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18話 魔方陣!

突然国のライフラインが止まった。


気がついていなかったけど、部屋の明かりや水路に水を流し入れるライフラインがどこかで管理されていたらしい。


今、国中が大パニックだ。


ユヌカスが忙しい中、火による明かりを必要としない昼間に訪ねてきた。


「ラメル、不便はないか?」

「大丈夫〜」

内緒だけど私魔力持ちなので、部屋の機能を動かすことができるのだ。


ってことは、魔力で動く管理棟みたいのがあるのかもしれないね。


「それにしてもさっぱりと原因がわからないんだ。今までその辺りの管理を神殿主がしていたらしいのだか、神殿主の部屋には何の手掛かりもなくてな」

ウォーターソファに腰掛けながらため息をついた。


「神殿主ってユヌカスがパカーンってどこかに飛ばしちゃった人?」

「ブハッハハ。なんだよ、マーダのやつお前がぶっ飛ばしたのか?」

気難しいクブダールがなんだかご機嫌になった。


「魔力をどこからか引っ張ってきていたらしいんだけど、回路がどこにも見当たらないんだよな」

不思議だろ? と。


と、クブダールが何かに思い当たったらしく、嫌な顔になった。


「あ〜、違うかもしれないが、俺のせいかもな」

一呼吸置いて、ユヌカスと向かい合う。

「俺の身体に描いてあった魔方陣は、魔力を吸い取ってどこかに移動させる働きをしていた。そのせいで俺は動くことも成長することもできなかったんだしな」

あいつは死なないギリギリを知っていた、とクブダールが言う。


それが本当なら、結構ひどいことだ。私が1人で眉を寄せていると、クブダールが眉を上げイタズラ顔になった。


「ここにいるユヌカスがマーダをどこかにぶっ飛ばし、ラメルが魔方陣を消した。今の混乱を作った原因はお前らだな、ハハッ」


なんですと!

私とユヌカス、顔が真っ青になった。


「で、でも、今までのやり方がクブダールにそれだけの負担を強いていたなら、同じやり方はできないよ」

かと言ってこのままでもいけないとは思うけど。

私も魔力持ちって言った方がいいのかな。


「魔力を流す場所なら知ってるけどな」

クブダールが言う。

「だが、ドウシタンタ人には魔力自体がないからな」

流せる人材が得られない。

ユヌカスが思案する。


「いや、魔力を持ってないわけじゃないだろう? 洗礼石によって回路が閉じられるだけで」


え? 初耳です!


「回路を開いてやることはできるが、それなりにリスクがあるからな」


「じゃあ洗礼前の子は魔力が出るの?」

「微量に、な」

私の疑問にクブダールが答える。

「リスクってなんだ?」

ユヌカスが前のめりだ。


「洗礼前に戻るってだけだろ? 完全に元どおりってわけじゃないが、今よりも熱さには弱くなるだろうな。それだけじゃないが」

むむ、じゃあ私なら嫌だな。

「お風呂に入れなくなっちゃうじゃん」

無理無理、絶対ヤダ。


「俺は大丈夫だな。ラメルみたいに風呂に固執してないからな」

ユヌカスが今日はじめて笑った。

けど、それ以外のリスクがはっきりしない以上すぐには手は出せない。


「提案だが、今まで神殿主が受け取っていた報酬をクブダールのものにすることで、魔力を融通してくれないだろうか。もちろん、これからの報酬も今まで通りの額を収めよう」

確かにそれが一番丸くおさまるだろうけど。


クブダールは嫌なんじゃないかな?

チラリと様子をうかがう。

「で、いくらだ?」

「このくらいかな?」


……マジですか?

マーダ、やりたい放題だったんだな!


日本的に考えると、億の次くらいの相続をしたようです。

そのほとんどがクブダールの魔力を元にしていたと思うと、クブダールのコメカミに青筋も立つわ。


「今度会ったら地中深くに埋めてやる」

低い黒い唸り声に、私とユヌカスが手を握り合っていい子にすることを誓った。


お前のじいちゃんコワイな、って……じいちゃんじゃないんだけどね!



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