したように手をうち、ユヌカスとオクスィピトは壁に手をついてため息をはいた。


公衆の面前で、しかもやんごとないお方のいる前でそれやったら、ちゃんと責任とれよ。

カイトウの幸せは願ってないけど、ガーディアの幸せは願ってる。


「ママ、今のうち!」

わかったよ、クロマ。

カイトウの中の紐が進行を止めたのが見える。

ガーディアにのしかかっているカイトウの上に、動かないように足を乗せ、心臓の辺りを一掴みした。


「うぁあぁ、げほっ」

カイトウが声を上げた。

やべ、これは心臓だった。カイトウ死ぬ。

わ、わざとじゃないよ!

カイトウはガーディアをしっかり抱きしめたままだが。


えっと、こっちのワサワサしてるやつだよ、うん。

そいや〜っと!

手を引きずり出すと、クラゲの足みたいな透明のうねうねが纏わり付いている。


「ふんっぬ」

全身の魔力でしゅわしゅわしていく。

「金の種、根っこ」

なるほど。カイトウに種がなかったのは、もう発芽しちゃってたからなんだね。


握った手から湯気のように煙が立ち、全て消えてしまった。


「割とあっさり、一件落着でしたね」

さすが王様とユヌカスだわ〜と感想を述べると、2人共微妙な顔になった。


私たちは白い道を歩いてこの部屋から出ていく。

カイトウとガーディアはしっかり手を繋いで。


私は振り向いて、部屋の中を見た。

この国はこれから少しずつ変わっていくんだろう。


もう2度と来ないぞ!っと振り返り足を踏み出した時だった。

コレデ終ワリダト思ウナヨ〜!って聞こえたような?

ま、いいか!


足元に這っていた透けた芋虫を、プチッと踏み潰したのはクロマが見ていただけだった。


「ママ〜、プチッ!クロマ、仇!ありがと!」

「なんかよくわからないけど、クロマが幸せだと嬉しいよ」


私たちも負けずに手を繋いで帰ろうね!


本編終了です。ありがとうございました。

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