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47話 sideガーディア

私はいつも通りカイトウ様の首を捕まえて、神殿の休憩室に向かいます。


みんながいなくなれば、カイトウ様は暴れるのを止めて迷子の子犬のような目をしてこちらを見ました。

ちょっと強く締めすぎたかしら。

首から手を離してカイトウ様の手と繋ぎます。

姫様にも頼まれましたし、逃がしません。


「夜寝ないで、こんなところまで見回りする必要はないのですよ。皆に心配をかけているのですから、ちゃんと寝ていただきますからね」

神殿の開いている部屋に入ると、ベッドを指差しました。

私は寝るまで見張りますよ!


実はカイトウ様は自分が不寝番ではない日にも、神殿を含めた警備をしているのです。私は気づいていましたから、少し怒ってもいます。


「ラメル様の周りの守りは厚いですが、ここは手薄ですから」

そういうことではありません。

「ここは、カイトウ様が気に止めなければならないような人はいません。まだ、街中を守る方が意味があるでしょう」

ここにいるのは皆、親もいない身分のない者だけです。カイトウ様が自分の身を削ってまで守らなければならないほどの者はいないのです。


「でも、ここには貴女がいるではありませんか」

おかしなことを口走ったカイトウ様に、思いのほか強く抱きしめられました。

「カイトウ様?」

「貴女がいなくなったらと思うと寝られないのです」

へ?

カイトウ様が寝不足でおかしくなりました。


「大変です、脳の病ですね。姫様を呼んできますから、少しお待ちください」

ぎゅうがきつくなりました。

息ができません。

苦しくて涙が浮き上がってきました。

「カ、カイトウ様、力を緩めてください」

腕の中から見上げてお願いすると、カイトウ様がものすごく動揺して3ミートルほど飛び離れました。


「カイトウ様は私を心配してくださったのですね?けれど、私もカイトウ様が心配ですよ」

何しろ顔色が青を通り越して黒いのですから。

カイトウ様をソファに導くと私は端に座って膝を叩きます。

ひとまずは、カイトウ様に寝ていただかないといけません。

さすがにベッドはご一緒できませんからね。

膝枕ならいいですよ。

「ご一緒しますから、一時いっときでも睡眠を取られてください。今なら膝を貸しますわよ」

少し視線を逸らしたカイトウ様は、それでもソファに横になりました。


「毎夜貴女をお守りしますから、こうして日中に時間をいただきたいですね」

と呟くと、スッと寝息を立てました。

瞼が落ち込み、随分お疲れのように見えます。

そっと髪を整えながら考えます。


カイトウ様は王子様付きになる程の方です。

注意されたり叱られたりされることはないのでしょう。私のような存在は珍しいでしょうね。

まさかカイトウ様が嗜虐嗜好をお持ちだとは思ってませんでしたから、私のようにきつめの貴族女性を探して差し上げないといけないようです。

従順な女性ではいけません。


結婚したお相手に毎日弄られれば、心落ち着いてお休みできるに違いありませんもの。


どこかにディニテ様みたいな方、いらっしゃらないかしら。



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