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3話 母様

私がひやママをちゅうちゅうする日が続いている。

ごはんを食べるよりも、お腹がいっぱいになるんだよ。不思議。


私が1日の大半を水の中で生活するようになってきたころ、妹が生まれたの。

アレスティーナ。

赤ちゃん、かわゆす。むふふ。

けど、アレスは指と指の間に膜みたいのはなくて、水の中にも入れられていない。

私ってやっぱり普通の人間とは違うのかもね。

お父さんの国の血が濃いって言ってたから、お父さんの国の人は水の中で生活しているのかなあ。

どんなのか想像できないけど。


私が水の中から顔を出して、アレス観察をしていたら、ムラサキのモヤモヤっとしたものが漂ってきた。


なんだろ。

「母様〜、ムラサキのこれなあに?」

「あら? 何かしら。またババ様実験中かしら」

ひやママが私とアレスを抱き上げて、ババ様のお部屋に向かう。

「ババ様いないね」

「本当ね。外かしら?」


ドガーン、ガッシャーン


閃光が窓に走ったかと思ったら、すごい衝撃が建物を揺すった。


おお、どんな実験してるのかな。


窓の外を覗くと、ムラサキの髪の人がジジ様に止められてる。

ババ様が狙われてるっぽい。

「痴話喧嘩なら、よそでやってほしいわね!」

ババ様、ジジ様にそう言うとこっちにやってきた。

「あ、ラメルちゅわ〜ん」

むっちゃグリグリされてる。

お胸があたって気持ちいいです。


ってかさ、ババ様、若いんだよ。

本当のところの年齢は分かんないんだけど、ひやママと並んでも姉妹にしか見えない。

ジジ様はダンディなおじさまって感じなんだけどね。


「ババ様。痴話喧嘩ってことはジジ様浮気したの?」

「どちらかと言ったら、あっちが本妻なんじゃないかしら」

なんですと!

ジジ様、2号さんのババ様をこんな豪邸に住まわしてるの?

なんて金持ち!


ん? いやいや、待て待て。

ジジ様国王様だよ。ババ様、王妃様だよね。

どゆこと? スキャンダラス!


「違うから、ケイミー! 僕が愛してるの君だけだから!」

ジジ様泣きそう。


んでもってムラサキの人、むっちゃ怒ってるよ!


ぎゃ〜!何か飛んできた!

ババ様、私を抱き上げたままギリギリ回避。

ふ〜怖い怖い。


ガッゴン!


回避したものが、後ろで壁にぶつかった。


……壁、溶けてない?

何か、危険度半端ないんですけど。


あの人、次々投げてくるよ!

ひえええ!


ババ様が何か唱えると、みんなシャボン玉みたいな丸の中に入った。

私、シャボン玉の中に入って浮いてるよ。

ファンタジー。


ムラサキの飛んできても、カキーンって弾かれる。

ババ様すごくね?


「ムラリー怒ってるじゃない。リリアスがきちんと相手になってあげないと大惨事よ」

あの人ムラリーって言うんだ。なんだかセクシーな名前だな。

「でも、僕の愛してるのケイミーだけなんだよ」

ムラリーの髪、逆立ったよ。ジジ様、ムラリーの気持ち逆なでてるね。


「私がいったい何百年待ってると思ってるのよ〜」

すごい低い声を震わせて、ムラサキの大玉が空に現れた。


ん? 何百年ってどゆこと?

あの人、ってかジジ様何才なのん?


そんなこと考えてるうちに大玉落ちてきた。


ジジ様とババ様が動くより先に、ひやママがシャボン玉から出て大玉を受け止めた。


衝撃で私たちのシャボン玉割れちゃった。

父様が私とアレスを抱きかかえて、地面に伏せる。

大玉を受け止めたひやママ、真っ白になった。


体に無数のヒビが入って、キラキラ舞い始めた。

風に乗って飛んでいく。


「いつもいつも、お前たちの母様はみんなを助けてくれるんだ。俺は国を救済してくれた母様にお礼を言いに来て、初めて会った時一目惚れしたんだよ」

父様はそう言うと、私たちをかかえたまま座り込んだ。


その後のことはよく分かんない。

もの凄い怒ったババ様がムラリーを消し去って、ジジ様残していなくなったってことしか。

ジジ様に

「反省して出直せやあ! ごらあ!」

って言ってた。


しばらくしたらババ様がやってきて、父様と私とアレスを白い森に連れてきた。

ここなら少しの間、この世界にひやママが留まれるんだって。

ひやママは元々人として過ごすには魂の格が高すぎて、神格化することが決まってたとか。


この世界、普通じゃないよね。


ひやママとまた過ごせるってわかって、父様元気になった。


けど私は、今はここで生きていけない。

ナンテコッタ国にある洗礼石ではダメなんだって。

ドウシタンタ国の洗礼石じゃないと。


だから一旦父様の国に渡ることになるようです。



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