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51話 武器庫

お城や神殿の周り、そして大通りには無事に電灯が設置された。

人の集まるところは魔素供給に困らなくていい。究極の自家発電だよね。

一度たっぷりと魔素を溜めてしまえば、後は近くに人が時々通ってくれればいいのだ。


「ずっとつきっぱなしなのは困るから、部屋とかに設置するならONとOFFのスイッチが欲しいですよね」

風間君に同意を求める。と、ユヌカスが眉を寄せた。

私は構わず続ける。

「人に感応するのではなくて、周りの明るさで切り替わるタイプが出来上がれば、外の電灯は省エネできてなおいいと思います!」

風間君にさらに注文を加える。

案は出すけど、その先を考えられるのは風間君なんだもん。


「そういうことはもっと早く言え」

風間君が嫌な顔をした。

「2度手間になるだろうが」

って、風間君が気づかないのが悪いんじゃない?日本時代に普通にあった物のことを言っただけだよ。

別に私、悪くないよね。

けど、他に人目があるのに、前世話しはできぬ、むむ。


「この電灯を城の保有する他の施設にも設置できないだろうか」

風間君に対する腑に落ちない感を持て余していたら、ユヌカスから申し入れがあった。

「もちろんいいですよ」

ユヌカスから頼まれることなんて、そんなにないから正直嬉しかったりする。私、ユヌカスの役に立ててるっぽいじゃない?


「普段の明かりには蝋燭や松明などを使うことが多いだろう?だが、できることならば火の気を近づけたくない場所もあるからな」

「火の気が困るのに、明かりが必要な場所があるの?」

じゃあそこは今まで、明かり取りの窓だけが頼りだったとかかな?


「国の機密事項だが、父上からラメルならいいと許可が出たんだ。武器庫に電灯の設置を希望している」

そんなに重要な場所に私が行くの?

武器庫だと明かり取りの窓もなさそうだもんね。

電気があるといいよね。けど、

「オクスィピトで充分じゃないのかなあ」

ちょっぴりビビって言うとユヌカスが笑った。


「武器庫は重要な場所であるだけに、短時間で確実に終わらせたいんだ。ならばラメルの力が必要不可欠だと兄上が言ってな」

作業に指示を出している風間君をチラリと見て、乗り気にならない私を抱き寄せた。

「どんな理由であっても一緒に出かけられるのは嬉しいから、兄上の案に賛成してしまった」

ごめんね、なんて言うから私まで楽しみになってしまったではないか。


すると、そのままユヌカスと風間君に連れられていくことになっていた。

今すぐとか、心の準備できてない!


「他にもいくつかの武器庫があるのだけど、明かりが欲しいのはここなんだ」

ここはお城の片隅にある第3宝物庫なんだって。

「以前、第6宝物庫を荒らされたことで警備も強化されたんだけどな」

それが功を奏してか、あれ以来賊が侵入することはないらしい。

けど、まだあの時の犯人は捕まっていない。

そして、いなくなった人もまだ見つかっていない。

近々、大掛かりな捜索をするために準備を整えたいらしい。


とても重そうな扉を開けると、中が薄っすら暗い。

「正面の壁の辺りが何だかキラキラしていますね」

暗がりでも存在感ある、きっと何かすごい武器があそこにあるのだろう。


「伝説になっていて、実際には明らかではないけど、姫君が前の大戦で使用したといわれる剣が飾ってあるんだよ」

姫様の剣、見たい!きっとキレイでかわいい剣に違いない。それとも、伝説になるくらいの剣なのだからカッコイイのかな。

わくわくしながら、お仕事人さんが電気を設置するのを待つことにした。

と、設置してすぐパッと電気がついた。


「武器がたくさんありますね」

ほの暗い時にはわからなかったけど、明るくなるとすごいいっぱいあるのがわかる。

「武器庫だからな」

風間君が馬鹿にした顔でつっこんでくる。

わかってるし。

思わず言いたくなるくらい、たくさんってことだもん。


そして、バンっと視界に飛び込んでくる壁の剣。

まずは大きさが圧巻だ。もうすっかり成人の大きさになったクブダールですら、背中に担いでもだいぶ浮いていないと地面に引き摺るんではないかな?

あんなの誰が使えるんだろう。


「あれが、先の大戦で姫君が使用したと言われている、姫君の剣だよ」

やめて!言わないで!

そうかな、と思ったけど、あえて考えないようにしてたのに。

姫様って巨人なの?

クブダールの2倍とか……想像していたのと違うよ。昔の姫様、かわいくない。ショックだ。


意識をそこから外すようにぐるりと中を見渡すと、私も知ってはいたけど、模擬刀が一番頻繁に使われるらしい。

「模擬刀のある場所だけ、埃もなくてきれいですね」

「そうだな、よく持ち出すからな」

うん、人の出入りしている雰囲気があるよ。


これ以上は私が知ることではないし、他の埃をかぶっているところの質問はしない。

電灯のスイッチをOFFにして、武器庫を後にする。

風間君が作った新しいタイプの電気だ。

言ってすぐに機能を加えられるとか、やっぱり風間君っすごいよね。


ん〜、でも何かひっかかる。なんだろう?

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