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30話 sideカイトウ

「姫君がいた」


頰を上気させ、ユヌカス様が散策からお帰りになった第一声がそれだった。

「勉学の時間を抜け出して、何をなさっているかと思えば……嘆かわしい。婦女子の覗きとは」

「な!な!覗きではない!」

ちょっとしたお仕置きのつもりでため息をついてみれば、目を剥き出して反論された。


「この世のものとは思えないほど輝いている少女がいたのだ。あれは姫君に違いない」

姫君とは、本の中にしかいない幻の少女の呼び名だ。

この国ではたとえ王の子だとしても、姫とは呼ばれないからな。

姫、というのは特別な意味を持つ。

それにユヌカス様の顔をみれば、その少女に対する思慕がはっきりとわかる。

わかりやすすぎる。


「では、姫君をお守りできるように姫君の剣にならねばなりませんね。なのにこのように抜け出していては姫君の剣にはなれないでしょう。まあ、私がなってもいいのですが」


姫君の剣とは、神を欺いた愚か者に鉄槌を下す剣士のことだ。

その昔、姫君が朽ちていく国を憂い、愚かな者を追い詰めた。しかし、姫君は人の死を悲しむ心優しい少女だったため、敵とはいえ姫君が自らの手を汚さないですむようにと、先回りして暗躍したのが姫君の剣士なのだ。

国一の遣い手でなければならない。


その上、姫君と精神的に深く結ばれた剣士は、姫君が術を使った後正確に帰還するための座標ともなる、らしい。

剣士のいない姫君は帰る場所を失い、そのまま人柱として封印されてしまうのだ。

剣士を得られなかった姫君に待つのは、たとえ国が救われようとも悲しい結末だけだ。


「何を言うのだ!姫君だぞ!お、俺くらいでないと釣り合わん」

必死に牽制するユヌカス様に、きっとこの後は真面目に取り組まれるだろうと内心ほくそ笑んだ。


しかし、神話の姫君などこの世に存在するわけがないのだ。

神話の中では5組の姫君と剣士が星を型取り、愚かな者を封じ込める。

ということは、同時期に5人の姫君が存在しなければならないはずだ。そんな目立つ姫君が5人もいたら流石に噂になるだろう?


それにしても、それ程にユヌカス様を惹きつける娘がいるならば、よく吟味しなければならない。

ことによっては、秘密裏に始末しなければならなくなる。


今は微妙な時期だからな。


わずか2ヶ月早く生まれた第一王子は、この国の色を持たずに生まれた。

罪を背負って生まれたのか、赦しを抱いて生まれてきたのか。今はまだ判断できない。

それにあの変わり者の王子よりも、ユヌカス様の方が好ましい。

ユヌカス様の望みを叶えることが必ずしもユヌカス様のためになるとは限らない。

ユヌカス様のためならば、どんな非情なこともやり遂げる。


私はカイトウ。ユヌカス様の懐刀ふところかたなとして働く者なのだから。



ここまでの3話は本当は本編に載せるはずだったお話になります。

さすがに世界観がわからなくなってしまうと思い入れましたが、ちょっと説明会っぼくて消化不良です。

コメディしたいですね!

( •̀∀︎•́ )✧︎

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