6話 浮力を利用してね
肥料がよかったからか、庭に植えてある木からたくさん果物が採れるようになった。
たくさん収穫できたから、腐らないように空間棚のところに入れてみたら、魔力ゴリンって収納されてた。
なんか強そう。
取り出すとき、毛むくじゃらの黒い動物になってないことを祈る。
むしゃほしゃ魔力ゴリン食べてたら、虹色魚のシェーキがやってきた。
あの捕まってたドジな子だよ。時々遊びにくるんだよ。
『嬢、うまそうなのやっとるな』
「グワムファ?」(食べたいの?)
『嬢、何言っとるかわからんじゃ』
ごっくん。
え〜と、あったあった。
「はい、どうぞ」
空間からゴリンを取り出した。
むふ、私なんだか凄腕のマジシャンみたいじゃない?
2人?で岩のところに座ってむしゃってる。
平和だなあ。
ってさっきまで思ってたよ!
なんで美少女剣士、剣抜いてるの?!
「そこにいるのは竜の宮の使いではないか。お前が盗んだのか?!」
なぬ?
「シェーキ、竜の宮の使いなの?」
『違わい』
2人?して首かしげちゃう。
竜の宮の使いとはなんぞや。
「マリン、捕縛の魔石がそんなに簡単に破られるわけがないだろう」
「ユヌカス様!」
あ、ジャラジャラの人だ。
「捕縛の魔石って?」
「捕縛用の鎖に赤い魔石がついているのだ。カギがあってもなかなか解けぬ錠なのだ」
ん?見覚えあるね。
シェーキと顔を見合わせる。
うんうん、あれは無かったことにしよう。
私とシェーキ、今心はひとつ。
「ところでシェーキ殿。なぜこちらにいらっしゃるのです?」
あの偉そうなユヌカスがシェーキに敬語だよ。
竜の宮の使いとか、偉い人?なのかな。
『ここの水が合うからじゃろ』
「む、そう言われてみれば、ここの水はキレイだな」
あら、むほほほほ。気づいちゃいました?
「ラメル、たくさん掃除したんだよ。すごいでしょ」
えっへん。
「なるほど。ラメル、俺の館を掃除する権利をやろう」
光栄であろう?だって。
いやだよ〜。掃除なんて別に好きじゃないもん。
「別にいらな〜い」
「な、なぜだ? 次期国王にして、この美貌。誰もが羨むユヌカス様の館に招待されているのだぞ!」
なんか痛い人だな。
「ん〜、ユヌカス様は私のタイプじゃないから興味ない」
私、ジョニーズ系の細マッチョで、黒目黒髪がいいのよね。
金髪翠眼って外人さんだから、いまいち見分けがつかないんだよ。
みんな似てるんだもん。整ってる顔だな〜ってのはわかるけど。
「ユヌカス様?ユヌカス様!」
美少女剣士マリン、口から泡を吹いているユヌカスを担いで激スピードで帰った。
水の中って重さを感じないから、重い物を運ぶのに便利だな〜って改めて認識したわ!