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37話 貯魔素電池

1日のうちで、図書館に通うのが1番楽しい時間になった。


ユヌカスやクブダールにも、包み隠さず前世や神様のことを話してある。

けれど、風間君ほど理解してくれる人なんていなかったから、おしゃべりするのが楽しいのだ。

ちなみに風間君は私のお母さんとお父さんが神様っぽい何か、とは言ってない。なんか恥ずかしい気がしたからだ。


そして今、風間君と作っているのは、魔素を自動で集める魔法陣を改良した貯魔素電池だ。

太陽光を集めるイメージで風間君が設計図を描いたの。風間君がすご過ぎる。


「僕達ドウシタンタ人は魔力を持って生まれてはいるけど、それを貯めておける場所がないんだよな」


風間君はこの図書館にある本は全て読破済みで、そのうえ2度と忘れないのだそうだ。

チート過ぎる。

風間君には知識だけではどうにもできないこともあるから、チートじゃないって言われたけどね。


「他の国の洗礼で得る洗礼石は、各々の容量に合わせた洗礼石が選ばれて現れるんだ。だから、体内に魔力を貯めておける」

「そっか。ドウシタンタ国はどれでもいいから自分で選ぶ方式だもんね。魔力を貯めることができないから、別になんでもいいんだね」

やっぱり他の国とは違うみたい。

つまりどういうことかっていうと、泉にある石は魔力を貯められない石ですよ、ということらしい。


そんな私たちだから、せっかく生み出した魔力を常に外に垂れ流し状態で体内には魔力がほぼない。

そのかわり、空気中には魔素がそれなりにある。もしかしたら、他の国より多いかも、なんだって。


それを集められたら、生活に活かせるのではないか、という発想なのだ。

さすが風間君。


「よし、できたよ」

スイッチオン!

「ぐおおおお、止め、止めろ!」

ぎょえええ!風間君が電池に吸い込まれてる!

え、えと、分解で解除!


ふ〜。


「広原、設計図通りに作ったんだろうな?」

風間君が般若みたいになってる。

「い、いやさ。さっきは吸込み力が足りなくて電気がつかなかったっぽいから、ちょっと強く吸い込むようにしたんだけど」

強過ぎちゃったみたい、てへ。

「僕の描いた通りのものだけ作れ。そして起動する時は言ってからにしろ」

風間君ご立腹でござる。


作品を風間君の目につくところに出しておくとご機嫌が直らなさそうだから、回収して元に戻してしまう。

もう一回やり直しっと。

「失敗した素材もすぐ元に戻せてまた使えるって、めちゃ便利だな。お前神様かよ」

ほえ、褒められた!

あの風間君にそんなこと言われると、本当に神様になれそうな気がするから不思議だ。


そしてもう一度完成!

次こそはちゃんと魔素吸収できて〜!

風間君発案の豆電球に光がつけば、一応は成功なはず。

っていうか豆電球ができた時は、ちょっとしたパーティになった。中に入れるガスは違うものだけど、って言ってだけど、さっぱりわからない。

風間君は天才だ。


「起動していい?」

「ん〜、待て。確認してからだ。ん、設計図通りだな。よし、いいぞ」


お願い、電気ついて〜。手に汗を握りながら、じっと待つ。

あ、点滅してる。

ついた!

「風間君、ついたよ!」

嬉しくなってぎゅーしちゃうよ!

豆電球を作ってはみたけど、本当につくの?って疑っててごめんなさい。


それにしても私、どうやらこういう触れ合いを欲してたらしい。

電池の完成の感動とは別のところで、胸がぎゅっとなって急に涙が溢れてきた。

風間君が困惑の表情だ。ごめんよ。


「私2度目の人生で他の人より大人なはずなのに、感情のコントロールとかきちんとできなくて恥ずかしいね」

いたたまれない。


「2度目っていったって前の時に成人したわけじゃないし、心が子どものままで当たり前だろ?無理に大人にならないといけないとか思う必要なんかないさ」

頭をポンポンされる。

「少し聞き分けのいい子ども、で充分じゃないか?」

え、そうなの?

私、15歳+10歳じゃないとダメかと思ってた。

目からウロコ丸だ。


「風間君みたいなお兄ちゃん欲しかったな」

ニヘラ、と笑うと風間君が目をそらした。

「そうだな。広原の今の見た目はどストライクだけど、向こうにいた時は別に広原のこと興味なかったし、今も仲間っていうか同士って感じだもんな」

頭を撫でこ撫でこしながら、地味に傷つくこと言ってくれる。

ひどい。

おかげで?涙は引っ込んだ。

「お兄ちゃんって呼んでもいいぞ」

「絶対やだ」


「じゃあ落ち着いたところで、豆電球を少し大きくして、それと魔素電池100ずつ作るか」

は?

「大変なの私だけじゃない?」

「バカ言え。基本ができたら応用だ。これから新しい設計図を描くの大変なんだぞ」

ってそんな嬉しそうな顔で言われても、説得力ナッシング!


自分だけ楽しんでいてズルイし!


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