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27話 親子ゲンカは命がけ

私戦闘センスあったっぽい。


はあはあ、ぎゃ~来た!

全身を魔力でバリアすると、黒靄を分解する記号を張り巡らせる。不思議な構造式が全身を包んだのを確認すると一気に魔力を流した。

まばゆい光が辺りに放たれると、一瞬で黒靄はなくなっている。

はあはあ、よし今のうち。逃げなくちゃ!


私の精神に干渉しようとする黒い魔の手から、かれこれ1時間は逃げ続けることに成功している。

快挙だ。

今まで、手の平からしか能力は出せないと思っていたけど、全身をフルに活用して黒い攻撃を分解し続けているのだ。私、地味にすごくない?

あのクブダール相手にだよ?


まずはあの黒いのに追いつかれないようにするのが1番だから、逃げ回る。

次に追いつかれても囲まれても魔力を放出して霧散させる。

そして無茶苦茶がんばった結果が。


ここどこだ?

泉とは違う白い場所だ。


「ちょこまかと、忌々しいな。足や腕の1本ぐらいなくても死なないだろう?」

とかって、剣をひらりと抜いた。

ど、ど、ど、ど、どういうこと!?

目的が変わってるんですけど!


「足も腕も1本無くなったら死ぬわ!」

主に出血多量でな!ここは水の中なんだぞ!


「お前の隠している秘密をしゃべればいいだろう。なぜあの人魚からシルヴィアの気配がするか、とか」

おおう、バレて~ら!

お母さんなんかバレてるよ!

そんでもっておもっきり剣を振りかぶった。

殺る気まんまんじゃね?


コワイコワイコワイコワイコワイ!


こっちにこないで!溶けてなくなっちゃえ!

あまりの恐怖に体中に力がはいる。

と、クブダールの剣がドロンと溶けた。手持ちの部分しか残っていない。

「ちっ」

けれど、空間からもう1本出しやがったよ。クブダールの背より大きな剣!?


もうダメかも。魔力もカツカツになってきた。

残りの魔力を振り絞り、腕1本なら、と思って顔の前でバッテンする。目をギュッとつぶって。


ガツッ


剣が当たる重たい音がして、さすがにこれは死んだ、と思ったけど痛みがこない。

恐る恐る目を開ければ、クブダールのドデカ剣をユヌカスが受け止めていた。

ユヌカスよりも頭1つ小さいクブダールが振るうドデカ剣を、ユヌカスが受け止めている。

今にも悲鳴をあげて折れてしまいそうな剣で。

「きっさ、ま、何考えてんだ!」


カッコよくない?ユヌカス、カッコいいよね。

吊り橋効果かもしれないけど、めっちゃカッコいいよ。


それに比べて、クブダールは?


ユヌカスに守ってもらっているうちに回復飴を取り出し、口の中に入れる。

感情に任せてバリボリ噛み割る。


なんかむっちゃ腹立ってきた。


浮かぶのは赤色の記号。

今は私の手元にない物質達。

でもそこにあるじゃない、1体分。

私が痛みを背負わなくても、と悪魔が耳に囁いた。


ユヌカスの背中から出るとクブダールに触る。

「ラメル、逃げろ!こいつはいかれてる」

知ってる。

「ユヌカス、助けてくれてありがと」

目だけで笑うと、私は赤色の記号に魔力を叩きつけた。


「!!!!」


声にならない声をあげて、クブダールが後ろに跳んだ。床に這いつくばってこっちを見た。


「腕1本、なくなっちゃったね」

それにお母さんのこと、薄々バレてるならもういいんじゃないかなって思えてきた。


「そんなんだから、お母さんはクブダールに会いたくないって思うんじゃない?」

クブダールに近づきながら、また、赤色の記号を展開する。

「どこの世界に、思い通りにならないからって自分の子どもを手にかけようとする父親がいるのよ」

クブダールの胸ぐらを掴みあげる。

「お母さんが、シルヴィアがあなたを父親だと言っても、私は絶対認めない。あんたなんかお父さんじゃない!」


ああ、私お父さんを殺しちゃうかもしれない。

最近のさみしさに、私の心が悲鳴をあげてる。

「私は1人でも大丈夫だもん」

でも、そんな弱さを認めたくない。


1人になっても大丈夫。

魔力をぶつけようとしたら、後ろから羽交い締めにされた。

「もういいから。ラメル、もういいから、止めよう?」

いつの間にか泣いていたらしい私の顔を、ユヌカスが舐めた。


っっっ舐めた!?


にゃ!?

動揺で戦力を喪失させるとか、なんて策士!


「それに、さっぱり状況がわからん。ラメルの父親はバーグだろう?」

うぬ?


あ、やべ。前世とか神様とか、完全に頭オカシイ人が2人いるんですけど〜ってなる未来しか見えない。


どこかに言葉の魔術師、いませんか〜?

今なら太っ腹な支払いで雇っちゃいますけど!



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